K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

記念

なんの記念かという話は、わざわざ書かなくても後で読み返した時に自分でわかるので、ここで言及することない。
ただ、せっかくの記念日なのに隣人が朝まで騒いでいたせいで寝不足気味……残念ながら思考力が低下した状態ではあったが、今日はエヴァの新作を観てきた。

 

別に読者を想定しているわけではないから好きに書いたらいいとは思いつつも、誰かをネタバレというテロの被害者にしてしまいたくはないので、なるべく内容については詳述しないよう心がけたい。
とは言っても、圧倒的な情報量に頭がパンクしそうになっていて消化不良感が強いため、詳しく書けることなんてほとんどないのだけれど。

一つ言えるのは、非常にフェチ欲が満たされたということだった。尻、鼠径部、胸……難しい話は置いておいて、映像面だけである程度は腹が膨れるから、この時点でチケット代の元は取れたような気さえする。
特に終盤に出てきた髪の長いあの……そしてムチムチのあの……思わず描きたい衝動に駆られたけれど、私はまだエヴァというコンテンツとキャラクターに対する愛が心の中に十分に育まれていないことを思い出した。
衝動に任せて描くのは悪いこととは思わないけれど、本質的な情熱に乏しい絵というのは、得てして魅力に欠けるものだ。それを補えるほどの画力もない。
というわけで、あれは最高だったなぁと、いったんは秘めたる想いを解放せずに放置することにした。真に作品への熱が熟すことがあれば、それは再びクリエイティブなエネルギー源となるだろう。

過去の劇場作品を観ている時にも感じたことなのだけれど、「これはギャグでやっているのか?」「ここ、笑っていいのか?」という感想が至るところで喚起された。
シュール、という一言で表現するには、あまりにも前衛的で、もはやすべてのシーンに考察ポイントを置けそうなくらい、見応えしかない映画だったように思う。
生粋のエヴァファンではない私だから、なおさらかもしれないが、こんなの文章で説明されたところで、いったいどれほど理解が進むことだろうか。自らの目で観た上でワケがわからないのだから、多少のネタバレを食らったところで何も問題がなかったかもしれない。

技術が発達した今だからこそ可能となった表現が随所に見られたのは、前作から大きく間が空いたことによる功罪の、功の部分だろう。戦闘シーンは基本的に派手で、ケレン味たっぷりとでも言うべきか……知識不足の人間にとっては何をやっているのか意味不明な戦いであっても、その作画演出だけですっかりと引き込まれてしまうくらい、映像に力があった。
アニメってすげえなって、あらためて思う。

かっこいい、だけではない。
かわいい、もたくさんあった。
レイかアスカか、みたいな論争は、それこそ20年前からネット上でたびたび繰り広げられてきた話だと思う。
「ニワカ」の私が劇場4作品を観た後に、より好ましい印象として心に残っていたのは、アスカだった、とだけ書いておこう。

今からエヴァというコンテンツにのめり込むようにハマる気はないし、私にとっては数ある大作の一つという形で記憶の片隅に仕舞い込まれることになると思っているけれど、この作品がサブカルコンテンツに好意を寄せる多くの人にとって無視できない、巨大な存在であるということだけは理解できる……ような気がした。
今後を生きていく上では、この視聴体験は決して無駄にはならないとも思う。何か具体的に役立つかもしれないし、別に飲み会で話についていけるだけでもいいのだ。
あれほどエンドロールで流れるテキスト量が多い映画も珍しいだろうし、Twitter上に溢れている呟きや、鑑賞後数時間が経ってなお異様な余韻に包まれている私の状態など、様々な点が、これが途轍もない作品であることを示唆している。
いずれ思考が落ち着いて、世の中の流行が別のものに移ったあたりで、余力があれば解説動画などに手を付けていこうかと考えている。

若干、直撃世代からはズレているとはいえ、エヴァンゲリオンが私の青春時代に存在しなかったことだけが、今はなんだか無性に惜しい気がしてならない。