出走馬の獲得タイトル数だけで言えば史上最強クラスのメンバーが揃った今年の安田記念だが……これを書いている金曜夜の時点では大雨が降っており、今後の天候次第ではあるものの、速い時計の出やすい良馬場で開催されることはなさそうなのが残念なところだ。
道悪も競馬の要素であり、予想の楽しみの一つでもあるわけだけれど、今シーズンは荒れた馬場のレースが既にたくさん行われてきたこともあって、そろそろマイルらしい高速決着が見たいと思っていた。そのため、あまりテンションが上がらない。
実際のところ、当日の馬場状況がどうなるのか、前々日の段階で正確に見極めるのは不可能と言っていい。
予報では土曜の午後から晴れて、日曜日は晴天らしいのだが、重か不良で行われる土曜のレースの影響で馬場はボコボコに荒れてしまうだろう。
普通に考えたら内側は使いものにならず、外側を走る馬に有利なトラックバイアスが生まれるはずで、近年の外差し有利な安田記念の傾向がさらに強まるのではないかと思われる。
しかし、前日に雨が降って当日は晴れというパターンは、場合によっては真逆の傾向が表れることがある。わかりやすい例で言うと、昨年の高松宮記念やオールカマーだ。
含水率や当日の天候で変わってくるとは思うけれど、晴れていれば徐々に馬場は良に向かって回復していく。そして、馬場というのは内側から乾いていくものなので、レースのタイミングによっては、内側だけが乾いて速く走りやすく、外側は全然スピードが出ない、なんてことになりかねない。
馬場全体がフラットに水分を含んでいる状態なら、荒れていない場所を走りやすい外枠の馬を重視したほうがいい気がするけれど、内と外でクッション値が大幅に異なるとなれば、今度は内枠しか勝たないレースになる。
そういうわけで、実際に馬券を考える際には、馬の能力比較以上に馬場の見極めが最重要となるだろう。
1⃣枠①番 ナランフレグ
1⃣枠②番 メイケイエール
2⃣枠③番 ジャックドール
2⃣枠④番 セリフォス
3⃣枠⑤番 ソダシ
3⃣枠⑥番 ダノンスコーピオン
4⃣枠⑦番 ガイアフォース
4⃣枠⑧番 ドルチェモア
5⃣枠⑨番 シャンパンカラー
5⃣枠⑩番 ソウルラッシュ
6⃣枠⑪番 イルーシヴパンサー
6⃣枠⑫番 ナミュール
7⃣枠⑬番 レッドモンレーヴ
7⃣枠⑭番 シュネルマイスター
7⃣枠⑮番 マテンロウオリオン
8⃣枠⑯番 カフェファラオ
8⃣枠⑰番 ウインカーネリアン
8⃣枠⑱番 ソングライン
今から断定することに大きな意味はないため、今回は内有利と外有利の両方で予想していきたい。
まぁ中途半端に馬場が乾くことは珍しい気もするから、個人的には後者を推していきたいところではあるのだけれど、狙った馬がことごとく力を出しきれず敗北なんてことになったら悔しくて仕方ないだろうから、当日の選択はともかく、予想の時点ではちゃんと考えていたという証を残したいのかもしれない。
仮に内だけが乾く特殊馬場で開催されるとしたら、以下のような印で行きたい。
◎ソダシ
◯ジャックドール
▲セリフォス
△メイケイエール
△ソウルラッシュ
今回、前に行きたい馬が多いため、ハイペースになるかはわからないけれど、あまり道中に緩まない、締まったペースになると考えている。
外からウインカーネリアン、内ではソダシ・メイケイエール・ジャックドールあたりが先行争いをすることになると思うが、おそらくソダシは逃げたくはないだろうから、いつものように2番手3番手あたりの追走を選択するだろう。
ジャックドールは中距離の逃げ先行馬なので、マイルのラップでは楽にハナを奪うのは難しいはずで、ひょっとしたらソダシの後ろくらいから追走することになるかもしれない。
そうなると、逃げることになるのはメイケイエールかウインカーネリアンだと予想するが、内枠と気性の分だけメイケイエールの主張が大きいだろう。出遅れだけが心配で、そうなったら他馬に迷惑をかける可能性もあって想像したくないところではあるが、普通にゲートを出たら大丈夫なはずだ。
隊列はスムーズに決まり、あとは直線で内前の馬が雪崩れ込むだけ。簡単なレースになる。
コース実績、能力ともに十分なソダシは、このトラックバイアスなら外すことはできないし、やや忙しい気がするジャックドールも展開を味方にすれば能力的には足りているだろう。
セリフォスはレーン騎手次第ではあるものの、道中はじっと構えて脚を溜め、直線でインを突くような動きができれば、前で消耗した馬たちを差しきることも可能なのではないかと思う。
メイケイエールの逃げ粘り、あとはスタート後のポジションによってソウルラッシュにもチャンスがあると考えている。
逆に、例年と同じく外差しが優勢の馬場だったとしたら、以下の印で馬券を組み立てるつもりだ。
◎シュネルマイスター
◯ソングライン
▲ソウルラッシュ
△イルーシヴパンサー
△ソダシ
馬場が完全に回復するとは思えないものの、内が死んでいるとしたら、こうするしかない。
安田記念はリピーターレースであり、基本的には過去の好走馬から狙いたい気持ちがある。その上で、道中をスムーズに運べそうな末脚の鋭い馬となったら、シュネルマイスターとソングラインは無視できない。
2頭の比較は難しく、どちらが絶対に上ということはないと思っているため、本命対抗の印は飾りのようなもので、展開やペースによってはどちらが勝っても不思議ではない。
ここでもソウルラッシュの名前を挙げたが、やはり枠が良いことと、超高速決着にはならなそうな状況がこの馬の好走を予感させるのだ。昨年の同舞台では明らかに力を発揮できていななかったし、富士ステークスでもマイルCSも敗れはしたものの僅差、前走は太め残りの叩きで3着と思えば、メイチ仕上げの今回は期待できる。
どのような展開にせよ本命視するまでではないけれど、馬券の軸としてソウルラッシュを選びたい気分だ。
あとは、外から末脚を使えそうな馬としてイルーシヴパンサーにもチャンスがある。前年は謎の1人気に支持されたものの凡走で終わってしまったが、能力がないわけではない。
展開の助けは必要だろうが、ハマれば馬券内に突っ込んできてもおかしくないのだ。
それから、たとえ馬場と展開に嫌われるにせよ、ワンターンのマイルならソダシは押さえておかなければならない。私はソダシとの馬券的な相性が悪いため嫌々ながらではあるのだが、このくらいの評価ならむしろ紐に入れやすい。
馬場傾向によって好走馬がガラッと変わりそうな今年の安田記念は、きっと直前まで頭を悩ませることになるのだろう。
馬券は買うかどうかは……今のところ買わない寄りの気持ちでいる。どうせ買っても当たらないし、競馬なんて予想の答え合わせをするだけで楽しいのだから。
とはいえ、エア馬券用の買い目は書いておこう。
■3連複 フォーメーション（5点）
⑤－③④－②③④⑩
or
⑩－⑭⑱－⑤⑪⑭⑱
私の好きな⑫ナミュールは消し……というわけではなく、今のところは下のほうの評価というだけで、状態が良さそうなら買い目に追加することも検討している。
枠は悪くないし、前走の消化不良感を晴らすためにも好走を願ってはいるのだ。本当は末脚を活かせる良馬場のほうが向いていると思うのだが、道悪のエリ女でも走れているから大丈夫と信じたい。
まぁいずれにせよ、とにかく全馬が無事に完走することを祈って日曜日を待ちたい。
