K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

アニメ感想(2021冬)

年度末。
つい先日まで寒さで凍えていたのが嘘のように、もうすっかり初夏のような気候を感じられるようになった今週だが、明日からは新たな年度ということで世間一般的にも気持ちの切り替えがしやすいのかなと思う。
私は学生を卒業して以来、会社員であった時にも年度を意識することがなかったものだから、単なるアニメの区切りの一つ程度にしか考えてはいないけれど、それでも春を迎えるこの時季には、なんだか特別なものを感じる。

 

年初から視聴を続けてきたアニメが次々と終わってしまい、一時的なロス状態に陥りかねないこの期間だが、呆けているといつの間にか二週も三週も経っていて話題についていけない……なんてことになりかねないから、こうやって感想を書くことで意識を切り替えていきたいところ。
全般的に言えるのは、大豊作とはいかないまでも粒揃いという印象があったこと。なかなかに満足度の高い期間だったように思う。

 

ウマ娘 プリティーダービー Season2

今期のアニメを語るなら欠かせない存在であるだけでなく、個人的には年間トップと断言してもいいくらいの傑作が生まれた。
今やサブカル界隈では知らない者のいない巨大コンテンツとなり、今後は日本のゲーム産業・アニメ産業を引っ張っていく存在としての期待感が強い。
アニメ2期の内容は過去に何度も記事にしているため、ここで詳しくは語らないけれど、とにかくシナリオ構成が最高だった。キャラクターの魅せ方や、作画の力の入れどころがほとんど完璧と言えるくらい圧倒的な出来で、ウマ娘と他のアニメ、と分けて考えたほうがいいほどに強烈な印象を多くの視聴者の心に残したのではないかと思う。タイミング的にゲームと連動した展開も上手すぎた。
個人的にグッときた回は、1話,2話,5話,8話,10話,12話,13話……なのだが、それ以外の回もシーンによっては普通に涙が出てしまうレベルで、本当に隙がない。愛に満ち溢れている。
たとえ競馬に興味がなくても、1期を見ていなくても、この作品単体で十分に、人の心に訴えるだけの魅力が詰まっていると私は感じた。そして、それらを知っているとより楽しめるし深みが増すのだ。このコンテンツの持つポテンシャルは、もはや近年では並び立つ存在がいないとも思った。
アニメスタッフには、もうひたすらに感動をありがとうございました、と頭が下がる思いで一杯だ。

 

進撃の巨人 The Final Season

冷静に考えて、今どきのアニメで70話超えというのは物凄いことだと思う。
私は、いわゆる原作未読勢なのでアニメを正史と捉えるしかない立場なのだけれど、それでもまったく問題がないくらいに映像としての原作を見せられているような感覚がある。
面白い。面白いのだ。あまり言葉は要らないと思う。練られた世界観とキャラクターたちの葛藤が、迫力満点の絵によって表現されるのだから、私はもう毎週をただ楽しみにするだけだったし、冬に放送予定の続きも同様に楽しむだけだ。
とはいえ、これでは内容に触れていなさすぎるので少しだけ……まぁ展開としては、Season3からガラッと雰囲気が変わったので、Final Seasonの最初の頃はよくわからなかったというのが正直なところだ。当時は面白い、面白くない、というよりは、とりあえず見るという感覚だった。
次第に話の繋がりが明らかになってきて、盛り上がっていくあたりは「進撃」という感じがしたし、やっぱり面白い作品は間隔が空いても面白いんだなぁとわからされたような気分にもなったので、この続きに対しても期待しかない。

 

無職転生異世界行ったら本気だす~

短評にも書いたけれど、これまでの主流だった異世界転生モノとは一味違う趣が楽しめる作品で、力の入った作画や演出は視聴者を引き込むのに大きな役割を果たしていたように思う。
いくつかの話では、やや下品な表現が散見されたけれど、不快になるよりも面白さを感じることができたのはキャストの力が大きかったかもしれない。
アニメ的には中途半端なところで終わってしまったけれど、おそらく原作は壮大な物語であることだろうし、続きが気になるところ。分割らしいから大人しく待つとしよう。

 

Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season

1期であまり描写されなかった主要キャラクターの、過去であったり内面であったりが明かされる重要な話が続いた2期ではあるが、それにしても尺の調整が大変だっただろうなぁという印象が真っ先に出てくるくらい、24分に収まった回がなかった。
まぁ長く楽しめるのは視聴者としてはありがたいことなのでいいのだけれど、1期ほどわかりやすい話でもなく(ごちゃごちゃしていて)、かと言って考察しがいがあるような展開でもなく(作者Twitterを参考に整理すればだいたい解決した)、映像的に映える展開もあまりなかったから、どうしても評価は落ちてしまうような気がする。
悪い言い方をすると、長々とキャラクターの掘り下げを行っていただけという感じなので、物語としてはあまり進んでいないのだ。つまり、ちゃんと作品として評価をするなら……この先が見たい、話はそれからだ、といったところだろうか。
3期の情報は今のところないようだけれど、待ち望んでいる人は多そうだし、そのうち続報があるような気はしている。

 

ゆるキャン△ SEASON2

すまん。まだ見終わっていない。
といったところで、感想を書くのもどうかと思ったのだけれど、途中までの所感としては観光促進ビデオのような……なんだか、つまらなくはないしクオリティは高いんだけれど、積極的に見る気が徐々になくなっていくような、そんな印象を持ってしまった。
そもそもの作品のコンセプト的に仕方ないというか、上手い落としどころではあると思う。ただ、出不精の私にとっては相性があまりよくなかったというだけで。

 

五等分の花嫁∬

アニメで完結するのかと思ったら、続編制作決定とのことで……残りの原作の尺がどれくらいなのか知らないけれど、ここまで来たら付き合うしかない感じはある。
2期は1期と制作会社が変わった影響か、印象が大きく異なるものだった。作画の安定感や、キャラクターの魅力を引き出す描き方は素晴らしいもので、しかしストーリー自体は特筆すべき点はないかなぁという……まぁこうしておけば売れるという一つのパターンではあるのかもしれない。
ちなみに1期時点では三玖か五月派であった私は、すっかり二乃の虜になってしまった。二乃しか勝たん。
個人的に、髪はセミロングくらいの長さが一番ツボだったりする。
(あれ? もしかして四葉もアリなのでは……?)

 

呪術廻戦

これ、面白いのかなぁ……と思うのは私だけだろうか。
バトルは基本的に殴り合いをしているだけだし、全体的に雰囲気が暗いからパッとしないし(心が洗われる感覚がないと言ってもいい)、魅力的な存在って五条先生くらいしかいないと思ったのだ。あのキャラクターだけ、まるで別作品からやって来たような……なんだか妙な違和感を覚えてしまうので、良くも悪くも浮いている。
序盤はまだよかった。世界観を知り、これからどうなっていくのだろうという、わくわく感があったから。しかし高専がメインになってからは、私自身が何に期待すればいいのかわからなくなってしまい、ギャグも肌に合わなかったし、この作品が人気であるという事実に困惑した。
クオリティは高いので、決して駄目だと言いたいわけではないのに、心から面白いとは言えない感じ。私は空気を読んでお世辞を言うのが嫌いで、だから好ましいと思えないものについては黙っていることが多いのだが、感想ということで無視するわけにもいかなかったから、本当にこの作品が好きに人には申し訳ない気持ちがある。
「お前はなんにもわかっていない」と言われたら、「うん、たぶんそうなんだと思う」と胸を張って応えるとしよう。私には理解の及ばない魅力的な何かが、きっとあったのだと思う。

 

約束のネバーランド Season2

今期の残念賞。
途中までは悪くなかったと思うのだけれど、中盤以降の駆け足とアニメオリジナル展開&ご都合主義展開の連発によって、一気に評価が落ちてしまった。私は原作を読んでいないので、「炎上」している原因となった怒りの感情は持っていない。けれど、単純に話の持っていき方が面白くなかったのだ。
まぁ1期の肝が農園内での恐怖や試行錯誤であったのに対し、2期は農園の外側の世界という完全に異なる環境であるから、同様の面白さを期待すること自体が筋違いであったのかもしれない。
最終回のシーンも、本当は感動的なものであるはずなのに、正直なんの感慨もなかった。どうしてこうなった……と批判するのは簡単で、それならどうすればよかったのかと改善案を提示できるわけではないから難しいのだけれど、それでも別の表現方法、話の作り方があったのではないかと思わずにはいられない。
ちょっとしたことで面白さのバランスって崩れてしまうから、最後まで完成度の高いシナリオ構成って本当に大変なんだなぁと、あらためて思う。

 

2021冬アニメ・ベストエピソード

ウマ娘 プリティーダービー Season2』10話

個別に記事を書いたけれど、この話がもう圧倒的だったとしか言いようがない。
個人的にはアニメ史に残るくらいの神回で、きっと10年後にも忘れていることはないだろう。史実を使ってこれほど上手い展開を演出するなんて、いったい誰が想像していただろうか。9話までの積み重ねもあるけれど、この回を単体で評価してもバケモンとしか表現できない。
リピート視聴を含めれば、何百本もアニメを見ている私から最も涙を流させた話であると言ってもいい。この作品に出会えて、本当に幸せだ。

 

なお、『ひぐらし』については、今回は省略する。というのも夏に続きが放送ということで、ここまでの展開でも書けるっちゃ書けるのだが、全部見てからにしようかなと思った次第だ。
某所の考察スレの勢いはなかなかのもので、何かとんでもないものを見せてくれるのではと期待している人の数は多いはず。最終的にどのような決着を見せてくれるのか、注目したいところ。まぁ期待しすぎない程度の期待感で、もうしばらく待ちたい。

というわけで、一通りの感想は書いたわけだけれど、今期はもうウマ娘なんだよ。ウマ娘。それ以外の作品は、もう熱く語るのが難しい。大きな存在には、心も熱量も金も奪われるという、ある種の自然現象でもある。
3期かシンデレラグレイのアニメ化を、私は待望している。