K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

夏の終わり

今日は随分と涼しかった。
ずっと家にいるから、毎日のように外出している人と比べたら体感できるシーンは少ないと思うけれど、一番の変化としてはエアコンの電源を切ることができたのだ。少しでも暑さを感じる日なら、止めた途端に汗ばまずにはいられない空間になってしまうから……いよいよ秋を感じることのできる、大きな季節の変わり目に入ったと捉えてもいいのかもしれない。

 

もちろん残暑という言葉がある通り、来月になっても暑い日というのは何度が経験することになるだろう。
しかし、もう八月は終わりかけだし、九月という字面から受ける印象は夏の暑さよりも秋の涼しさのほうが大きいため、気を抜いているとあっという間に冬まで進んでしまいそうだ。
ここ数年の気候について、十年前や二十年前との比較で、体感ではあるけれど、夏は暑くなったし冬は寒くなったというイメージを持っている。
今年の秋は、どれくらいの長さがあるだろうか。今年の冬は、どれだけ寒くなるだろうか。

思い返すと、今年は梅雨が短かった。というよりも、ほとんど存在しなかったと言ってもいいかもしれない。
五月の後半から六月にかけて、異様に暑い日が続いたのはまだ記憶に新しい。下手をすると、七月や八月よりも六月の半ばが最も暑かったような気さえする。まぁ滅多に外に出ることがないから、そのあたりの現実的な判断は難しいのだが、エアコンの稼働状況や電力使用量などから、少なくとも今年の夏は三か月程度という異例の長さがあったと言っていいだろう。
確か、七月は飛ばされた梅雨が戻ってきたような、一時的に雨が多く涼しさを感じられる期間があったはずだが、湿度が高くて不快指数が下がらないため、結局はエアコンを止めるわけにはいかなかったのだ。
七月末から八月上旬にかけて家を空けていたタイミングを除き、ずっと動かしっぱなしだった。今日は久しぶりに、天井や壁が熱を持っていない空間で過ごすことができたように思う。

たまにある季節の前倒しが、はたして冬にも発生するのか……もし夏と似たようなパターンであれば、十月の後半くらいから肌寒さを感じるようになるかもしれない。
痩せすぎという体質の問題もあって、個人的には夏よりも冬のほうが苦手だ。暑くても水分摂取さえ怠らなければ生きていけるが、身体の芯からエネルギーを奪ってくる寒さには根本的に抗いようがない。
寒さに強い人間は着込めばいいと思っているのだろうが、それで済むなら本当に羨ましい。手や足といった末端から熱を奪われて、温暖な時季よりも明らかに活動能力が低下する問題を毎年のように経験していると、冬に対する苦手意識を払拭することは不可能に思えてしまう。
夏は夏で身体から体力を奪ってくるけれど、それでも冬に比べたら何倍もマシなのだ。もちろん春や秋が延々と続けばいいという本音はあるのだが、残念なことに日本は徐々に四季を失いつつある。

 

涼しい気温が快適だったせいか、夕方に眠気を感じて横になると、スッと一瞬で眠りに落ちてしまった。
軽い気持ちで、短い昼寝のつもりだった。睡眠が充実しているとは言えないから、確かに睡眠不足に近い状態ではあったのだろうけれど、それにしても久しく経験のない気持ち良さだったように思う。
いつ以来の熟睡か。およそ一晩分くらいの睡眠を経て、目が覚めた時には日付が変わっていたのだけれど、一応アラームを設定していたにもかかわらず途中で起きられる気配がなかった。
夕方以降の時間を失ったことは痛手ではあるけれど、慢性的に抱えていた低質な睡眠による気怠さが少しばかり解消されたことは、僥倖だったかもしれない。

どうせ寝る時間なんて毎日ズレていって違うものだし、基本的には生理的な欲求に従って寝たり起きたりしているのだから、これはこれで構わないのだ。
ただ、問題がないわけではない。というのも、明日は野暮用で外出しなければならないのだが、このままだと程良く眠気が出てくる頃に用事が被る可能性がある。
最悪、眠気を我慢して数時間ほど低パフォーマンスで過ごす手段もあるけれど、安全に行くならどこかで短くても休憩を取るべきだろう。午前中のどこかか、あるいは昼過ぎに一時間ほど。

いま再び横になって昼頃まで休めるのであれば、それが理想なのだが、数時間前に起きたばかりの身体はそれを許してはくれないだろう。
いつでもどこでも楽に眠れる体質の人は、相対的に私なんかよりも生きる上でのストレスが少ないのだと思う。
昔から、私は睡眠が得意ではなかった。些細な音で眠りに入るのを妨げるられるし、ようやく眠れても浅いことが多いから、意図しない目覚めが珍しくない。
こういうのは生まれつきだと考えているのだけれど、後天的に改善することは可能なのだろうか。