K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

殺伐としている

昔はこんなんじゃなかった。
なんて言うと、なんだか老害になったように気分になるけれど、私の主観からすれば実際にそう見えているのだ。

一昔前は、インターネットで情報を発信する場所は2chや各種SNSに分散していたように思う。生存区域が明確に隔てられていたから、異なる「常識」が衝突することはあまりなく、ある意味で類似の価値観の再生産が各所で行われていた。それが今や、ほとんどTwitterに集約されてしまったような気がして、少し気味が悪い。これは感覚的な話だ。
異なる価値観が混じり合えば、新たな価値観が創出されるというプラスの側面もあるかもしれない。けれど異物に対する反応としては、本質的には免疫機能が働くものなのだろう。争いが起こるほうが自然だ。インターネット上では日夜、小規模な紛争が絶えないように見える。

人の心の奥底から湧き出て滞留する澱みのようなものが、無秩序に暴れ回り混沌をもたらす……どうも近頃のTwitterからは、そういう印象を受けてしまう。

 

 

傾向としては数年前からあった気がするけれど、今年に入ってからの様態の変容は急進的で、以前の視点を以て見てみるなら、まさに異様と言う他ない。
感染症による社会情勢や生活様式の変化は、きっとそれだけの破壊力があった。大なり小なり、コミュニティを形成している諸要素は、たいていの場合、急激な変化に対して不可逆なものだ。
もはやTwitterは、迂闊に発言が許される空間ではなくなってきているのかもしれない。個人にとっての、安寧を保ちながらコミュニケーションを取るツールとしては、あまりにも多くの層に幅広く、そして複雑に広がりすぎてしまった。もはや私は、緊張感を持たずには見ていられない。

かつてのような居心地のよさをTwitterに求めるのは、時代に逆行しているようにも思うけれど、他者との関わりが本当の意味で、物理的に希薄になってしまった世の中だからこそ、それを欲するというのは別におかしなことではないだろう。

Twitter2に移行しよう。そんなことを誰かが言っていた。
実際にそんなサービスがあるわけではないけれど、それぞれにとっての理想郷をインターネット上に幻想することは、そんなに悪いことだろうか。私からすれば、個々が好きに振る舞えるはずだった空間を次々と荒廃させていく勢力*1のほうが悪だ。

 

私は性格的な問題もあって、主体的に呟くことはほとんどできないでいる。ただ、情報収集や他の人の意見を取り入れるという意味で、Twitterは非常に有用な場所だった。
それが今は、どうだろう。
情報収集ツールとしての側面は依然として残っているけれど、以前よりも情報を受け取る側のリテラシーが試されるようになった。目に入ってくるものを気軽に信じることは、事実上かなり難しい。それはそれで、昔の2chのようで構わないのだけれど、最近はどうにも悪意が目につく。コピペ知識などで対応するのが困難なのに、有害であるというのは些か厄介な話だ。
また、他人の考えを目にする機会は桁違いに増加したものの、不快感や嫌悪感を覚える回数もそれに比例していて、心地よさとは程遠い世界になってしまった。

今のTwitterランドが好きな人がいたっていいと思うし、そういう方々には満足いくまで堪能してもらえばいい。どうせ数年のうちに、世の中の変化に合わせて少しずつ移り行く空間なのだから、満足できるうちに好きなだけ暴れてくれ。
ただ一つだけ、無差別の通り魔は本当に勘弁してほしい。私は基本的に発信をしないから、今のところ攻撃された経験はないと思っている。気づいていないだけかもしれないが、認識しなければなかったのと同じことだ。ただ、そういう現場を目撃してしまうことは結構あって、それを見ていると気の毒で仕方ない。いったいなんなんだ、あれは。あいつらは。

脅威への対処方法がないわけではない。ブロックするなど、用意された機能を使う手段が一番簡単だ。問題があるとすれば、それらは一時しのぎに過ぎないし、害を受けた人間の空間は確かに侵されてしまっているということだ。非物理的な傷は癒えにくいし、気づかぬうちに心を蝕む可能性もあって、常にリスクはつきまとう。

 

余計なものは、見えない世界にする。私が見たいものだけを、知りたいものだけを、吸収していく。それは空間そのものに対する自らの認識を書き換える行為に等しい。自己暗示をかけるようなものだ。
Twitter2を私の中に成立させるためには、そういうスキルを獲得していく必要があるのではないか。さらに、それが多くの人に備わったとき、かつて夢見た幻想に一歩近づくことができるのではないか。
私は、そう思わずにはいられない。

 

 

Drawing on 2020-07-13

20200713

久々にラフで遊ぶ日。スク水っぽいやつが描いてみたくて。
色塗りについては、まだ時間がかかりそうなんだけど、完成したらブログではなくpixivに投げようかと思った。

*1:それぞれが連携しているわけではないため勢力という言い方は若干の語弊があるかもしれない。ここでは、似たような性質を持った不定の群衆という意味合い。