K's Graffiti

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ダークソウル感想

ふと思い立って月初にSteamのオータムセールで購入したフロムの名作『DARK SOULS REMASTERED』をクリアした。
やりこみという意味では、まだまだ周回要素があるものの、ひとまずラスボスのグウィンを倒してエンディングを迎えたということで、自分の中で区切りとしたい。今後も暇潰し程度に触ることはあるかもしれないが、もう集中的に遊ぶことはないだろう。
端的に感想を言うなら、手放しで絶賛できるゲームとは思えなかったものの、つい時間を忘れて熱中してしまう作品だった。

 

私はソウルシリーズの後発作品であるダクソ3を昨年にガッツリやり込んでいるから、まるっきりの初心者というわけではなかった。
もちろん微妙に操作感は異なるし、感覚を取り戻すためにも時間は必要だったけれど、右も左もわからず序盤の雑魚に苦戦するような立ち回りはしない。
ただ、ダクソ3では相当に改善されていたであろうシステム面において、そして主に落下死を頻繁に誘発するマップ設計において、プレイしていて非常に大きなストレスを抱いたことは確かに書いておかなければならない。

たとえば、篝火から篝火への転送は中盤に「王の器」を入手することで可能になるものの、それまでは自らの脚を使って移動するしかないし、転送可能になった後もワープできる場所は限定されている。
一度チェックすれば、いつでもどこでも行けるダクソ3やSEKIROのゲームシステムに馴染んでいた自分にとって、このアナログ感は甚だ苦痛でしかなかった。
まぁマップの繋がりといった視点で評価するなら、どこまで進んでいいのか……下手をすると引き返せない……といった独特の冒険感があったのも事実であり、一概にマイナス要素とは言えないのかもしれない。しかしながら、特に序盤における移動の制限に対しては、楽しさ以上に負の感情が溢れてきたこともまた事実なのだ。
実際、後に作られたゲームでは移動システムが緩和されているところからも、これが不評であることを示しているのではないだろうか。

たとえば、マップの作りが悪意に満ちている点には、しばしば悩まされた。
ダクソ3では強力なボスを相手に死んだ回数をカウントするくらいだったけれど、今作では敵にやられた回数なんて大したことはない。それはもう圧倒的に、落下死が多い。
複雑な構造にギミックを凝らすことを否定しているわけではないけれど、体感では他の作品と比べて、底の見えない細い道などが明らかに多いため、ダンジョン攻略に神経をすり減らすような忍耐力が要求されたのだ。
せっかく奥まで進んだのに、つい滑って落下する。敵に攻撃を受けて、そのまま足を踏み外す。ソウルを回収しに向かったら、また別の場所で落下してロストする。数えきれないほどだった。
マップが頭に入っている人ならミスは減るだろうが、最初から覚えていこうとしている段階だと思わぬ罠にハマってしまうものだ。次の篝火までが遠いことも含めて、攻略中に吐いた溜め息の数は覚えていない。

一方で、ボス戦は拍子抜けすることが多かった。
わりとレベルを上げすぎた感があるから、私が悪い可能性もあるけれど、ダクソ3との単純比較で、詰まるところがほとんどなかったのだ。苦戦したポイントを挙げるとすれば、鐘のガーゴイルか、オーンスタインとスモウくらいのものだろう。
前者は操作に慣れていなかったことと、武器の強化が不十分だったことから仕方ないとして、後者はようやく死に応えのあるボスが出てきたかと、つい嬉しくなったくらいだった。
残念ながらオンスモ戦は、レベル上げと武器強化の末にソラールさんの手を借りたことで相当なヌルゲーと化してしまったため、期待していたほどのカタルシスは得られなかった。これは完全に私のプレイミスと言えるだろう。ここだけは、いずれソロでもう一度クリアしてみたいと思える箇所だ。

他のボスについては、二段階目や三段階目が用意されているわけでもなく、たいてい慎重に隙を窺って攻撃していれば倒せてしまったから、あまり手応えがなかった。
どちらかと言えば、ボスそのものよりも戦場に苦心することが多かったように思う。身動きが取りづらい山羊頭のデーモン戦や、うっかりしていると落下しかねないアイアンゴーレム戦、まともな戦闘にならずクソゲーと名高い混沌の苗床戦など、地形によってプレイヤーを苦しめようとするコンセプトがハッキリと伝わってきた。
こうして考えてみると、道中ほどほどで強いボスとの戦闘が次々と待ち受けているダクソ3とは、まるで対極の印象を受ける。

 

プレイ開始からクリアまでは、およそ二週間程度だった。ただ、その間の余暇の大部分を費やしたと言っても過言ではなく、総プレイ時間は60時間にも及ぶ。
ボリューム的には、マップ密度の関係でダクソ3よりも多いのだろうか。時間自体は同じくらいだったけれど、熟練度を加味するならダクソ1のほうがクリアまでの道程は長いような気がする。

終わってみて、これは最初にプレイするのが好ましいと思った。
後発作品に慣れていると古臭さを感じるし、予想以上にストレスが多い。決して退屈ではないし、つまらないなんて言葉は出てこないのだが、どうにも名状しがたいモヤモヤ感が拭えないのだ。
先に触れていれば、こんな風に感じることはなかっただろうし、後からダクソ3を遊んだ時の感動もあったのだろうと、もはや絶対に知ることの叶わぬ感覚を夢想する羽目になっている。

余談だが、クリアしてから攻略サイトをじっくり眺めていたら、とあるボスを倒していないことに気づいた。
いつになるかわからないし達成されないかもしれないが、二周目の目標が出来てしまったので、念のため覚えておこう。