K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

最近のYouTube話

YouTubeを見ていたら、たまたま「おすすめ」に上がってきた某動画をきっかけにして、私の感覚が歪な方向に捻じ曲げられようとしている。
チャンネル名は書かないけれど、主な内容としては野生の生き物を取ってきて、様々な実験をしたり食べたりしている興味深い動画で構成されている。
特に多いのは虫を対象にした生々しい映像で、ちょっと虫が苦手、くらいの人であれば、しばらく動画を見ていると苦手意識が薄れてしまうほどに強烈なシーンが視界に飛び込んでくる。

 

そもそも、なぜこのような奇天烈なチャンネルが私のページに表示されたのか非常に謎なのだが、私は私で頻繁に頭のおかしな検索をしていることは否定できないから、こいつになら「おすすめ」しても拒否されないだろう……などとAIに判断されたのかもしれない。
それにしても、チャンネル登録者数は100万人を超えていて、各動画の再生数は2桁万から3桁万ばかり……広告収入だけで既に数億は稼いでいそうな凄みを感じる。
意外と、日常生活では触れることのない「大自然の恵み」に関心を持っている人は多いのだろうか。
一瞬でも嫌なものが映ると動画を閉じてしまいたくなるタイプの人を除けば、見ていると次第に面白くなってきて次々と驚きの映像を追ってしまいたくなる。他にはない、特別な魅力に溢れているということなのかもしれない。

おかげで、すっかり私のYouTubeのホーム画面は、一部が妙な動画のサムネイルによって埋め尽くされる羽目になった。
全部を見るつもりはないけれど、作業用BGMのような感じで、適当に開いて画面の隅に置いて流しておくのも悪くないと思ってしまっている。
もともと私は虫が苦手なのだけれど、どれだけ嫌悪感を覚えそうな絵面であっても画面越しなら問題なく見られるようになった。
もちろん、リアルで虫に近づいたり触ったりするのは無理だと思うが、もし部屋の中に見たことのない虫が現れたとしても、以前よりは冷静に対処できるようになった気がする。

客観的に考えると、動画内で展開されているのは悪趣味極まる行為なわけだが、自らの生活や身近な社会空間とは結びつけて考えず、博物館や水族館、図鑑や研究材料といった教養ないし参考文献のような位置づけで捉えることによって、こうしたチャンネルが「おすすめ」されることを許容できるようになった。
単純に、新しい観点から好奇心を刺激してくれる存在だから、退屈な日常においては助かりさえするのだ。
自分で真似しようとは決して思わないけれど、世の中には途轍もなく奇特な趣味を持った人間がいるものだと勉強になった。

 

余談だが、YouTubeの使い方に関して、私は比較的ストイックな傾向にあると考えている。
というのも、こうして面白いと思ったチャンネルは過去にもいくつかあるのだが、ほとんど未登録なのだ。
チャンネル登録していなくても、自分が興味を抱いているうちは最新動画や配信のサムネイルがトップに表示されるようになっているし、興味を失ってページを開かなくなれば表示回数が自然と減っていくからだ。
毎日とか毎週とか、ほぼ欠かさず習慣的に見ているチャンネルについては検索するのが面倒だから、片手で数えられる程度だけ登録してはいるものの、基本的には気になったら調べればいいというスタンスなので、YouTuberの常套句である「チャンネル登録お願いします」には反応したことがない。

似たような理由で、わざわざ「高評価」を押すこともないのだけれど、結局のところ私は動画投稿主や配信者そのものが好きなのではなく、一期一会で出会うコンテンツ自体に好意を寄せているだけなのだろう。
細かい応援の一つひとつが巡り巡って彼らの支援となり、より良いコンテンツ提供に繋がるという仕組みは理解しているけれど、私一人が怠ったところで大局的な影響は発生しない。
システムの問題と、個人的な感情を同一視するべきではないのだ。こういうのは、積極的に支援したい人が支援すればいい。私はせいぜい、他の支援者に感謝しつつ、美味しいところだけ享受することに全力を注ぐとしよう。