K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

アニメ感想(2020秋)

ここ数年で最も豊作だった印象のある秋のアニメたちも一通り最終回を迎えて、なんだか寂しい気分ではあるが満足感もそれなりにある。
視聴本数はアニオタ全盛期だった頃に匹敵するくらいに増えてしまい、実のところまだ全部を見終わっていない。しかしもう年末で月が変わってしまいそうなので、とりあえず視聴完了したものから書いていくことにする。あとは消化でき次第、追加していく感じで。

 

例によって、今期でいったん終了したアニメに絞って書いていく。

 

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

既に何度か他の日記で触れてきたアニメだけれど、やはり今期の中では圧倒的にトップの出来だったと言ってもいいだろう。
過去のラブライブシリーズとは雰囲気がまったく異なる、新しい試み。キャラクターデザインからシナリオ構成まで、慣れた「ラブライブ」ではなかったからこそ、随所にスタッフの工夫が見られる傑作となったのではないかと思う。
キャラクターの魅せ方という点に関しては、9人それぞれの個別回があったことから人によっては物足りなさがあったかもしれないけれど、虹ヶ咲というコンテンツが持つコンセプトが最後までブレずに貫かれていて、最終回までの流れに非常に説得力があった。
そういう意味では、過去作にあったような波乱の展開というのは控えめで、よくも悪くも優等生的ではあったのだろう。だからこそ、あの11話がひときわ輝いたとも言える。
個人的には文句なしの神アニメで、続編が作られるなら是非とも見たいとは思うけれど、これで完結としてしまってもいいくらいに完成度が高かった。
制作に携わったすべてのスタッフに心からの感謝を。

 

魔女の旅々

まず全体として見た時に、非常にバランスがよいという感想を抱いた。バランスというのは、作画もそうだし、盛り上がる話と盛り下がる話の塩梅とか、キャラクターの関係性の描写とか。
このアニメはどうやら各話の時系列がバラバラらしく、放送順にヒロイン・イレイナを見ていくと一貫性に欠けるような印象を受けるのだけれど、それは実のところタイトル通りなので、終わってみれば悪くない構成だったようにも思える。
毎回、異なるテーマに沿って描かれるせいか、おそらく特定の話だけを見た場合、このアニメの評価はきっと人によって大きく乖離することだろう。好きな話、嫌いな話、と一個人の中でも話数によって好みが大きく分かれそうでもある。
ひとつの作品でありながら多様な楽しみ方ができるという点で、見ていてとても美味しいというか、満腹感を覚えるというか、飽きの来ない作品だった。続編があるのかはわからないけれど、永遠に見ていられそうな気さえしてくる。
確か9話が衝撃的な内容で話題になっていたけれど、今から振り返ってみると、あれはあまりにも展開が露骨だった。面白くはあったけれど、本作の最大の魅力はああいう瞬間火力というよりは、1クールを通じて「見てよかった」と思えるイレイナの「旅々」なのだと思う。

 

アサルトリリィ BOUQUET

序盤はただの美少女動物園かと思っていたのだけれど、まったく違うものだった。
本気の熱量をもって百合が描かれた作品、という感じで、何というかこう、もともと百合に興味のない人間にも「百合っていいな……」と思わせてしまう魅力があった。
キャラクターの数がとても多くて、最後まで全員の名前を覚えることはできなかった。ただ、特定のキャラクターとキャラクターとの関係性に重点を置いた描写が非常に印象的だったので、百合のセットで考えるとそれなりに記憶に残っていたように思う。
女の子が力を合わせて戦ったり、風呂でイチャイチャしたりと、毎回少なからず見所があったので、個人的には1話時点からの期待を大幅に上回る満足度だった。作画も安定していて、OP曲もED曲も神、正直なところ目立った欠点と言えば、中盤から終盤にかけてのやや強引な展開くらいだったと思う。

 

無能なナナ

1話のびっくりな展開に驚愕して、一気に引き込まれた。
2話以降も知略を尽くして奮闘する姿は面白かったけれど、中盤以降のナナしゃんのポンコツ無能っぷりをしっかりと堪能するのも悪くなく……ただ少しずつマンネリ感を覚えてしまい、ちょっと微妙かな……と感想が傾きかけているところで、最終回がまた素晴らしいものだった。アニメの切り方では、これ以上ないくらいにバッドエンドではあったけれど、結構感動してしまった。
原作モノの宿命として、物語の途中で終わってしまうからオリジナルエンドにしない限りアニメとして満足のいく評価をすることは難しい。けれど、本作はよく出来たアニメ化だったのではないかと思っている。まぁ原作を読んでいないので実際のところはわからないが。
終盤の話で、故・藤原啓治さんのお声を聞くことができたので、それだけでも満足感が大きかった。収録はだいぶ前だったのだろうなぁ。

 

GREAT PRETENDER

2クールの夏アニメも無事に終了。
初回からすっかりと騙され、2クール目の終盤までの展開でさらに騙されていたことを知り、そしてEDの映像を見てあらためて気づく。主人公はいったい誰だったのか。これは、誰の物語だったのか。
音楽や演出のセンスが抜群で、こういうアニメがもっと増えてほしいなと、個人的には強く願っている。かわいいキャラクターやえっちなキャラクターがたくさん登場するアニメも悪いとは言わないけれど、硬派なアニメのほうが頭を使うし見ていて感性が研ぎ澄まされていく感覚がある。アニメを見ている目的の一つがなんなのか、ということを久しぶりに思い出させてくれた。
いつ、視聴者である自分の認識をひっくり返してくれるのか、という期待が常にあって、毎回それに応える内容を見せてくれたので、退屈する箇所がほとんどなかった。誰にでもオススメできるアニメだと思う。

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII

このシリーズ、原作を読んでいないのだけれど、3期まで続いているということはきっと面白いのだろうし人気があるのだろう。
2期は正直なところ、あまり面白いとは思えなかったので、今作は特に期待していなかったのだけれど……シリーズの中では一番面白かったかもしれない。
最近よく見る気がする、異種族とか異物とかの世界から排斥される存在の葛藤や闘争の物語が軸となっていて、1クールを通じて王道展開だった。
今作は主人公の個人的な戦いというよりは、人々の概念と概念との闘いという印象が強く、毎回多くのキャラクターに活躍の場があったように思う。キャストの数が凄いことになっていたのだけれど、アフレコはかなり大変だったのではないだろうか。
ハマっているシリーズではないため、続編熱望というわけでもないのだけれど、もし作られたら普通に楽しみにして見ると思う。

 

神様になった日

期待のKeyの新作……ということで注目はしていたのだけれど、同じ制作である『Angel Beats!』や『Charlotte』の流れから察するに、あまり期待しすぎないほうが楽しめるだろう、と少し冷ややかな目線で見ることにしていた。
結果は……まぁある意味で期待通りというかなんというか、いやむしろ期待を外れてしまったというか。最終回はそこそこ感動できたけれど、全体的には薄味だった気がしてならないのだ。普通すぎる。
序盤の数話時点では、麻枝准っぽさがよく出ていたように思うのだけれど、物語の中盤以降は過去作にあったような突飛な勢いが感じられず、簡単に思いつく予想そのままに終わってしまった。いったい、なぜなのか。
失敗したリベンジとして面白いもの、感動できるものを作ろうとしたのかもしれない。ただ、あまりにも慎重になりすぎたせいで、彼の欠点でもあり魅力でもある類まれな特徴すら削ぎ落してしまったのではないか。個人的には、よくある良作アニメ、という枠を超えた評価をすることは難しく思えた。
初めからアニメ脚本を考えるのではなく、ゲームを作ったうえでゲームを熟知したアニメ脚本家のプロに再構成してもらうのがいいのではないだろうか、などと思わないでもない。たとえばCLANNADのように。

 

戦翼のシグルドリーヴァ

1話時点での期待度は、今期の中で最も高い作品だった。
さて、最終回を終えた感想としては、残念ながら「どうしてこうなった」以外に出てこない。
3話までは期待感が持てたのだ。けれど、それ以降はどうにも居酒屋でオッサンたちが考えた話、としか思えなくなり真剣に見るのがつらくなってきた。
キャラクターは本当に魅力的で、メインの4人はみんな好きになったくらいだったのだけれど……ひたすらにかわいいし、時にえっちだし、脱げばおっぱいおっぱいという感じで……なんだか物語の本筋とはミスマッチが感ある。
結局、最終回は何がしたいのかわからなかった。「おれたたエンド」っぽいし。
もっとアズズを見せろ。

 

ご注文はうさぎですか?BLOOM

1期では心がぴょんぴょん踊りに踊った萌え豚収容所。実は、2期については途中で見るをやめてしまったので、今作を完走できるか不安があった。結果、杞憂に終わったけれど。
1期の印象との比較が主になるが、キャラクター同士の関係性が進んできたこともあって、心に来るエピソードが多かったように思う。毎回、Bパートではちょっと泣かされそうになる演出が光っていた。
単に美少女がわいわいやっているだけのはずなのに、見終わった後には「見てよかった」と思える気持ちが残るので、3期ということもあってとてもしっかりと作られていたのだろう。ここ数年、私はこういう日常系アニメは避けがちなのだけれど、本質的には嫌いではないのだと思った。

 

魔法科高校の劣等生 来訪者編

1期って何年前だっけ? という感じで見始めた本作だけれど、それまでの流れや登場人物の設定・関係性などがすっかりと頭から抜けていたので、何が何やら……と序盤はあまり楽しめなかった。
正解は、深く考える必要などなく、ただお兄様の活躍を見ているだけでよかったのだけれど。
原作未読で大半の固有名詞や物語上のキーワードが意味不明だったものの、お兄様のチートっぷりを眺めているだけで30分が過ぎていくのだから、ある意味で凄いと思う。コメントを同時に流していたほうが、より楽しめたかもしれない。
作画は安定感があって、魔法の演出であったり、いちいち醸し出される色っぽさだったり、情報量が多くて映像面には満足できた。
これもきっと、続きが出るなら見ると思う。

 

2020秋アニメ・ベストエピソード

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』11話

演出が本当に神がかっている回で、芸術点満点といった感じ。
それまでの個別回からどう展開していくのかと思ったらまさかの内容で、胸に抱いていた強い想いをしっかり描いてくれたということに感動した。「すげぇ……」と声に出して呟いてしまうくらいに。
やっぱり中途半端は面白くないのだ。これくらいやってくれたら、私は全面的に納得してしまう。アニガサキが今期トップに躍り出た瞬間だった。