K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

契約は優先すべき

広い意味では店で物を買うだけで契約ということになるのかもしれないが、一般的に意識されることが多いのは、社会人として収入を得る目的で働く場合だろう。
最近では電子的なやり取りも増えている気がするけれど、主として書面による契約がいまだに多い。
契約の役割というのは、相互に特定の条件で行動を縛ることによって、想定外の展開を減らし期待する働きへの安心感を得ることだと思っている。

 

一月末から少しずつ動き出している、とあるビジネスについて……実のところ先月から特に進捗がないので書くことはあまりないのだけれど、まだ実質的な契約を済ませていないという問題点がある。
互いに見知った間柄で、これまでに口頭での交渉は何度か実施しているから、プロジェクト自体が何かの間違いだった、なんていう事態になることはないと思っているものの、一週間待てと言われて一か月以上も放置されていたら、心配になるのが当然の心理というものだろう。
この懸念に関しては既に何度か記事にしている。毎回、しばらく連絡が来ないけれど大丈夫だろうか、忘れられているのではないか、指示がなくても積極的に動くべきなのだろうか……といった不安が心の中を渦巻いていて、精神を落ち着けるために書いているパターンが多い。

四月の半ばを過ぎたくらいに軽く状況を尋ねてみたところ、相当な山場であるということだった。どうやら四月中は厳しそうな雰囲気。口では「今週一杯は」などと言っているが、最悪ゴールデンウィーク明けまでは見ておいたほうがいいだろう。そんな風に予想した。
結局それから連絡はなく、現在に至る。事前に予想していた分だけ、それほど焦りのような感情はない。あっさり最悪の想定を現実に見せてくれるあたり、先が思いやられる感じはあるが。
そういえば、なんのジンクスか知らないが日記に書いてから数日以内に進展を迎えることがこれまでに多かったので、今回もちょっと期待したいという想いはある。ゴールデンウィークを広く解釈するなら明日までとも言えるから、来週には何か新しい動きがあってもおかしくないのではないか、というね。

前回、会って話をしたのが三月末のことだった。取り組む内容について具体的に詰めていきたいという相談から会うことになったのだが、主な話題は他に並行しているプロジェクトの件だったり、流行り始めのウマ娘についての雑談だったりして、そこそこ楽しい時間ではあったのだけれど、見込んでいた疑問点の解消には至らなかったのが残念なところだった。
相手のスタンスは理解できる。事前に細かく決めるよりも、本格的にスタートしてから少しずつ調整していくほうがいいというのは正しくて、いつだって物事は思い通りに進まないのだから、先行き不透明の時点で詳細に計画するのは余計な作業であると。
いやしかし、それにしても現状のままでは漠然としすぎている気がするのだ。たとえば料理をしてくれという依頼なのに、料理名もレシピも明かされない。ぼんやりとした食材のイメージだけ渡されて、ここからいったい何をすればいいのだろう。

あの時、あまりにも曖昧な立場に不安を感じた私は、とりあえず簡単でいいから契約書を作ってくれと頼んだのだ。
作業内容や期間、特にこだわりはないけれど暫定的な報酬について、などなど、とにかく普通のビジネス関係であれば真っ先に取り決めているはずの事項を、旧知の仲だからと後回しにされている気がしてならなかった。
まだプロジェクトの本格始動まで時間がかかるから、契約自体を先送りにしたいという気持ちは理解できないわけではない。一つの作業に対する重みは具体性に乏しく、これから始めようという時にケツを想定するのは難しいわけで、向こうとしてもある程度の軌道に乗ってから考えようという感じだったのかもしれない。
だとしても、私という人間の精神は、もう部分的に拘束されているのだ。生活時間とエネルギーの一部を捧げるために、一定量の意識を割く。何も決まらないままでは、それが無駄に漏出している状態に等しく、端的に言ってしまえば、もったいない。そう、私の時間がもったいないのだ。

新しく連絡が来るまではきっぱりと忘れて、ひたすらに目の前にある自分だけの課題に集中できるような性格だったら何も問題はなかったのかもしれないけれど、私はそこまで器用に自らの精神状態を操ることができない。
こんなところに書いても願いが届かないのはわかっているけれど、私の能力に期待して声をかけてくれたのだったら、状況報告も含めて定期的に情報を寄越してほしいものだ。