K's Graffiti

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夏と電気のジレンマ

この猛暑日に逆らう危険な挑戦ではあったが、どうにか生存を果たした。
なんの話かというと、簡単に言えば電気代の節約に関わる取り組みなのだが……今日は暑いがゆえに電力需要が非常に高くなっていた。
冬にも同様の事象が発生するのだけれど、人間が快適だと感じる気温から離れれば離れるほど、エアコン使用時に必要な電力は増加する。同時に、世の中の需要も増しているため時間あたりの価格が上昇し、春や秋などの過ごしやすい季節と比べて、電気代は勢いよく跳ね上がるという寸法だ。

 

前提として、現在の契約形態が不本意にも市場価格連動型となってしまっている点について触れなければならない。
もともとは市場価格に関係なく使った分だけ請求されるタイプだったのに、この春先に契約内容の変更が行われてしまったという経緯がある。
こういうご時世だから仕方ないし、節約に努めればコストを抑えられるという自信があったからこそ、他社に乗り換えることを検討しなかったわけだが、実のところ先月や先々月の分は従来の契約よりも安く済んでいた。
今はどの会社も厳しいようだし、わざわざ手間をかけて損をするかもしれない道を選ぶよりは、一年以上の実績を信じた形になる。結果的に、悪い判断ではなかった。

しかしながら、季節は変わり夏となり、状況に変化が生まれる。これだけ暑いと、エアコンの力を借りなければまともに生きことはできない一方で、使用量を削減しなければという意識が働いて板挟みになるのだ。
幸い、日頃からスポット価格を注視しているおかげで、翌日分に限り事前に節約の行動を決めることができる。
今日は午後に入ってから夕方を過ぎるまで、直近数週間の平均価格の2倍近い水準で推移することが確定していた。つまり、昨日や一昨日の感覚でエアコンを稼働させていては、たった一日で数日分の電気代を求められる可能性がある。
快適さだけを追求するなら細かい価格なんて無視すべきなのだろうけれど、出費を抑えるというミッションを己に課している以上は、なんらかの工夫が必要だった。

JEPXスポット価格_20230712

まぁ結論としては、身体的なダメージを考慮すると、決して推奨されるべき行為ではないという確信を得た。次に似たようなシチュエーションに直面した時には、はたして同じ選択をするかは微妙なところだろう。
具体的には、気温がピークを迎える昼過ぎからエアコンを停止させて、扇風機を風に当たり続けるという手段に出た。扇風機を動かすための電力はエアコンに比べると僅かなもので、こちらは特に抑える必要がない。至近距離からの強風ならば、たとえ猛暑に包まれたとしても耐えられるのではないかと思ったのだ。
実際、脂肪の少ない我が肉体は放熱性に優れており、多少の暑さなら問題なく過ごせる。
冬は全身が動かなくなって困るから、これだけ暑くても夏のほうがマシだと思うあたり、本当に寒さへの耐性がないのだと実感する。

残念ながら風によって体感温度を下げるのにも限度はあり、夕方くらいには熱風を浴びている感覚に陥らざるを得なくなった。
扇風機からの強い風を浴び続けていても息苦しさを否定することはできず、とうとう高温多湿の地獄に苛まれる羽目になったので、きっと普通の人なら熱中症で倒れても不思議ではない環境だったのだろう。
どうにか20時台になるまで耐えきったものの、全身は汗でベトベトだし、飲んでも飲んでも喉は渇くし、何も良いことがなかった。
最終的に室温は33℃台でのフィニッシュになったが、気持ちとしては32℃あたりを上回った時点で限界を感じていた気がする。早く、早く終われと心の中で嘆きが止まらなかった。

 

ここから週末にかけては雨の予報なので、気温もスポット価格もそれほど極端に高くなることはないと思われる。
それから、電力市場を観察していた気づいたことなのだけれど、土日は平日と比べて世間一般の電力使用状況が違うらしく、わりと価格が控えめになる傾向がある。
次の土日そして祝日の月曜は暑くなりそうではあるものの、もっと警戒すべきは休み明けの火曜水曜あたりになるだろう。

いちいち時間ごとの価格をチェックして電気を使うかどうか、節約するかどうかを決めるなんて面倒だと思われるかもしれないが、前日に出ている情報を調べるだけなので、実は大したことがない。
今日みたいなエアコンとか、多くの電力を必要とする洗濯乾燥機を使いたい日に、スポット価格を把握して時間を調整するだけで、おそらく10%〜20%は電気代を削減できるはずだ。習慣化してしまえば、単純に日々のコストを減らせる営みになる。
体調を崩すほどの無理は禁物ではあるものの、ちょっとした意識の違いで出費を浮かせられるのであれば、やらない手はない。