K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

下の住人

昨日の午前中から、たぶん夜中の23時近くまでだったと思うのだけれど、下からガタガタと音がしていた。
おや、これはもしや。
下の部屋は、一月頃から郵便受けがテープで塞がれていたため、空室というのは知っていた。とうとう、誰かが入居してきたのだろうか。
下を気にせず生活できるのは楽ではあったから、困るというほどではないにしろ、これから配慮しなければならない事柄が増えるので、ちょっと嫌だなぁと思った。

 

日中の音だけであれば清掃業者とか内見の可能性もあったが、夜中に重いものを運んだり箱を開けたりするような音がしたり、今朝にもこれまでになかった物音が響いてきたことから、どうやら入居で間違いない。

実際のところ、下から上と、上から下と、どちらのほうが音を気にする機会が多いのだろうか。
音の性質として、基本的には下から上へ響くものだとは思っている。一軒家の実家での経験においても、下の会話はよく上に聞こえていたのに、上の会話はほとんど下に届いていなかった。
ただ、壁や床を通じて伝わる振動を含んだ音は、必ずしもその限りではない。足音もそうだが、家具や家電が動く音は声と違って建物に接しているわけだから、おそらく思っている以上に下に響くことになる。
水は上から下に流れるわけで、静寂に包まれる深夜にトイレを使えば、きっとすぐに察せられることだろう。
まぁ軽く調べてみたらすぐに出てくるレベルの情報で、「一階はやめとけ」みたいな話がある。
その点、私は常日頃から扉の開閉や歩行時に、なるべく音が立たないように意識しているから大丈夫だとは思うが……日常的に音を垂れ流すことが得意な隣人みたいな存在もいるわけで、隣の下の人なんて相当に迷惑を被っているはずだ。

このご時世だから、特に挨拶はないようで安心した。赤の他人と会話するなんて面倒事を、マナーだからと強いられる世界は、もう必要ない時代だと思う。
そもそも顔を知られたくないし、家を出る時や帰宅時にも、他の住人に出くわさないかドキドキするくらいで、バッタリ顔を合わせた日には無視を決め込もうと思っている。
一軒家なら近所付き合いもあるかもしれないが、ただの賃貸でそんな関係は余計なストレスを増やすだけだろう。
互いにある程度の生活音が響き合っている状態で、一部のプライベートな事情も不可抗力で耳に入ってくるのだから、知らないままのほうがいいこともある。

まぁ下に住人が増えたからと言って、何かが変わるということはないと思うけれど、できるだけ生活音が静かな人であってほしいという想いはある。
頻繁に友人を連れ込んで夜通し騒ぐような非常識な人間は、隣の奴だけで十分だ。

一つ気になったのは、これだけ壁が薄くて音がダダ漏れの住居なのに、ハウスクリーニングの音が聞こえてきた記憶がないことだ。
前の住人が去ったのは年末年始の前後だろうから、きっと掃除は一月中に行われたものと思われるが、壁紙を張り替えるだけでも相当に煩いはずで、在宅中であれば気づかないわけがない。
一月は上旬に実家から戻ってきて以降は基本的に引きこもっていたはずなので、タイミングがよくわからない。
大して汚れていなかったから掃除の規模も最小限だったとか、そういう理由なのか。あるいはクリーニングは入居直前で、それが私の外出していた日と被っていたのか。
まぁなんでもいいか、くだらない。