K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

年の瀬の心境変化

他者との交流が皆無であり、食料の買い出し以外には一切の外出をしない私にとって、年の瀬が近づいてきた現在と一週間前、あるいは一か月前の生活には大きな違いがない。
近頃は厳しい寒さの影響で、覚醒から起床までの時間が夏の数倍ほどに長くなってはいるけれど、それを除けば変化を見出すことが難しいのだ。
それでも……それでも、もう今年が終わるのだという実感を得ずにはいられない。年末に特有の空気感は、世間と隔絶された私の固有領域にも確かに届いているようだ。

 

毎週のように楽しんできた競馬の一段落とか、その他インターネット上に溢れる情報の傾向などなど、外部との接点に乏しい私の環境においても、少なからず師走の下旬を感じさせる要素が入り込む余地がある。
たとえば、二年前までは恒例であった冬コミへの参加は昨年に続き叶わないままだが、あれはあくまで年末を感じさせる一つの要因でしかなかったらしい。
こういうご時世ゆえに現地参加の手段が限られるのは残念なことだが、中止になるよりはマシということで、せめてTwitterのTLなどで雰囲気だけでも楽しもうかと思う。

否が応でも意識せざるを得ない年末という一大イベント……特に何かあるわけでもないのに、イベントと捉えてしまうのは昔からの習慣だろうか。他の人間との縁に恵まれない私でさえ、このように考えてしまうのだから、普通の人は慌ただしく過ごしていることだろう。
「年末だから忙しい」というのは、よく聞く話だ。恥ずかしながら、私は理解できたことがない。
忘年会など、知人と会う予定がたくさん詰まっている。仕事に追われて余裕がない。理由は人それぞれだろうが、いずれも当てはまらない私は、むしろ普段よりも暇に感じて過ごしがちだった。
会社は通年ほとんど定時退社だったし、だからと言ってわざわざ予定を調整してまで会うような仲の良い人間は、大学卒業以降には存在しないのだから。別にそれを悲しいとも寂しいとも思わないし、最も優先している自分の時間をたくさん作れることに、むしろ喜びすらあった。

 

一年の総括や来年の抱負を語るには、まだ少し早いような気がするため、直近の出来事について少し書いておこう。
このところの悩みとして挙げたいのだが、実は長年にわたって生活の一部であったアニメを見るという趣味が、失われつつある。
以前はクールごとに感想記事を書いていたし、夏の半ばまではモチベーションが維持できていた記憶がある。しかし、秋以降にパタリと視聴本数がゼロになってしまったのだ。
こんな事態に陥ったのは過去十年で初めてのことで、どうしていいか困っている。まぁアニメを見ることは義務ではないのだから、見ようと思えないのなら見なければいい。そういう考えは、別に間違いではない。
ただ、アニメを見る。そして感想を書く。その流れは、もはやアイデンティティの一部となっていた。見ている余裕がなくなったというわけではないはずなのに、それを実行できないというのは、まるで自身の身体にぽっかりと穴が空いたような感覚に近い。
モチベーションがないのに、見ていないと喪失感を覚える。なんだろう、これは呪いだろうか。

PrimeVideoを久々に覗いてみると、見たかったアニメが溜まりに溜まっている。
時間は有り余っている。気力を出すだけなのだ。
毎週、定期的に見ようとするのは、今の状態では難しいかもしれない。でも、一度に消化を試みるなら大丈夫なのではないか。
作品によって優先度は様々だけれど、今期のアニメの中から『無職転生』を選んだ。
年初の冬クールに11話まで放送されていて、当時は毎週の楽しみにしていた。以前の私なら秋クールの開始時点で、真っ先に手を付けていたことだろう。こうなってしまったのだから、もう仕方ない。昨夜、12話から23話までを一気に見た。

アニメを見るのはSAOプログレッシブの映画以来だったけれど、ほとんど休憩なく最後まで集中して見ることができた。
世界観の作り込みが凄まじく、没入感という点において、作品の選定は正しかったようだ。
長々と細かい感想を書く気はないけれど、簡潔に言うと、素直に面白かった。これだ。これなのだ。アニメを楽しむということは。

これで年が明けてから新しいアニメに熱中できるとは限らないけれど、すっかり忘れていた感覚を少しだけ思い出せたような気がする。