K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

過去作を見返すことによる発見

新作映画の情報が出ている『PSYCHO-PASS』というアニメだけれど、私は1期放送時からリアルタイムで追っかけていて、2期も3期も、そして細かい映画の数々も網羅している。
一般的には1期が至高の作品であり、それ以降の続編は蛇足寄りの評価が多いとは思うのだが、まぁ実際に私も似たような印象は抱いている。
とはいえ、あの世界観は好きなので、新作は新作として純粋に楽しみではあるのだ。

 

このまま公開を待ってもよかったのだが、ふとモチベーションが湧いたのでアニメ1期を見返すことにした。
網羅しているとは書いたものの、見たのは随分と前の話だから、大筋は頭に入っているにせよ細部は忘却してしまっているし、名作であることが確定しているわけだから安心して没頭することができる。
面白いかどうかわからない新作を見ていく際には、精神的なハードルをどうしても感じてしまうのに対して、知っている名作を見直すのは容易に実現できる。
長い目で見ると時間の無駄のような気がしないでもないが、これはこれで確かな満足感が得られるため、娯楽としては悪いものではないだろう。

この衝動に駆られたのが一週間ほど前のことだったのだが、そのタイミングで日記にしなかったのは、本当にただの隙間時間の暇潰しとしか考えていなかったからだった。
しかし、現在ちょうど中盤から終盤に差し掛かるあたりなのだけれど……めちゃくちゃ面白い。いや、もう、面白いということを書きたいだけなのだが、とにかくそのシンプルな感想を記録しておきたいと思って今日の日記に至る次第だ。
リアルタイム視聴時にも、もちろん面白いと感じた記憶はある。けれど度合いとしては、今回のほうが大きいかもしれない。
当時は、当たり前だがアニメの視聴経験が今よりもずっと少なかったし、ただ呈示されたものを深く考えずに飲み込んでいただけだった。それでも美味しかったのだ。

様々な作品を通じて私の舌は肥えてしまったし、ここ最近はすっかり「知っている味」ばかりで、新鮮な楽しみを経験できる確率が下がっていた。
だからこそ、逆に往年の名作が繰り出す演出や描写への咀嚼力や解釈力が上がっていて、かつて見たことがあるからこそ、より魅力が増して私の頭の中に入ってきたという可能性はある。
あの時には気づかないままに素通りさせてしまった情報を、今度は逃すことなく受け止めることができている。作品そのものの面白さと、自らの変化の自覚が合わさって、視聴体験が極上のものに昇華していると考えると非常にしっくりくる。

 

なお、今のところ2期を見返す予定はない。
放送後からの経過時間の問題なのか、なんとなく2期の内容は1期よりも覚えているような気がするし、やはり作品としてパワーは劣ってしまうだろうから、1期の直後に見てしまうと却って面白味が落ちると思うのだ。
いまだに槙島を超えるヒールは出てきておらず、敵役のキャラクター性に魅力を感じづらい。そもそも作品の構造として超えるのは不可能なのだから、最初から期待すべきではないのかもしれない。
それなら、何を目当てに見ればいいのかという話になるが、それが上手くいっていないところが続編の評価に繋がっているのだろう。

世界観の作り込みが強いため、無限にエピソードを生み出す余地はある。しかし、どうしても1期の完成度を期待し、比較してしまうがゆえに、相対的な意味で下げられがちなのだ。
普通に先入観なくSFアニメとして見れば……どうなのだろう。それを客観的に考える術を、既に作品を知ってしまっている私は持つことができない。
まぁ意味のない仮定だ。せめて、目の前に控えている新作を楽しみにするとしよう。