K's Graffiti

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椅子

座り仕事というかなんというか、活動時間のほとんどをPCの前すなわち椅子の上で過ごしているため、椅子の品質というのは重要だ。
まぁ昔から出不精だったので、コロナ禍以降に考慮しなければならなくなったというわけではないのだが、もう身体への負担が気にならない年齢でもないため、椅子への支出は仕方ないコストと考えるべきだろう。
先日のAmazonブラックフライデーセールにて、新しく椅子を購入した。

 

昨年、一人暮らしの開始と同時に、真っ先に購入したのは椅子と机だった。
もともと実家ではゲーミングチェアと、小学生の頃から使い続けている学習机というセットだったのだが、前者はともかく後者は無駄にデカくて重いため、廃棄することになった。
愛用していたゲーミングチェアをそのまま持ってきてもよかったのだけれど、業者に依頼せず実家の車を使って引越し作業を実施したため、やや大きさに難があった。
自ら苦労して運ぶよりは、新規に購入して配達してもらったほうが幾分か楽だし、使い古している関係で随分と表面はボロボロだったので、ちょうどいい機会だったのだ。
買ったのは、同じメーカーではなく、微妙に安い他のメーカーだ。正直、ゲーミングチェアなんて見た目は同じで、何が違うのかわからなかった。
浅い考えだ。なぜ、有名なメーカーが売れているのか。ブランド料だけではない品質の差が、そこには確かに存在していた。

ゲーミングチェアは、かなり大きな段ボールに入れられて配達される。
ヤマト運輸の人が険しい顔をしながら一人で運んできた姿はいまだに覚えているけれど、実際20kg以上の重量があるものだから、受け取ってからも大変だ。
玄関先に置いてもらって、その場で箱を解体する。部品を取り出して、説明書を見ながら組み立てていく。効率よく進めれば30分程度で完成するとはいえ、値段的にも体積的にも大きな買い物と言っていい。
できれば失敗したくはなかった。

こんなところでケチっても仕方ない。わかっていたはずなのに、安い品を選んでしまった結果……待っていたのは日常における些細なストレスの増加だった。
組み立ててから数日は問題なかったのだけれど、しばらくするとギシギシと軋む音が漏れるようになった。体勢の問題か、不良品なのか。原因は不明だが、まだ購入から一週間ほどだったように思う。
実家で使っていたゲーミングチェアでは感じたことのない微妙な不満が、それから続々と発覚することになる。

 

それから、もう一年が経過した。ここまで使ってきて、相変わらず不満点は多い。どうにか改善できないかと工夫を凝らしてみたこともあったものの、いずれも失敗した。
最近では半ば諦めていて、どちらかと言えば慣れに近いものでストレスを感じづらくなっていた側面もあるとは思うが、そう簡単に捨てる気にもなれない代物だから渋々使い続けるしかなかったのだ。
そこへやってきた一年という区切り、ちょうどいいタイミングで訪れたセール、これはもう、いいのではないかと思った。もう十分に使った。やや高いという気持ちは変わらないけれど、ギリギリ納得できる。

そうして、実家で使っていたメーカーの椅子を、あらためて注文したのが一昨日の出来事だった。
明日、それが届く。玄関周りを片付けなければならない。けれど面倒くささ以上に、PCに向かう私の環境が変わるという事実が、今から楽しみで仕方ない。
一年間と少し、不本意にも苦しめられた椅子は、本日をもって役割を終えることになる。
座面だけ外して、座椅子のように活用できたらいいのだけれど、いずれにせよ脚の部分は不要となる。
こういうのは粗大ゴミになるのだろうか。あまりにも手続きに手間がかかるようであれば、そのうち実家の車に積んで廃棄施設に運ぶことにしよう。
まぁ部屋の中に置いておくスペースはあるから、私がここを出ていく時まで放置してしまう可能性が、今のところ最も高いけれど。