K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

Life is Strange

昨年の夏にSteamのセールで買った積みゲー消化……ということで、先週から少しずつ進めていた『Life is Strange』をクリアした。
クリアとは言っても、このゲームは自分の選択によって結果が変わる要素を含んでいるから、数ある結末の中の一つを見たに過ぎない。
人生はいつだって、主観的には単一の道しか辿れないのだ。

 

おそらく大きな意味での結末は二通りなので、隅々まで楽しむ気がないのであれば最終章をもう一度やればいいのかもしれない。
印象としては、シリアスな『天気の子』という感じで、最後の選択肢には五分ほど悩んだ。
大事な人を救うか、世界を守るか。正解のない問いだけれど、プレイヤーとしてはそれまでの行動原理を考えながら、なるべく一貫しているほうを選ぶことにした。

この手のゲームは、あまり遊んだことがなかった。選択次第で物語に変化が生じる……いわゆるギャルゲーは何度かプレイしたことがあるけれど、内容的にハードなものはそれほど経験がない。エロの有無はともかくとして、基本的にハッピーエンドを迎えるものばかりだった。
だから、何を選んでも苦しい未来しか待っていないなんて、なかなかに酷な話だと思う。
主人公が手にした過去に遡る力は、実際に使えたら最強だ。ストーリー上、不都合が起こったら巻き戻すというシーンが何度も出てくるので、長く遊んでいると忘れてしまう。それがどれだけ世の理から外れているかということを。

たとえばシュタゲなんかでも、何度も戻ってやり直すという場面が印象的だけれど、細かい変化を起こしたところで似たような結末に至るというのは、こういう物語のお約束なのだろう。
最初に直面した絶対に避けたい出来事を変えるために次々と事象を歪めていった結果、他の部分に綻びが生まれる。
それを取り戻そうとすれば、けれど元通りの悲劇に至る。
ギミックとしては面白いものの、実際に何度も何度も類似シーンのやり直しとなると結構きついものがあるのだと思い知った。

私のリアルの日常生活において、たった数分でも過去に戻れたら……きっと便利だろうと思う。別に、普通に生きている分にはあまり機会がないかもしれないけれど、いざという時にタイムリープできたら、きっとそうでない場合よりも上手くいくことは多いはずだ。
ちょっとした判断ミスを取り返したり、初見では気づかないような重要なポイントを先取りできたり、極端な話、交通事故で死ぬことはほとんど絶対になくなる。
競馬は100%的中するし、運が絡む勝負に負けることもなくなる。
まぁ挙げていったらキリがない。時間を跳躍することは、それだけ恐ろしいことだ。先がわかってしまう人生なんて、はたして楽しいのだろうか。

なんでもない状況で妄想をすると、どうしても物事を通常の生活から有利に進めようとするほうに考えがちだ。まぁ欲というのは鈍いみたいなもので消えることはないから仕方ないのだけれど、ゲームなどの物語の主人公が直面するような、特定の悲劇を回避するためだけに能力を使う想定をすることは、穏やかに生きているうちは難しい。
そしてそんなこと、実際あまり想像したくないものだ。

さて、本ゲームは随所に細かい分岐点が仕込まれているので、時間と気力が許すなら総当たりで検証してみたい興味もあるが、流石に現実的ではない。
今度、気が向いたらもう片方のエンドを見るとして、あとはWikiなり実況動画なりを漁ってみるとしよう。
プレイ時間はだいたい15時間ほどだったけれど、そのわりに充実感というか満足感というか、もっと長く遊んだような感覚がある。内容が濃い、と言えばいいのだろうか。

そういえば、事件が起こって犯人がいるという謎解き要素もあるのだけれど、私が怪しんでいた人物が実際に黒幕だったので、その点はちょっと嬉しかった。
しかし、(第一印象を含めると)登場人物の半数以上がクズというのは、リアルなのかどうなのか……私は比較的治安のいい世界で育ってきたので、そのあたりはよくわからなかった。