K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

HELLO HORIZON

「Inori Minase LIVE TOUR 2021 HELLO HORIZON」最終公演に参加してきた。
短いような長いような、妙な二年間だった。
二年前の六月、初めて一人で参加したライブの光景は今でも鮮明に思い出せる。あの武道館で体験した名状しがたい感情をもう一度……その想いは、昨年には叶わなかった。
だからこそ、今回のライブで貰ったものの価値はより大きく、今後もし振り返ることがあれば、きっと特別な気持ちで思い出すことができるだろう。

 

先週は、まだライブが迫っている実感がないと書いていたのに、当日になると変な緊張感でテンションがおかしくなってしまった。
狂った生活リズムだって、自分にとって重要な用事が入れば無理やり曲げることができる。
昨年に購入したライブグッズのTシャツを着て、タオルをペンライトと共に鞄に入れ、気持ちは十分に高まった。あとは会場に行くだけという段階になって、ようやくライブイベントが始まるのだという実感が湧いてきた。

横浜アリーナに赴くのは初めてのことで、単純に住んでいる場所から遠いから移動が面倒というマイナス要素はあったけれど、会場は思っていた以上にきれいだったし座席の間隔が快適だったので、往復の疲労込みでプラマイゼロといったところだろう。
映画鑑賞をしていても思うのだが、集中できてストレスが全然ないからキャパ半分という慣習これから一生続けてくれないだろうか。
まぁ現実的には収益半減という問題があるから、そのうち元に戻っていくのだろうけれど。

座席はアタリ寄り。武道館と似たような位置関係ではあったが、距離が近い分だけお得感がある。
どうにも写真を取るのに不慣れで、手ブレと曇ってしまっているのが残念ではあるが。

HELLO HORIZON

今回は事前に情報収集をしていなかったので、セットリストがどうなるのか予想をする楽しみがあった。
基本的には観客の前で披露したことがない曲が中心になると思っていたけれど、それ以外の選曲については定番を除けば少し古めのラインナップになるのではないかと考えていた。
結果、その予想は概ね合っていたようで、何度が泣きそうになったくらい大きな感動を得ることができたように思う。

ハズレ曲が少ないアーティストだから、どんなセトリでも嬉しい気持ちはある。ただ、たくさんある中でもCtRよりも前のライブで歌われていた楽曲はCD音源で長く聴いている分だけ、生歌への欲求が高まっていると言ってもいい。
そういう意味では、三月と群青アルペジオSweet Melody などは非常に刺激を受けた。たぶん、これが「エモい」というやつなのだろう。
ダブルアンコールでラストの曲となったまっすぐに、トウメイに。なんかは流れた瞬間に会場全体が驚いたような反応があって、私もびっくりしたけれど、不思議な感情に包まれた。こればかりは千秋楽の特権というやつだろう。

一連のセトリの中で、じんわりと涙が浮かんだ曲が三つある。
一つ目は思い出のカケラだ。
どちらかと言えば地味なほうかもしれない楽曲だけれど、個人的にはかなりお気に入りの曲調で幸福感が高まる。トラエタみたいに盛り上がる系も好きではあるけれど、本質的にはバラード調のほうが落ち着くし、日常的に聴いている回数は多い。

二つ目は Starlight Museum だ。
実は、昨年に初めて聴いた時にはあまり合わない気がしたのだが、何度かリピートするうちに好きになってしまった個人的スルメ曲でもある。
彼女は歌声で壮大な空気感を作り出すのが上手い。BLUE COMPASS とも共通しているようなエッセンスに、思わず衝撃を受けるのだ。
CD音源とは明確に異なるけれど、劣ることもない歌唱力。マイクと巨大スピーカーを通じてそれを全身に浴びる感覚は快感そのもので、最後の伸びまくる高音には脳汁が溢れた。

三つ目は 僕らは今 だ。
中止になった「We Are Now」の悔しさを解消する場所を、ずっと探していた。今回も声出しは禁止で、心の中で叫ぶのみ。それでも、二年分の溜飲を下げるには十分な破壊力があったように思う。
マスク着用で助かった。彼女の口から「僕らは今」が放たれた時点で、既に顔がぐちゃぐちゃになりそうなくらい感極まる思いだった。
やはり、とんでもない曲だと思う。またいつか、今度は会場の全員で熱唱できる日が来ることを、ついつい願ってしまうような、心地好い後味だった。

さて、素晴らしいライブの余韻に浸りつつ、しかしながら時間も時間なので指示に従いさっさと順番に退場し、黙々とオタクたちの流れに乗って駅に向かう帰り道、身体が猛烈に疲れていることを自覚した。
滅多に外出しない引きこもりにとって、長時間の移動に加えてほとんど立ちっぱなしのライブ参加というムーブは、若干の厳しさがあったようだ。しばらく体力回復のために寝込む日々が続くかもしれない。


まったく関係のない余談だが、秋華賞はソダシを軸にしていたため敗北した。
ソダシ以外はほぼ当たりだったから、点数を増やしていれば当てられた可能性は高い。
まぁその場合、ガミりそうではあるけれど。
そろそろGIで当てたいところ。