K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

Earth color

海の日ということで、昨日と一昨日の二日間、ニコ生にてアニメの一挙放送が行われた。

凪のあすから

私の人生において、かけがえのない作品の一つだ。

 

私がアニメを見るようになった原点はCLANNADなのだけれど、人生の方針やモノの考え方という部分に大きな影響を与えたのが、「凪あす」だ。
とりわけ思春期以降に陥りがちな、半ば哲学的な思考の迷宮において、私に一つの解を与えてくれた作品でもある。

まぁこの記事で作品の考察を語る気はないし、長々とした感想も放送当時にTwitterで無限に垂れ流したから、わざわざここに書き起こすつもりもない。難しい話は置いておいて、ここで記しておきたいのは、あらためて見てみてやっぱり素晴らしい作品だと思った、ということ。

放送が終了してからも数年に一度、ニコ生やAbemaで放送されることがあり、特に前者では画面にコメントが流れる昔ながらのノリが好きなので、見られるときには見るようにしていた。
そして毎回思う。やっぱり神アニメだ、と。
伏線の張り方、物語の構成、揺れる感情の表現、目を奪われる映像美、どれをとっても魅力が詰まっている。

本放送時、前半の最終話である13話は、年末に放送された。衝撃的なラストで、続きが気になる展開。しかし一週間後は正月特番のため、二週間待たされたという経緯がある。そこからさらに衝撃的な14話を見せられて、一気に凪あすの世界観に虜になった。
これだよ。この感覚。これが見たいから、私はアニメを見続けるんだ。素直にそう思えるくらい、すっかり魅了されてしまったのだ。

よく2クール目から本番、なんて評価を受けているのを目にする。それ自体は間違っていなくて、作品の持つ空気感がガラッと変わるので、後半から急にハマる人のほうが圧倒的に多いと思う。上に書いたように、私もそのパターンだった。
しかしこの作品の大事な部分は、前半の1クール目にもたくさんあることに後から気づいた。先の展開や人間関係が頭に入っている二周目以降では、初見時に見逃していた演出にとても驚くことができる。1クール目からこんなに面白かったのかと、より自分の中での評価が上がった記憶がある。
一挙放送の場合は「おあずけ」をくらうことがないから、衝撃という意味では2013-2014を生で体験した視聴者が一番幸せだったかもしれない。けれど、この素晴らしい世界を凝縮して堪能できるという点では、一気に見たほうが破壊力が大きい可能性もある。
どっちにしろ、感情をぐちゃぐちゃにされることができるのだから、見て損はない。

この作品は心から、あらゆるひとに薦めたい。

 

実のところ今回の一挙放送は見るつもりがなかったのだけれど、たまたまニコニコを開いたらちょうど最終セッション前の休憩時間だったため、誘惑に抗えず見ることにした。
何しろ、凪あすの終盤は神回の連続だ。
本来なら、そこまでの20話近い積み重ねがあってこその感動ではあるのだが、私は何周もしていて基本的なストーリーやキャラクターの心情を十分に理解しているので、途中からでも問題なく物語に入り込める。案の定、特定のシーンで感極まってティッシュを濡らすことになった。脱水症状になるんじゃないかと心配になるくらいには。

初見時に受けた感動には及ばないかもしれないが、見ればいまだに大きく感情を動かされ、深い余韻に包まれることができる。
凪あすのように自分の中で「殿堂入り」している作品は、私が以前の感性を失っていないことを再確認できるので、とても貴重だ。

 

ちなみに近年のオリジナルアニメには珍しい全26話構成に加えて、最終話はCMなしで最大限に尺を使っている。スタッフの意気込みが伝わってくるようで、こういう作品には自然と愛が芽生える。いつまでも語りたくなる。
そういう想いを持っている人は少なくないのだろう。検索をかけてみると、とても温かい気持ちになる。

中でも美術監督の東地氏は、たびたびTwitterでその魅力を語ってくれている。凪あす以外にも多数のPA作品において美術監督を担っている方なので、各作品のファンにそれぞれの魅力を発信してくださっていて、PA作品には欠かせない存在だ。
美術ボードなど貴重な作品資料を載せてくれることもあるので、P.A.WORKSのファンとしては、とてもありがたい。