K's Graffiti

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デトロイト感想

先週はバタバタしていて余裕がなく感想を書くのが随分と遅れてしまったけれど、先日ようやく『Detroit: Become Human』をクリアした。
七月のSteamサマーセールでSEKIROと一緒に購入したゲームで、九月頃から手が空いた時に少しずつ進めていたのだけれど、思いのほか時間がかかってしまった。まぁ気軽に遊びやすいボリュームで話が分割されているから、個人的には一気にガッツリプレイというのができなかったのだ。
ストーリーは己の選択によって過程からラストシーンまで無数に分岐するため、非常に考えさせられる面白いゲームだったと思う。

 

初めに、難易度選択があった。
主にQTEで要求される操作が変わるということだったけれど、私は難しいほうを選んだ。
どちらでも構わなかったのだが、簡単すぎると意外性がなくなるような気がして、たまにミスをするくらいがちょうどいいのではないかと感じた。
結果的には、程よい道中の進行を作り出すことができたので、満足している。

咄嗟のアクション意外にも、会話の選択や細かい行動など、多様な判定が設定されている。無視して問題ないポイントも多いけれど、行動の積み重ねによって未来の行動や選べる選択がバタフライエフェクト的に変化していくのは、ゲームでありながら取り返しのつかない現実味を感じられる要素として楽しめた。
テーマは人間とアンドロイドという存在の、相互の在り方について。人間によって作られた、本来は機械でしかないアンドロイドが人間性を獲得していき、一つの生命体として人間にアイデンティティを主張していく。
プレイヤーたる自分は、人間側・アンドロイド側、両方の観点から物語を進めることが可能で、最終的に両者の関係性を求める形に変えていくことができる。
完全に対立させてもいいし、宥和させる方向性に持っていくのもいい。完璧にプレイすれば望んだ未来を作れるのかもしれないけれど、場面によっては究極の二択が迫られることも多い。
どちらが正しいのか……どちらも正しい気がするし、どちらも間違っているような岐路に立たされる。

基本的な方針として、私はそれぞれに与えられた役割を遂行できるような道を積極的に選んだ。
人間側のコナーを操作する時にはアンドロイドが不利になるように、アンドロイド側のカーラやマーカスを操作する時には、前者は保護者として子供のアリスを守ることを最優先に、後者はアンドロイドの地位を世間に認めさせるように……それぞれの思惑が交錯するシーンまで、なんとか死なせないことを目標に進めていった。
それぞれが途中で関わる人間やアンドロイドとの関係性を築くことになるが、できる限り穏便に済ませられるように……これは私自身の人間性とも密接に関わる部分なのだが、なるべく事を荒立てたくないという無意識的な志向を、プレイしながら自覚することができたようにも思う。
極力、一貫した選択を続けていく。その甲斐あってか、終盤に至るまで大きく物語が壊れることはなかった。

 

結果から先に言うと、コナーの物語については失敗した。
相棒ハンクとの協調路線は上手くいっていたのだけれど、マーカスを追い詰めるシーンにおいて、本来はアンドロイド側に寝返るべきだったのだ。ただ、捜査官としての使命を優先してしまったせいで、死なせてしまうことになった。
こうなるともう、コナーに役割はなくなる。演説をするマーカスを狙撃しようとした新しいコナーに対しては、ほとんど操作を放棄することにした。最後は、ハンクによって突き落とされて終焉だ。
やや悔しい結末だったけれど、やり直すとしたら結構な時間が必要な段階だったので、こちらは今後、再プレイすることがあれば改めたいポイントとなる。

カーラとアリスについては、脱出を試みた際に見つかるというミスを犯し、捕まってしまった。
結果的に、人間の皮を捨ててアンドロイドの見た目のまま、どうにか逃げ出すことに成功したものの、最後は廃棄場で寂しくも自由を手にする形となる。
トゥルーエンドとは言いがたい、ややグッドエンドといった感じだろうか。
国境を渡るルートに入っていたらどうなったのか、こちらも気になるところなので次回に目指したい。

マーカスについては、唯一トゥルーエンドを迎えることができた。
追い詰められながらも、最後の最後で人間との協調路線を作り出すことに成功する。
実は、初回は歌う選択肢ではなく化学兵器を間違えて選んでしまい、人類との全面対決という最悪の道を生み出してしまった。そんな気はなく、化学兵器ってなんの話だっけ、という具合に何気なく選んだら、人の住める土地ではなくなってしまうという悪夢があった。
流石に本意ではなかったので、最後の選択肢だけやり直して、別のルートを回収した形になる。

一応、クリアということにはなるけれど、ルート分岐を見ていると、まだまだ多くの未知の未来が存在していることがわかる。
全部を回収するほどモチベーションに溢れているわけではないけれど、もしあの時に異なる道を選んでいたら、いったいどうなっていたのか……このゲームは一度きりの人生として楽しむのも悪くないが、何度も何度も味わえる魅力に溢れているように感じた。
間違いなく名作と言っていいだろう。面白かった。

 

不満をいくつか述べたい。
まず、操作性に若干の難がある点だ。
PC版だからかもしれないが、QTEは頑張っても間に合わない箇所がいくつもあった。移動する際にも、方向転換が上手くいかなかったり、反応が鈍かったり、引っかかったり、ストレスがなかったと言えば嘘になる。

また、これはグラフィックボードとの相性の問題なのかわからないが、描画が安定しないところがあった。最初のゲーム設定で、まともにプレイできる状態に持っていくまでに時間がかかり、何度も冒頭のシーンをやり直す羽目になったのだ。
それに加えて、たびたびキーボードが無反応になるという欠陥を抱えていた。こちらは調べても情報が出てこなかったから、きっと「おま環」なのだろうけれど、数分に一度という頻度でキーボード操作を受け付けなくなるのは大変だった。
動かなくなったら、キーボードのUSBを抜き挿しする。反応が戻ることもあれば、すぐに戻らないこともあって、不具合が発生する条件は最後まで不明なままだった。
急に出てくる選択肢やアクションに対して行動不能となると、自然に失敗が増える。意図しない方向に話が進んでしまうことも珍しくなく、落ち着いて遊ぶ環境を作れなかったのは残念でならない。

こうした不満点さえなければ、ほとんど100点を付けてもいいくらいなのだが、プレイそのものへのストレスはゲームとして大きな減点となるため、総合的には80点といったところだろうか。
セールで安くなっていたことを踏まえると、90点くらいでもいいかもしれない。