K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

夏の薫りに心揺れる

暑さで目が覚めるのは半年以上ぶりで、いよいよ冬は完全に終了したような感覚がある。
先々週くらいまでは、日によっては上着が必須という気候だったのに、この時季は移り変わりが激しくて気を抜いていると風邪を引いてしまいそうだ。
とはいえまだ春の半ばといったところで、昼間の暖かさと夜の寒さは生活にメリハリをもたらしてくれるような気がする。

 

貰い物なのだが、ちょうど一か月ほど前からサボテンを育てている。
いや「育てている」なんて大層な表現は、あまり似つかわしくないかもしれない。日中は陽のあたる窓際に移動させ、冷える夜中は室内の机の上に戻しているだけで、これまでに水をやったのは、たった二回。世話が楽で助かる。
四月の頭までは花を咲かせていたのだけれど、暖かくなり枯れてしまってからは特に変化がないから、もはやただのインテリアのようなものだ。

昼間に気温が高かったから大丈夫だろうと、サボテンを窓際に置いたままにしておくことがある。しかし深夜にカーテンを開けてみると、ひんやりとした冷気が流れ込んでくるので、まだ夜はカーテンの内側に取り込んでおいたほうがよさそうに思える。
サボテンは寒さにそれほど強くないようで、下限の目安は5℃くらいなのだとか。
もともとの生息地が高温や乾燥で厳しいため、その逆の条件に関しては注意しておかなければならない。
水については過剰すぎて腐らせてしまうパターンがあるため、二週間に一度くらいで問題ないということだけれど、いまいち一回あたりの適切な量がわからない。
反応がないので微妙なところだが、まぁ死なせてしまったら残念だったということで、適当にやっていこうと思う。


一般人には衣替えという習慣があると聞く。
私は外に出る機会が少ないため、服をほとんど持っていない。週に一度の外出で、着ているものが先週とまったく同じなんてことは珍しくないのだ。
普段はTシャツにジャージ姿だから服装について考える機会なんて滅多になくて、強いて言えば暑くないか、寒くないか、といった程度のこと。「オシャレ」なんていう観点は、私の思考においてほとんど考慮されていない。
ファッションについては、自分が着るわけではなくとも、ある程度の知識は付けておきたいという考えもあるのだが、なかなか気乗りしないのでどうしても苦手意識がある。専門用語も、わけがわからない。

大まかに言えば、服装のパターンは三つある。冬用と、春秋用と、夏用と。
しかし基本形は、Tシャツを着て、その上にもう一枚を着る。夏なら半袖、他の季節なら長袖だ。
寒さの厳しい日には、Tシャツと上着の間に追加で着ることもあるが、面倒なので二枚+厚手の上着ということが多い。
あまり肌を見せたくないため、夏でも30℃を優に超える日でもなければ長袖で外出することが多く、また下半身はどんな日でも長ズボンに限る。
色は黒とか紺とか暗い種類ばかりで、見方によっては目立たないことに徹底しているとも言える。

たまに外を歩いていて思うのは、おそらく同年代と思われる人間の服装が非常にオシャレであるということだ。
まぁそれが社会に適合することだと言われてしまったらそれまでで、一生縁がないかもしれない悲しみを背負う羽目になるのだが、それにしても彼らはどこでファッションセンスとやらを身につけているのだろう。
学生時代からの積み重ねなのか、どこかのタイミングで勉強していったのか。少なくとも関心を持たなければ難しい話で、興味のない私は今までに習得する機会に出会えなかったし、誰から教えてもらうこともできずにいて、半ば詰んでいる状況だ。
そしてきっと、私と同類の人間は同じく出不精であることが多いだろうから、ほとんど外で目にすることなく、結局どう足掻いても道をゆく人々の平均値に届くことはない。

せっかく季節が変わって、多少は「身だしなみが気になる」ようになったのだから(たぶん十年くらい遅い)、別にオシャレな店に行かずとも、ユニクロあたりのチェーン店で一通りの服を買い揃えるくらいの行動は起こしてもいいかもしれない。
今後は少しずつ人と会うシーンが増えていく見込みなので、毎回毎回、同じ服ではちょっと……悪いわけではないにせよ、良い印象を与えることもないだろうし、どうにかできるなら、どうにかしたいという気持ちがある。