予想の大部分が当たっていても、着順と買い目が噛み合わなければ何も得られないし、予想の大半が外れていても買い目が上手くハマれば見返りがある。
馬券という観点から考えると、つくづく競馬というのは難しいゲームなのだと思い知らされる。
考え方は人によるだろうが、私は競馬で勝てるタイプの人間ではないらしい。軸馬の選定が下手なのもあるが、純粋に運がない。
もっとも端金で遊んでいるからこそ、買い目が増やせず的中率を上げられないというジレンマに陥っているだけなのかもしれないが。
2歳のマイル王者を決める戦いは、非常に2歳戦らしいレースだったように思う。
まだ肉体的にも精神的にも幼さの残る馬たちが懸命に走る姿には、来年に向けた大いなる期待感を抱かせてもらえる一方で、競争に慣れていない走りのハラハラ感は古馬戦にはない若駒に独特のものだ。
そういった中で上位に来やすいのは、能力的に完成度の高い馬や、もともとセンスのある競馬が上手な馬なのだろう。
注目していたセリフォスだが、先行から押し切るタイプの強い競馬をしているように見えた。最後は差されてしまったけれど、勝っていたら相当に高い評価を受けていたのではないかと思う。
パドックでは素人目にもわかる素晴らしい馬体で、これはモノが違うと感じた。血統的に来年の成長がどうなるかわからないけれど、マイル路線で善戦してくれることを期待したい。
勝ったドウデュースは前評判通りか、あるいはそれ以上の力を見せつけてくれたのではないかと思う。この馬も、いかにも走りそうな馬体といった雰囲気で、鞍上次第では本命に据えていた可能性は低くない。
そう、武豊だ。おめでとうという言葉に尽きる。馬券が外れたことよりも、レジェンドジョッキーの久々のＧⅠ制覇に、素直に祝福の気持ちが溢れてきた。
近年あまり結果が出ていなかったから軽視することは多かったけれど、ドウデュースは折り合いがつきやすく競馬が上手く見えるから、ひょっとすると来年のクラシックは武豊とこの馬が制することがあるかもしれない。
3着のダノンスコーピオンだが、一応は印を打っておいたのだけれど、あまり高く評価していなかったものだから、やや意外に感じた。
特にダノンということで川田専用機なのではないかと思い込んでいた部分もあり、いつもは嫌っているはずの「馬を見ていない」行為を自ら犯してしまったという点で、ここは個人的に反省しなければならないところだ。
5着に敗れたジオグリフについては、やはり距離が短かったのだろうと思う。マイルのペースについていけなかったのか後方からの競馬となり、上がり最速タイを出したものの届かず……能力自体はあると思うので、次走以降で評価を落とすようなら買いたい馬だと考えている。
4着のアルナシームは、実はかなり注目していた馬だったのだが、なんというか……先週のナミュールを見ているようだった。
体重が軽めの小柄な馬で、盛大な出遅れから最終直線は荒れたインを突いて4着という、そこそこ強い馬にしかできない競馬だ。もちろん本当に化け物なのであれば、その展開でも勝ってしまうだろうから過大評価するわけにはいかないが、想像していたよりも強いのかもしれない、とは思ったのだ。
これも成長の期待込みで、来年も見ていきたい一頭と言える。
結果的には固い決着ということで、これすら当てられないのは流石に下手くそ馬券師の誹りは免れないだろう。
別に感染しているだけで楽しいから構わないのだが、そろそろ当てる喜びも知りたいと思う今日この頃ではある。
来週はいよいよ年末の大一番にして、国民的お祭り行事である有馬記念だ。
強い馬が強い走りを見せてくれることを期待して、そして私のささやかな馬券が的中することを願って、これから一週間を楽しみに過ごしたいと思う。
