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優駿牝馬(オークス)2022予想

これまでに開催された今年のGⅠレースでは、枠順発表後に困ることが多かった。
狙いたい馬、有力馬がトラックバイアスで不利とされる枠に決定して、はたして本命を変えないままで大丈夫なのだろうか……という葛藤が毎週のように起こったのだ。
皐月賞だけは逆に味方してくれたおかげで馬券の的中という結果になったけれど、それ以外のレースでは続ける羽目になっている。
枠番の重要性を思い知らされる春シーズンとなった。

 

さて、若い牝馬にとって最も大きな壁となるであろう、半ば長距離に近い東京2,400mのオークスだが、その枠順発表に対する感想は意外なほどあっさりとしていた。
まぁこんなものだろう、という具合に、極端な有利不利を感じなかったのだ。
そもそも、この時期の牝馬に長い距離を走らせること自体が妙な話で、おそらくどの関係者にとってもオークスというレースは距離への不安が付きまとうに違いない。内や外の影響は、全力で走れる馬同士を比較した時に顕著に表れるものであって、スタミナが切れてしまったらどこを走っていても大して差は出ないのではないだろうか。
もちろん、ボコボコに荒れた内を走り続けたり、あるいは内が荒れていない状況で外を走り続けたら不利ということにはなるだろうが、それよりも物理的な距離の壁のほうが大きのではないかと思う。

そういうわけで、好走しやすいのは現時点で完成度が高い馬となる。しかし難しいのは、完成度が高い馬というのは桜花賞組であることがほとんどなのだが、オークスで求められる能力は桜花賞で求められる適性とは真逆に近いスタミナと末脚という点だ。
道中はある程度のスローペースで進み、中盤から後半にかけて徐々にペースが上がっていき、最後の直線でどれだけ伸びることができるかという勝負になる。マイルなら誤魔化しが利いても、この距離ではスタミナのない馬は直線の半ばで垂れてしまう。
昨年のソダシがそうだったように、特に桜花賞で先行して結果を出したタイプは、本質的にオークスには合わないのだろうと思う。

とりあえず血統的なファクターは置いておいて……他のデータから考えられる桜花賞組から好走できるパターンとしては、後方から鋭い末脚を使う差し馬ということになるだろう。
今年の桜花賞は、内枠有利の馬場を活かして先行したタイプと、外枠から直線で一気に追い込んできたタイプが最後はひと塊になってゴールした。
外側も伸びないわけではなかったけれど、内側が垂れない分、上がりを使っても届かなかった形となる。
したがってオークスでは、それらの馬を狙ってみたい。

◎サークルオブライフ
ナミュール
▲スターズオンアース
▲ベルクレスタ
プレサージュリフト
△エリカヴィータ
△ルージュエヴァイユ
△アートハウス
☆ウォーターナビレラ
注パーソナルハイ

人気になっている通り、普通に考えたら最も確率が高そうなのはサークルオブライフ以外にはいないだろう。
というのも、桜花賞の負けは強烈なトラックバイアスによるものと考えれば参考外でいいし、その中でも上がり最速を繰り出していて後方勢の中では最も高いパフォーマンスを見せている。
血統的にも、欧州的なスタミナと東京の直線で活きるスピード因子が入っていそうなところが魅力的であり、鞍上はオークスで頗る成績の良いデムーロ騎手……もはや買い要素しかないように見えるのが逆に気持ち悪いけれど、たとえば極端に調子を落としたまま出走してくるなんていう「事故」でもなければ、馬券外に飛ぶとは考えにくいのだ。

対抗評価のナミュールは、桜花賞の結果を受けて人気を落としているようなら買いたいと思った。
実際のところ先頭からの着差は大したことがないから、あのレースは枠を変えてもう一度やればいくらでも勝ち馬が変わっていたと思っている。
サークルオブライフよりも内容が悪かったのは確かだけれど、当日の出来次第では十分に世代トップクラスの能力を発揮できる可能性はあると考えたので、オークスでは是非とも赤松賞チューリップ賞で見せた豪脚を再び披露してくれることを期待したい。
距離については母父ダイワメジャーだから云々という意見を目にしたけれど、父はハービンジャーだし、中団で折り合えさえすれば十分に保つと考える。

スターズオンアースは、上に書いた条件に当てはめると、求められる適性とは合わないということになるけれど、そろそろGⅠでの活躍が目立ってきそうなルメール騎手が普通に強そうな有力馬に乗るということで、消すわけにはいかなかった。
大外枠なのはスタミナ不安の牝馬にとってマイナスに働くことは確かだろうけれど、ダービーとは異なり大外イコール絶対的な不利とは言えないデータがあるため、しっかり折り合えれば戦績が示す通り好走する可能性は低くない。

ベルクレスタとプレサージュリフトは、桜花賞で後方から末脚を使った馬で、ハマれば馬券になる可能性があると思った。
このあたりの馬は、サークルオブライフにしてもナミュールにしても、状態と位置取りによって大きく入れ替わってしまう気がするので、追い切りから当日の馬体重まで諸要素を注視したい。

エリカヴィータ、ルージュエヴァイユ、アートハウスは別路線組ということで、桜花賞組との実力差を測りかねるところがあるけれど、前哨戦での好走と鞍上の実力を評価している。
特に川田騎手の会見での発言には、つい応援したくなるものがあった。馬券的には美味しくないから軸にするのは微妙ではあるものの、紐には入れておきたい。

ウォーターナビレラは、まさにオークスで走る馬とは真逆のタイプであり、データ的には即消しレベル……なのだが、もし鞍上の武豊騎手がレース傾向を完璧に把握していて、先行せず後方から一気の競馬に懸ける道を選んだのなら、突っ込んでくるかもしれないと思ってしまった。
しかし、オッズは不味い。馬券になったら拍手するということにして、諦めるしかない気もしている。

最後にパーソナルハイだが、他に逃げそうな馬がいないため、スタートがまともならこの馬がハナを奪うと思われる。
道中、かなりスローに落とし込んだ上で、前残りの競馬に誘導すれば、ひょっとすると後方勢が届きづらい展開になるかもしれない。
基本的にオークスで逃げは不利だから、それほど考慮する必要はないのかもしれない。実際、勝てるとは思っていないけれど、万が一そういうパターンになった場合に粘り込むことがあるとしたら、完全に無視はできないと思ったのだ。

 

考えれば考えるほど、買い目が増えていきそうなのが競馬の怖いところだけれど、今年は絶対的に軸として評価できる馬がいないから予想が本当に難しい。
まだ牡馬は絞れるのだけれど、牝馬はレベルが高いのやら低いのやら、こういう世代は数年が経ってからでないと、明確に評価が定まらない気がする。