K's Graffiti

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長編漫画

最近のワンピースブーム……インターネットを生活の中心にしていながら、ほとんどTwitterを見ておらずニュースに疎い私にとっては不思議な流行なのだが、ざっと調べた感じでは原作漫画と映画の盛り上がりということらしい。
前者は徐々に明かされる世界観などの謎に対する反応が多く、後者は特定のキャラクターに注目が集まっているとのこと。
私の場合、昔は空島やアラバスタをアニメで見ていたし、魚人島あたりまでは原作を追っていた記憶があるのだけれど、ここ数年はめっきり触れる機会が減ってしまっていた。

 

おそらく、コナンと並ぶ長編漫画として連載が続いている名作になるのだろうが、ここまで長いと昔から欠かさず読み続けているという人は珍しいと思う。
まぁ離れていても、先日の無料公開のような機会を見つけて、一気読みで追いつくという人は少なくないかもしれないけれど。
正直、私はコンテンツ自体への関心をほとんど完全に失ってしまっているし、今から再燃する材料が自分の中に残っているようにも思えないから、たまに流れてくる話題を横目で追うことくらいしかできない。
可能性があるとすれば、何年後か知らないが完結した時に気が向けば……というくらいで、それで言うならコナンのほうがまだ関心が大きいから、結局は後回しになってしまいそうではある。

コナンの映画は近年、エンターテイメントとしての価値を手に入れることに成功したため、原作を追っていなくても映画は毎年の恒例で観にいく、という人が結構いるはずだ。
私は確か90巻くらいまで原作を保有していて、以前は発売直後に買って読むくらいの、そこそこのファンだったのだけれど、特にこれという理由はなくフェードアウトしてしまった。
映画は面白そうだったら選択肢に入るものの、基本的には完結待ちというか、物語の核心がある程度は明らかになって一段落つくところまでは取っておくスタンスで過ごしている。

両者ともに国民的コンテンツゆえの宿命というか、知らない人はほとんどいないし、定期的に話題になるから今後も効率的に金を稼ぐ装置として利用されることになるのだろうけれど……個人的には引き伸ばさずに終わってほしいという気持ちが強くなってきた。
コナンはまとまった回数でエピソードがひと区切りする作りになっているから、まだマシなのだ。最悪、読まなくても済む話が半分以上を占める。
しかし、ワンピースはひと繋がりの物語であり、たとえば単行本一巻分を欠損しただけでもストーリーを十全に楽しむという意味では致命的になってしまうだろう。
どれだけ伏線を散りばめていて、上手く回収しようと描写に力を入れていたとしても、長すぎる物語は読者から莫大なエネルギーを奪うことになる。体力のない読者は、きっと次々と脱落しているに違いない。

 

そんなことを考えている私の直感に反して、世間はワンピースで盛り上がっている。なぜなのか。
まさか、全員があの長大な物語を読み込んでいるはずもないし、映画は毎年公開されているではないか。どうして今年は、こんなにワンピースの文字を目にするのだろう。

世の中への観察が足りていない自覚はある。
これは何も知らない私が、想定していなかった世間の動きに疑問を抱いているだけの話であって、たとえば現在進行系でワンピースを楽しんでいる当事者であれば、ごく自然な現象と思えるのかもしれない。
似たような感覚は鬼滅ブームの頃にもあったのだが、カジュアルな作品、というかオタクではなく一般に広く普及しウケているコンテンツというのは、そうではない作品とは異なる心持ちで向き合う必要があるのだろうか。
そうだとしたら、私は今後もワンピースを楽しめるようになれない気がする。