K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

間の悪さ発動

物心がついた頃から、しばしば行動を邪魔されてきた自然現象がある。具体的に何がどうしたというわけではなく、その時たまたま発生した出来事が、私の目標を偶然にも阻害してしまうというものなのだが、端的に換言するなら間が悪い、タイミングに恵まれない人間という話になる。
これはもう、世の中に自分以外の人間が生きている限りは仕方ないことなのだけれど、それにしてもピンポイントすぎて……自らが纏う不幸を呼び込む引力のような存在を、うっかり信じてしまいそうになるくらい気味の悪い体験だった。

 

またまた同じような話の繰り返しになってしまうが、半年以上ぶりに隣人への文句を書き連ねることを許してほしい。
まぁ許しを乞うているのは読者というよりは、日課として日記を書く私を客観的に評価している、心の中のもう一人の私なので、本来こんな前口上は必要なく好きにすればいいはずなのだが、過去を振り返った時にあまりにもバカバカしく思えそうで、できれば避けたいという気持ちがあるのだ。

一昨日のことだが、意識の切り替えをしようと思い、月曜日から生活リズムやら日課への取り組みやら、いったん体制をリセットしつつ、目指すところに向かって少しずつエネルギーを注いでいくための準備をする件について、軽く書いた。
実際、昨日は寝起きの時間を元に戻すために、ある程度は睡眠欲に耐え、夜中のうちに布団に入ることに成功したのだ。何事もなければ、ぐっすりと眠った末に午前中から活動を開始できそうな流れだった。

今朝方のことだ。時刻は5時を少し過ぎたところだったと記憶している。
まだ起きるには早く、あと数時間は眠っていなければ睡眠不足を起こして、日中の活動に影響が出るであろう時間帯……そんな時に、不意に目を覚ましてしまった。
自分のせいではない。イカれた嬌声が響いてきて、無理矢理に覚醒させられたのだ。
ドアの外で走る複数の音。まるで鬼ごっこをしているかのようにフロアを往復して騒ぎ立てる、小学生のクソガキのような声が閑静な早朝の空間に鋭く広がる。

最初は近所の子供が遊んでいるのかと思った。寝すぎて、もう昼間になってしまったのかと錯覚した。
けれど、まだ外は暗い。もちろん私が半日以上も眠り続けていたというわけではなく、手元のスマホを確認したら間違いなく早朝だった。
朝にしては異常な足音と声だ。子供ではない。聞き覚えがあった。それは紛れもなく、昨年の春から夏にかけて何度も苦しめられた、隣人のそれだった。

どうやら、立地に対して比較的安めの物件に住んでいる私が悪いらしい。
得てして、こういうところは民度が低いのだ。明らかに迷惑な行動だというのに、反対側の住人は気づかなかったようで相変わらず鼾を放っているし、以前の騒音時にも管理会社に迷惑を訴えている人は私以外にはいなかったようだ。いったいどれだけ鈍感なのだ。早く引っ越したい。

おそらく今回は、始発か何かで帰ってきたところなのだろう。ヤク中のごとく高すぎるテンションに度肝を抜かれたので、ひょっとしたら飲み歩いていたのかもしれない。酔っ払った知能の低い男女が早朝に騒ぎ立てる様子は、これまでに私が生きてきた世界には存在していなかったものだから、そこはかとない恐怖すら感じた。
飲み会の場ではない。宴会の場でもない。ただの住宅街で奇声を発しながら駆け回るのは、大人として認めがたい。成人式において奇異の目を向けられる連中のメンタリティに近いものを、隣のキチガイは持っているのかもしれない。
薄壁一枚を隔てた向こう側に、まるで理解のできない怪物が棲んでいる。それは入居前に知る由もないことで、運負け感がひどい。

もはや心地の好い睡眠時間は終了し、隣が落ち着くまで待つことを余儀なくされた早朝において、私の考えていることは一つだけだった。
せっかく今日から、と思っていたのに邪魔をされた。本当に運が悪い。間が悪い。
結局、7時過ぎに寝静まるまで騒がれていたせいで、無駄な早起きで寝不足という最悪の状況で朝を迎えることになった。太陽の光が部屋に差し込む中で悩ましい判断だったが、これではとても夜まで気力が続かない。

二度寝を選択した後、次に布団から出たのは、とっくに正午を過ぎた頃だった。

 

突き詰めていけば、起きる時間なんて関係ない。再び寝床へと向かうまでに、やるべきことをクリアするだけなのだから。
ただ今日だけは、今日ばかりは弱音を吐いて萎えたままでいることを許してほしい。次からは多少のアクシデントに動揺しないよう、頑張るから。
出鼻を挫かれることのつらさを思い知らされた一日だった。