K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

バクシンオー「Vaccine!」

あまりニュースを見ないせいで最近の世情に疎くなってしまっているので、このままでは駄目だなぁと思いつつ……別に知らないままでも今の生活においては何も問題がないわけなので、どれくらい情報収集に時間と労力をかけるべきか、明確な答えはしばらく出そうにない。
こうして少しずつ脳のアップデートが遅れていくことで、数年後には浦島太郎的な体験ができるかもしれないけれど、最も大きな問題点はニュースを取り入れないことよりも、他者との接点が限りなくゼロに近いことのような気がしないでもない。
外に出て、人と会っていれば、自然と新しい情報は目に入ってくるものなのだから。

 

毎日Twitterのトレンドは適当に追ってはいるものの、そもそもTwitterという空間は徐々に趣味嗜好に合わせてカスタマイズされていくものだし、そこに流れている情報は世界全体の動きのごく一部でしかない。
このところ気になるトピックは、趣味の話題を除けば、もっぱらワクチンのニュースということになるだろう。
認識が遅れているので正確な情報が頭の中に揃っているという自覚はまったくないのだが、どうやら他の先進国に比べると、スムーズとは言いがたい状況が続いているようで、各担当者の心労はかなり大きそうだ。

ちなみに私の個人的な処遇は最悪というか、何しろ特定の組織による後ろ盾がなく高齢者でもないために、接種に関する情報が本当にまったく入ってこない。
自治体のホームページを見ても接種順位は最下位で、接種可能になれば案内が届くらしいけれど結局いつ受けられるのか不明だし、ひたすらに待つことしかできないのだ。
まぁ基本的に食料の買い出しと散歩以外では引きこもっていて、誰かと長時間の接触なんて家族を除けば昨年の夏以降にはほとんど記憶になく、最も感染リスクの低いタイプの人間であるから、後回しにされたからといって大きな支障が出るわけではない。
このまま、たとえば来年になっても受けられないのだとしても、個人的には何も困ることはないはずだ。

気がかりなのは、全国的に接種が進んだ先の世論について。
ワクチンを受けていない人間は立入禁止とか、何をするにも接種証明書の提示が求められるとか、そういう正義の多数派が一般化した時の少数派いじめというのは日本人が大好きなことだろうから、非現実的な妄想ではないような気がして、やや恐怖を感じるところではある。
だったら受ければいいという話ではあるけれど、私のように最後方に回される可能性の高い人間に接種機会が訪れるよりも前に、少数派を排斥しようという空気が出来上がってしまったら、残されたマイノリティは抗いようがない。
現実はゲームの世界ではないから、もちろん外見から判断することは不可能とはいえ、なかなか心理的には生きることに難しさを感じざるを得ないのではないかと、そう思うわけだ。


先日、そろそろ高齢者になるかならないか、くらいの両親と会話をしたのだが、まだ接種できていないようだった。
しかし自治体によると、もうすぐ順番が回ってくるとのことで、ひとまずは安心できそうな状況らしい。

学生や会社員といった、それなりに大きな機関に所属する人間は優先的に受けられるようだけれど、そうではない普段から福祉の恩恵を得られにくい人は、今回も情報が入ってこない不安の中で生きていかなければならないため、SNSなどで怒りをぶちまけている人の気持ちはわからないでもない。
私はどちらかと言えば無関心に近いため、自分のことながら他人事のようだけれど、毎日のように誰かと接する必要がある人は本当に大変だと思う。