K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

抜け殻状態

どうにも空虚な日常に突入してしまったようだ。
散歩をしない日は早起きすることができなくなり、逆に早起きした日は午前中に眠気が限界を迎えて、結局どうやっても時間を効率的に使えない。
欠かさず見ていたアニメも随分と溜まってしまっているのだが、こうして日記を書くこと以外にエネルギーを活用する機会がまともに作れていないから、頭の状態とは対照的に肉体はうずうずしているくらいで、極めてバランスが悪い日々が続いている。
以前は月に一度くらいの頻度で悩まされていた、これはそういうタイプの懐かしい落ち込みだ。

 

眠っているはずなのに眠気が取れない。
頑張ろうとやる気を出そうとした直後に霧散するモチベーションと、昼夜を問わず身体に纏わりつく倦怠感に、もはや抵抗する術はない。
気持ちが下向いて、上手くいかない現実と思い描く理想的な姿とのギャップに名状しがたいストレスを感じて、いつしかすべてがどうでもよくなる。
待つしかない。それが一日や二日で終わることもあれば、回復まで一週間以上を要することもあるけれど、とにかく手の打ちようがないのだから待つことしか私にはできない。
今度はどれだけ続くだろう。確実に終わりが来るという知識だけが、いつだって心の寄る辺となっている。

わざわざ言うまでもなく不調とはいえ、気が向かないからと永遠に眠っているわけにもいかないのが、生きるということだ。
たとえば学生や会社員であれば、外的な強制力が働いて動かざるを得ない。人間関係や立場というものを守るために、自らを奮い立たせて無理をして、どうにかアイデンティティを未来へと紡いでいく。
長い目で見れば、一時的に犠牲にした精神は些細なものであるだろうから、我慢に徹すればいずれ楽になるというのが一般的な傾向なのだろう。
けれど私は……私には、そう簡単な話ではないのだ。

目標設定は自らの責任において決まり、あらゆる行動に報酬を与えるのも、尻拭いをするのも、自分以外の何者でもない。特に他者からの抑止力もインセンティブもなく、気まぐれがそのまま結果に直結する。
上手く回っている時にはこれ以上ないというくらい良好な状態を維持できるけれど、いったん苦しみの連鎖に囚われると止まらない。
考えれば考えるほど、上にも下にも大きく振れやすい生活なのだと実感する。
そして、今は明らかに下側に位置していて、見上げれば上昇余地に幸福感さえ覚えるけれど、だからといって足元を無視するわけにもいかないのだ。確実に、着実に、私は底なし沼に沈みつつある。
まぁ得てして、なんてことはない、ちょっとしたきっかけで苦境からの脱却は叶うものだけれど、このままいけばどうなるかという妄想には際限がないため、今が最も精神的な意味では地獄に近いのかもしれない。


そういえば、原因の一つと考えて申し分のない出来事があったので、簡単に書き残しておこう。
お馴染み、隣の騒音問題なのだが、今回は新しい状況に直面したので、少し新鮮な気分になった。気分というのは、もちろんネガティブな方向であるわけだが。

一昨日の夜に、いつものようにガタガタと騒音が響いてきて、また眠れないのかと溜め息を吐きながら布団に入った私は、しばらくして異常事態に気づいた。
明らかに一人ではなかったのだ。たまに隣のDQNは友人を連れ込んでいることがあったから、今回とそれだろうと思ったのだが、どう考えても過去にないくらい騒々しい。
足音などの物音だけでなく、会話が延々と続いている。朝まで……というより、昼過ぎになっても、夕方になっても……最終的には次の日の夜中まで黙ることがなかった。
流石に底辺大学生といえど人間なので、眠らないわけには活動もできないだろうに、ほとんど絶え間なく声が聞こえてくる不思議現象。大声が叫ばれる度に起こされていたから、すっかり寝不足となった私の頭では正常に判断できていないだけかもしれないが、いくらなんでも理解不能だった。

昼間に、どうやらコンビニへ昼食を買いに行くタイミングがあったようで、会話をしながら家を出る連中の音は、しっかり私の部屋まで響いてきた。
ちょうどいいと思って、インターホンのモニターを起動して、目の前を通る奴らを観察してみたのだが……思わず啞然としてしまった。
ぞろぞろと男女四人が通過する。各々が煙草を咥えて、中には金髪の人間もいる。外見だけで判断するのは間違っている可能性もあるけれど、これまでに聞こえてきた会話や普段の生活態度から総合的に考えて、どうしたって知性や教養があるようには思えなかった。住む世界の違う人種だ。
そして「いってきま〜す」とバカみたいな声が聞こえてきたから、まだ隣の部屋に一人以上は存在しているのが確定した。
なるほど、なるほど。この狭い部屋に五人以上で集まって飲み食いしているのだから、静かになるはずもない。妙に納得してしまう私だった。

その前の深夜に、我慢の限界を迎えた私は管理会社に連絡をしていた。かなり強い口調で、即刻の対応を求めるような内容だ。
実は先月にも相当に業腹な被害を受けていて、その時に苦痛を訴える文章を書いていたのだけれど、少し冷静になって我慢したという経緯があった。
それを引っ張り出してきて、少し書き直し、今度は躊躇わずに送信。なんとかしてくれ、と祈るような気持ちだった。

結局、管理会社というのは無能集団なのかもしれない。残念ながら二日弱が経過して、いまだに一切の連絡はなく、特に対応が行われた様子もない。
今日は出かけたのか解散したのか知らないけれど、夕方以降は隣に人の気配がなく、これを書いている今は久しぶりに静寂を味わうことができている。
また寝ようとする段階で帰宅してきて騒がれたら今度こそ警察に通報するかもしれないけれど、そうならないことを願いたい。