K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

続・隣人速報

日記に書くのが何度目になるのか、もう覚えていないけれど、また隣人の話だ。
このところ連日のように、隣に住む馬鹿の夜間活動に睡眠を阻害されていて、私の生活リズムは相変わらず正常な状態に戻せず苦しみの真っ只中にあるわけだが、昨晩も非常に面白い出来事があった。

 

先月は友人を招いていることが多かったようだから、最近よく聞こえてくる人の声も、てっきりZoomか何かでオンライン通話をしているものかと思っていた。

昨日は自律神経の乱れを感じて、流石に朝まで付き合ってはいられないと思い早めに布団に入ったのだけれど、残念ながら願いは叶わなかった。
眠れるか眠れないか、これまた絶妙なタイミングで声が響いてくる。
また始まったよ……うんざりした気持ちで瞑目し続けるつらさと言ったら、なかなか他に上手く形容する表現が思い浮かばない。
端的に言って、クソだ。氏ね。

それにしても、毎晩深夜に通話して騒ぐことを習慣にしているなんて、何が楽しいのか知らないけれど通話相手もかなり非常識な人間だなぁ……さっさと二人とも社会に出て、ストレスと疲れで遊ぶ余裕を失ってくれないかなぁ……などと益体のないことを考えしまうのだが、目の前にある現実は変わらないわけで、次第に怒りが募っていく。
ただ昨夜に関しては、どうにも様子がおかしかった。声はするのだが、会話という感じではないのだ。
苛立ちによって交感神経優位となってしまった以上は、すぐに眠ることは難しく、この手持ち無沙汰な状態をどうにか収めなければならない。だったら、壁に耳を当てて何をやっているのか聞いてやろう。
まぁ耳を当てずとも聞こえてくるわけだが、これでいつでも「壁ドン」で迷惑を訴えることができる。

実際のところ、薄いとはいえ壁によって空間が隔てられているわけなので、何を喋っているのか細かく判別できるわけではない。
しかし、機械から発せられる音は明らかに、人間の生の声とは違うとわかる。隣の女の声と、機械から出てくる音声。昨夜はその二つが交互に……どちらかと言えば機械音が多めで響いていた。
なんだろう、これは。
その声音は、インターネットを通じて届いたどこかの誰かのものではなかった。
言うなれば、ボイスチェンジャーを使ったような違和感のある声。もしかしたら、YouTubeでたまに耳にすることがあるような声。これは、いったい。

そのまま聞き耳を立てていると、その機械音が何度も同じ内容で繰り返されていることに気づいた。他にも、断続的に謎のサウンドが鳴っている。
……録音しているのだろうか?
そして疑念は次の瞬間に解ける。
女が何やら妙な台詞を喋り、直後に同様の言葉がボイスチェンジされて何度も再生されているのだった。

これをどう捉えるべきか。
深夜の2時や3時にやっている時点で非常識なキチガイであるという前提は成立すると思うが、それにしても目的はなんなのだろう。
こんな、あからさまに変声機を通過した短い台詞なんて、たとえば彼女がYouTuberだと考えるならあまりにも幼稚すぎるし、手間をかけて出力されて音声にしたって、かわいくないどころかむしろ気持ち悪い。
そもそもイヤホンをしろイヤホンを。これでは、大声を上げてオナニーしているのと何も変わらないではないか。

推測に過ぎないけれど、おそらくTwitterあたりに上げて承認欲求を満たすための音声を作っていたのではないかと考える。目的は知らないし、知りたくもないし、隣人としては迷惑でしかないので、今後も続くようなら普通に管理会社へ連絡するだけだが……思っていたよりもずっと、頭のおかしな人間なのかもしれない。
私が神経質であるという以上に、どう考えても奴のほうが悪い意味で異常というか、これまでの人生で私が関わってきた多くの人に備わっていた「まともな感覚」が欠如しているとしか思えないのだ。だからまぁ、きっと注意されたところで何が変わるということもないのだろう。悲しいけれど。
本当にもう、追い出すことはできないものだろうか。

そうこうしているうちに、聞き馴染みのある「お風呂が沸きました」という音声が響いてくる。つい苦笑いを浮かべた。
先日は、同じような深夜帯に洗濯機を回していたので今さらではあるが、今度は風呂か。マジで非常識な時間帯に音を立てて活動することに抵抗感がなく、近隣住民への配慮というものが一切できないのだなぁ。こんな人間が当たり前のように生きているなんてなぁ。これまで真っ当な、社会的に上位のコミュニティばかりを経験してきたから、これほどの底辺が普通に存在しているなんて意識したこともなかったし、知らなかった。
少し前の日記と同じ考えでいくなら、世の中の多数派はこいつと似たような存在なのかもしれないが。*1

まぁなんにせよ、夜に眠らせてもらえないのがつらくて、しんどくて、今は誰か助けてくれという感情が強い。
あんまり、管理会社には頻繁に連絡したくないのだ。既に数回、対応を求めていて、前回も動いてもらうまでに結構な時間がかかったから、そろそろ相当に腰が重くなっているはずだ。
強く訴えすぎて、私が逆にクレーマーとして軽く扱われてしまいかねない。
隣人の騒音も以前ほど目立つようなものではなく、もしかしたら神経質な人間でなければ気にならない程度なのかもしれないため、いまいち決め手に欠ける感じがして、被害を主張するためのエネルギーがもったいないような気さえしてしまう。
この日記を書くエネルギーは別腹というやつで。

現状、私の生活にとって唯一のストレス源が隣人の動向になっているのは妙な話というか、社会的束縛から解き放たれてなお、のびのびと生きられない人生の不条理を感じてしまって、果てしなく気が重くなる。
ストレスを越えた先に楽しみや快感があるのなら構わないが、ひたすらに負の塊でしかないストレスは、根本から絶つか逃げるか、それくらいしか幸せになれる結末は見えてこないだろう。
ひょっとすると、平均的な人間からすれば些細な悩みであって、これでも圧倒的に幸せな環境に見えるのかもしれないが……けれど当事者からしたら、たまったものではないのだ。

*1:そんな底辺と同じ住居に住んでいる時点で同類という話は確かにあって、不満ならもっと良いところに住むという選択肢がないわけではない。できれば、そうしたいのも事実だ。ただ、賃貸はガチャ的要素があって入居するまでわからないことが多く、契約期間など現実的な問題も孕んでいるので、この程度の文句を言うくらいは許されて然るべきだろう。