K's Graffiti

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菊花賞2022回顧

一番強い馬が勝つと言われる菊花賞だが、終わってみると確かに強い馬なのだと納得できるのが、競馬の不思議でもあり面白いところでもある。
勝ったアスクビクターモアは春のクラシックで上位に好走し、これに先着した馬たちが別路線を選択したのだから、本来なら迷うべきではなかったのかもしれない。
今回の予想は、自分の中で本命馬が頻繁に変動したのだけれど、残念ながら最終的には馬券として的中させることができなかった。悔しい。

 

ああ、本当に悔しい。
的中パターンで行こうと思っていたタイミングもあったのだ。どうして信じられなかったのだろう。
結局、自分の頭で考えているようでも、気づかぬうちに他者の意見に流されたり、必要のない情報を取り込んで直前の思考を放棄したりする。
ちょっとでも巡り合わせ、噛み合わせが変わっていれば、レースに対する感想も大きく違ったものになっただろうに……相変わらず少額ではあるのだが、これまでの馬券勝負で最も悔しいという気持ちが強かった。

簡単にレースを振り返ってみるが、最大のポイントはセイウンハーデスの逃げだろう。長距離にしては無謀とも言える1000m58.7のハイペースで、多くの人間が予想していた展開から早々に外れる形となったのではないかと思う。
この時点で、おそらく実力不足ないし適性外の先行馬には厳しい流れとなってしまった。
前が潰れて、差しの決着になるかもしれない……なんていう逆の展開も一応は予想していたものの、阪神内回りというコースは簡単にそれを許してはくれないようだ。
中団より前で進めて、最終コーナー以降では相対的にバテなかった馬が上位に来る。傾向を知ってはいたが、それでも着順を正確に予測するのは難しい。

予想外と言えば、展開の鍵となる馬として注目している人が多かったであろう、大捲りで勝ってきたディナースタが、今回はなぜか先行していた。
後方からロングスパートするのが武器であるはずなのに、ハイペースで前にいた理由は不明だけれど、そのおかげで中盤から馬群がぐちゃぐちゃになる波乱は避けられたように思う。
まぁ特に見せ場なく後退してしまったので、そもそも実力的に足りていなかったというか、過大評価だったというか……結果論ではあるが最初から重く見る必要はなかったということなのだろう。そんなこと、事前にわかるはずもないのだけれど。

菊花賞2022_3連複

それにしても、点数を増やせない関係でどうしても軸を決めなければならないのだが、毎回そのじゃんけんに負けてしまう。
最後まで悩んでいたのが、ガイアフォース・ボルドグフーシュ・アスクビクターモア・ジャスティンパレス、の4頭だった。予想記事から一転してジャスティンパレスを評価することになったのは、前走のパフォーマンスと血統構成を重視することにしたからなのだけれど、実際に菊花賞で好走するのがどの馬になるのかはペースや展開次第というところもあって、最後まで自信を持って決めきることはできなかった。
優柔不断な私は仕方なく欠点の少なそうなガイアフォースを選んだわけだが、あまりにも消極的な選択だったし、日和った感は否めない。秋華賞の直後、つまり一週間前はアスクビクターモアを本命で考えていたこともあって、自分の直感を信じられなかった失態を心から情けなく思う。
絶妙に惜しかった分だけ、より反省の多いレースとなった。

あらためてラップタイムや上がりタイム、走りっぷりを見ていると、アスクビクターモアの強さがよくわかる。昨年のタイトルホルダーとは単純に比較することはできないけれど、菊花賞馬らしく古馬になってからもGⅠで活躍してほしいと思うし、年末の有馬記念に出てきたら積極的に買いたい。
ダイワスカーレットキタサンブラックのような中長距離で強い逃げ馬がいるとレースが引き締まるから、これからも強くあってほしいのだ。

1人気で8着に敗れたガイアフォースについては、内枠だったことと、やはり距離が長かったということなのだろうか。
母父クロフネという点が不安視されていることは、もちろん私も気がかりではあった。小倉でレコード勝ちするような馬は、阪神菊花賞には不向きであると……確かに、そうなのかもしれない。
しかし、どちらかと言うとハイペースで荒れ気味の内側をずっと走らされたことによる消耗が大きかったのではないかと個人的には思っている。
あまり流れないスロー寄りの展開であれば、多少は前目から瞬発力を発揮できる形に持っていけただろうから、勝ち負けはともかく馬券内に入ってきた可能性は低くないだろう。
たとえば大阪杯なんかは距離的にも血統的にもピッタリだと思うので、もし万全の状態で出てきたら本命にしたいところだ。

2着のボルドグフーシュは、神戸新聞杯の前から狙っていた馬なのだが、こういう馬を本番で軸にできないあたりが私の下手な理由だと思う。差しが届く展開になったら、確実に脚を使ってくれる。その確実性を、どうして疑ってしまうのか。
脳内シミュレーションでは、鞍上込みでステラヴェローチェと被るところがあったので、無意識のうちに本命視することにストッパーがかかってしまったのかもしれない。
なんとなく、グラスワンダーの孫ということでグランプリが向いていそうな気がしているが、次に輝く舞台はどこなのだろうか。
常に紐には入れたいタイプだ。

3着のジャスティンパレスも評価を上げたまでは良かったが、信じるには至らなかった。
しかし、結局はディープインパクトなのだ。アスクビクターモアもそうだが、阪神はディープ産駒の庭ということで、余計なことを考えずにデータで買っていれば当たる簡単なレースだった。
この馬は不安定だった春から成長を経て、本格化してきたように見える。欧州色が強いから、時計のかかるレースで末脚を活かすタイプのように思うが、イメージとしては長距離よりも中距離のほうが合っていそうな感じがする。
昨年のホープフルSから応援してきた馬ではあるので、どこかでGⅠを取れるといいのだが。

 

来週は秋の大一番である天皇賞だが、今のところは上位人気馬で決着しそうな雰囲気が強い。
昨年と同じく、強い馬の強い走りを楽しむレースだと思っているけれど……菊花賞ではナリタトップロード阪神3000mのレコードが破られたことだし、春シーズンにもダービーや宝塚記念でハイペースによるレコードが生まれた。ここまでの流れを踏襲するなら、秋天ではパンサラッサの大逃げによってトーセンジョーダンのレコードに迫るタイムを期待できるかもしれない。

高速決着を予想の前提にするなら、昨年のダービーでレコード勝ちしているシャフリヤール、今年のダービーでレコードの2着であるイクイノックスは外せないし、府中で高いパフォーマンスを見せているジオグリフとダノンベルーガ、そしてジャックドールも消すわけにはいかないだろう。
普通に考えたら荒れそうもないから、やはりケンが正解かもしれない。楽しみだ。