昨日から公開されている『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』第1章を観てきた。
テレビシリーズの放送が2017年の夏のことだったので、およそ三年半近く経ってからの続編となる。詳しい経緯はわからないが、おそらく好評であったことから続編制作が検討され、収益の関係から劇場版という形が選ばれたのではないかと思っている。
私にとっても当時とても楽しみに見ていた注目作で、コロナの影響で延期したこともあり、非常に待ち遠しい思いだった。
実のところ、テレビシリーズの内容は本放送で見てからは、まったく触れていなかった。一挙放送など、たびたび配信サイトなどで企画はあったと思うのだけれど、コンテンツに溢れている現代においては、余裕があるタイミングと重ならなければ見返す機会は訪れないものだ。
とはいえ、「面白かった」という単純ではあるけれど強力なイメージが頭に焼き付いていたので、特に心配はしていなかった。仮に忘れていたとしても、映画でキャラクターが動いているのを観れば、きっと思い出せるのではないか……それほど自信はないものの、なんとなく、そんな風に思っていた。
そういえば、メインキャストの変更があったことで、作品のイメージが変わってしまうのではないかという懸念もあった。アニメの価値を構成している要素として、私は映像・脚本・音声という三つの観点を等しく考えているから、その一つが変わってしまうとすると、以前と同じ作品としては純粋に楽しめなくなる可能性がある。
昨年から公開されているPVを見た感じではそれほど違和感がなく、問題ないと感じていたけれど、実際に見てみなければわからない。
さて、観終わってみて簡単に感想を述べるとするなら、楽しみにしていた『プリンセス・プリンシパル』がそこにあった。それ以外には言い様がないだろう。
面白かったテレビシリーズと遜色なく、なんだか懐かしい気分になった。求めていたそのままを見せてくれたような、期待通りというか期待以上というか、第2章以降が楽しみになる出来だったと感じた。
まぁ何よりキャラクターがかわいいのだよ。それでいて、かっこいいのですよ。
スパイモノらしく、おっさんキャラの渋さも魅力的で、あるいは心理戦や時代を感じさせるロンドンの街並みなどなどロマン溢れる要素満載で、見どころ盛りだくさんといった感じ。
こういう独特の雰囲気があるアニメは大切に見ていきたいと、私は心から思うのだ。
気がかりだったアンジェの声については、古賀葵さんの素晴らしい演技が輝いていて、作品世界の中でしっかりと、以前の魅力を失うことなく存在感を放っていたように思う。
私がテレビシリーズを長いこと見ていなかったから、厳密な意味で今村さんの声を覚えていなかったという解釈もできるけれど、それでも頭の中に残っていたアンジェというキャラクターのイメージとはピタリと合致したのだ。
声というのは数値化できるものではない。印象がほとんどだと思う。だからこそ、このキャスト変更については大成功と言ってもいいのではないだろうか。
軽くTwitterで検索してみたところ、演技については絶賛している声が多く見受けられたので、これは私だけの感覚ではないのだろう。
キャラクターの関係性などを含む、失念していたテレビシリーズのあらすじは思っていた通り、中盤あたりまでで概ね思い出すことができた。ああ、そういえばそんな話だったなぁと思い出せたという事実が、自分の中で作品を高く評価していたことの証にもなるような気がして、あらためて続編が見られることを嬉しく思う。
内容については、一時間という尺の中でよくまとまっていたように思う。『ガルパン』でも感じたことだけれど、一時間というのはテレビサイズの三話分に少し足りないくらいなので、小さい意味での起承転結を作りやすいのかもしれない。満腹にはならないながらも、食欲は十分に満たせるくらいの密度があって、そこそこ満足感がある。
また、劇場で座って観ることを考えると、二時間前後の長さでは疲れてしまうという、これは体力のない私だけの問題かもしれないが、そういう悩みがあるのだ。それが一時間程度だと、いい具合に身体が強張らず、ちょうど体力的にストレスのない鑑賞体験が可能となるので、個人的には好ましい長さであると言える。
そして本作は『ガルパン』と同じくアクタスによる制作で、全六部構成ということらしい。これから当分は、また新たに生きる楽しみが作られるということになるわけだけれど、いったい何年後に完結することになるのやら……まぁ作品に対する全体的な評価を試みるなら、最後まで終わってからということになるだろうから、気長に待ち続けるとしよう。
第2章は今年の秋ということで、延期した分も制作期間に含めるとすれば、完結はおおよそ2027年頃だろうか……いやはや、本当に気の長い話だ。
