K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

阪神JF2021回顧ほか

今日は開催レースが多く、どうやって書こうか悩ましかったけれど、まず阪神JFに軽く触れて、それから香港を順番に見ていくことにする。
先に書いておくと、合計2,000円分の購入で回収はゼロだった。いつも通り、観戦料を支払っただけ。
ただ、今日は馬券云々よりも競馬自体に対する感想に重きを置きたい。

 

阪神JF

強い馬がそのまま勝ちやすいと言われている阪神1600のレースだが、勝ったのはサークルオブライフということで、過去の映像を見てもわかるようにレース後半に強力な脚を使える素質馬だった。
この馬は最終的に2番手評価として考えていたのだけれど、軸にしていたナミュールが出遅れにより惜しくもクビ差4着で終わったため、残念ながら当たらず……あれがなければナミュールとサークルオブライフどちらが勝ったかどうか、わからないくらいに双方とも力を見せてくれたように思う。
そういう意味では、ギリギリ3着のウォーターナビレラを切る判断は悪くなかった気がしたけれど、まぁこれは結果論でしかない。負けは負けだ。

来年のクラシック戦線では間違いなく、この2頭が注目を集めることになるだろうし、今から待ち遠しく思っている。
アーモンドアイやグランアレグリア、ラヴズオンリーユー、クロノジェネシスなど名牝がターフを去りゆく昨今ではあるけれど、近年から競馬を見始めた人間としては、また新たな最強牝馬の登場を期待したい。

主に牡馬のレースとして同条件で開催される来週の朝日杯FSは、どうやら一騎討ちの様相だけれど、はたして波乱はあるだろうか。

 

香港ヴァーズ

この距離になると、やはり力のある日本馬は安定感がある。
個人的に、グローリーヴェイズといえば昨年のJCで上位争いをした馬という印象が強いので、実力的にはデアリングタクトやカレンブーケドールなどと近いところにいるという認識がある。過去にも実績のあるレースだし、堂々の勝利といったところだろうか。

惜しむらくは、まったく馬券を検討しなかったせいで気持ちが乗っておらず、他の作業をしながらでレースに集中できなかったことだ。
せっかくの日本馬の晴れ舞台だというのに、リアルタイムで見ていながら大して喜びを味わえなかったという事実は、しっかり反省して次に活かしたい。

 

香港スプリント

こういう性質がある競技だというのは理解しているつもりだったけれど、確率的には滅多に目にするものではないから、どうしても現実に起こってしまうと動揺せざるを得なくなる。何が悪いとか、そういう話ではない。事故というのは、忘れた頃に発生する仕方ない現象なのだ。けれど、いくら考えても納得できるものではないだろう。
香港4レース中、最も期待していたスプリント戦は、コーナーの大事故により崩壊した。日本馬としてはレシステンシアが2着に入ったのが唯一の救いではあるけれど、正直に言えば、それどころではなかった。

阪神JFと同時刻の発走であったため、私は事故が起こったという騒ぎを知ってからVTRを見た形となる。「事故」という単語から、さぞ荒れたレースになったのだろうと思っていたら、本当にクラッシュしているとは……もしかしたら、無意識のうちに最悪の事態を考えないようにしていたのかもしれない。
これほどの規模での落馬というのは、あまり記憶にない。馬群が詰まって、ここからスパートというタイミングで前を走っていた馬が故障、後続馬が巻き込まれるという運の悪いパターンだ。
落馬した騎手はそれぞれ命に別条はないものの、2頭が予後不良となったらしく、しばらく穏やかではいられなかった。期待をかけていた福永騎手&ピクシーナイトは後ろから追走していたためモロに巻き添えを受け、騎手は負傷、馬は左前脚の骨折・右トモの捻挫という情報が後から出ている。福永騎手は鎖骨骨折という話があるものの、公式のソースが見つからないので正確なことはわからない。意識はあるらしいが……無事を祈る。
命が助かっただけ不幸中の幸いとも言えるけれど、大きな可能性を感じる輝かしいスプリンターズステークスの勝利から、一歩間違えたら人馬ともに死んでいたかもしれない今回の香港スプリントの流れは、あまりにもひどい。言葉にならない。

事故が起きなければ、結果は大きく変わっていたことだろう。一応はゴールしたものの引退レースがこういう結末になってしまったダノンスマッシュも悔いが残るだろうし、あるいは後ろからになったピクシーナイトが勝てたかは微妙なところだけれど、そこには当たり前の一喜一憂があったと思うと、心から残念でならない。
ピクシーナイトは今後、怪我が治ったとしてもメンタルに問題が出る可能性がある。名スプリンターになれる能力は持っているだけに、どうにか立て直してまた大きいレースで勝ってほしいところだ。

 

香港マイル

ゴールデンシックスティが強すぎるだけのレースだった。セン馬なのがもったいない、とは思うものの、セン馬だからこその強さなのだとしたら、なかなかに難しい世界だ。

インディチャンプは乗り替わりの影響があったのかどうか、私は全盛期を知らないため、いつもあと一歩が足りない印象だった。これで引退ということでお疲れ様と言う他ないが、福永騎手とのコンビが見られなかったことも含めて消化不良感が強い。
ダノンキングリーは何があったのか……勝手な推測だけれど、府中1800がベストの馬だから香港カップのほうが合っていた説はある。それにしても格落ち感のあるヴァンドギャルドに負けているのは、どうかと思うが。
そして意外に好走したサリオスは、道中のラップがこの馬に向いている展開だったようで、スローになるのを嫌って自らペースメーカーになったほうがマシという感じだろうか。騎乗次第では化ける可能性もありそうに思える。

 

香港カップ

ラヴズオンリーユー、本当に強い。
今日の中では一番感動したレースだった。
詰まったように見えたが、最終直線に入ってからの抜け出す力、そしてそこからの伸びは凄まじいものがあったように思う。
2着のヒシイグアスも強かったけれど、並んでから抜かせない勝負強さは非常に貴重な素質だろう。グランアレグリア→コントレイルと続く有終の美リレーを見事に繋いだのは素晴らしいことだし、血統的にも繁殖牝馬としての活躍が面白そうだ。

海外での活躍がどのように評価されるのかわからないけれど、GⅠ実績だけならラヴズオンリーユーが今年No.1と言ってもいいだろう。
年度代表馬有馬記念の結果によってエフフォーリアかクロノジェネシスか、みたいなところがあると思うが、個人的にはこの馬に一票を入れたい。