K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

睡眠の悪魔

先週末は生活リズムが壊れてしまって整えるのが大変な状況だったわけだけれど、なんやかんやあって昨夜は強い眠気を覚えることができたので、強い意志があれば早寝することは可能だったように思う。
しかし、なんとなく眠りたくない事情が出来てしまったせいで、結局は8時くらいに就寝する羽目になり、元通りというわけにはいかなかった。

 

少し前までの安定感あるパターンは5時に寝て12時に起きるパターンだったのだが、ここ最近それでは上手くいかなくなっていた。
というのも、朝の5時頃に快適な睡眠環境が成立しないという不運が発生していたからだ。
原因は例によって隣人……と言いたいところで、実際に隣人ではあるのだけれど、いつもの奴ではない。反対側の住人の存在が、久々に鬼門となっている。
過去に、早朝の目覚ましバイブレーションが一生鳴り続けているという話で日記を書いたことがあった。その本人が、このところ再び大きなストレス源となっているのだ。
具体的に状況を説明すると非常に単純な話になってしまうのだが、隣人の強烈な鼾が私の神経を逆撫でている、という一言に尽きる。
病気を疑いたくなるくらいには爆音で、壁や床には僅かに振動が伝わってくるし、ベッドの上に横たわっていると一層、それが顕著に私の鼓膜を刺激してくる。
神経質な私にとって、とても眠れる環境ではない。

以前から、うるさい鼾をする人間だとは思っていたのだけれど、その発生確率は50%を下回っているくらいだったし、強度もそれほど大きくはなかった。本当に、たまに気になる程度だったのだ。
それがここ最近は連日、夜から朝にかけての静寂に豪快な音が響いている。
生理的な症状だから、悪意のある反対側のガイジとは違って管理会社から注意喚起を求めるのも難しい気がするし、仮に指摘したところで即座に改善が見込めるものでもないだろうから、困ったものだ。
私は痩身かつ鼻呼吸がスムーズなほうなので、おそらく鼾を出したことは過去にない。他人から指摘されたこともない。だから、そういう人体構造を持つ人間の気持ちがまったく理解できない。
鼾をしないように気をつけろと言ったところで、どれほどの効果があるのだろう。防ぎようがないのではないか。

物理的に響く音なので対策の難易度は高く、すぐに思いつく案としては、睡眠時間をずらすか寝床を変える、くらいだろう。
前者は、規則正しい生活リズムを守ることにこだわらなければ実現可能ではあるものの、思い通りに眠ることを許されないストレスとは向き合わなければならない。
後者は、ベッドの向きを変えるという肉体労働が、貧弱な私にとっては大変に厳しい動作である上に、頭の位置を逆方向に向けたところで完全に音を遮断できるわけではなく、快適に眠れる環境を作れる保証はない。
あとは、イヤホンで耳を塞ぎつつ爆発が気にならない程度の音量でリラックスできる音楽を流しながら睡眠を試みるくらいのものだが、耳を痛めるリスクを抱えるため気が進まない。寝返りを打ちづらくなるのも嫌なところだ。

 

今日の話に戻るが、多少の無理を身体に強いた影響で、思っていたよりも睡眠時間は長くなった。途中で何度か時間確認程度に軽く目覚めはしたものの、最終的に布団から出たのは18時を過ぎたところで、流石に寝すぎた感は否めない。
ただ、たっぷり眠ったという以上に、起きる要因となったのが隣人の鼾だった。
正直、意味がわからない。自分のことを棚に上げる物言いにはなるけれど、18時なのだ。普段は夜から早朝に盛大な音を奏でている隣人が、なぜ夕方にグースカ眠っているのだろう。いったい、どんな生活をしているんだ。
そんなわけで、長く眠ったようで実際には不愉快な鼾に叩き起こされる形で目を覚ます羽目になったせいで、寝起きの機嫌は非常に悪かったし、10時間の睡眠のわりには疲れが取れていない感じがする。

もしかしたら、眠ろうと思って布団に入るくらいの状態では、眠ってはいけないのかもしれない。
もうこれ以上は意識が保たない、限界だ……それくらい長時間の覚醒状態を維持し続けた上で倒れ込むように眠るスタイルでしか、私が納得できる睡眠の質を手に入れることはできないのではないか。
隣人の都合を把握することは不可能である以上は、私自身が些細な音に影響を受けるコンディションから逸脱する必要がある。

ああ、生命はどうしてこんなにも苦しい所業を、生きていくために必須の行為に設定してしまったのだろう。
眠らなくても大丈夫な肉体こそ、本質的に私が求めているものなのかもしれない。