K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

ポケモンスリープ

幼い頃はそうでもなかったと思うのだが、もっぱら成人以降から少しずつ表面化してきた悩みとして挙げられるのが、睡眠だ。
もともと神経質な性格で、決して寝付きが良いわけではなかったけれど、それでも眠りに入ったら簡単には起きない人間だった。熟睡すること自体は苦手ではなかったのだ。
しかし、特にここ数年……というよりも数か月くらいが顕著なのだが、まるで眠れた気がしない日々が続いている。快適な睡眠を果たしたという実感を最後に得たのは、いつだったろう。

 

どうやら世間では「ポケモンスリープ」というアプリが流行っているらしい。先日、リリースされたばかりの睡眠アプリで、毎日の睡眠によってスコアを獲得していって、ポケモンと出会ったり触れ合ったりする空間……のようだ。真剣に取り組んでいるわけではないため、詳しくは理解していないが。
個人的にはポケモン自体への興味は弱いものの、睡眠という自身が切実に直面している問題に関連する新たなコンテンツということなので、私にしては珍しく、話題になっているうちに軽く触れてみようと思った。

6年前に発売されたモデルを使っているため、容量の都合で新しくアプリを入れるのも一苦労な我がスマートフォンではあるが、キャッシュを削除することでインストールに成功する。
そもそも睡眠の状態を分析するのであれば、わざわざポケモンに乗っかる必要なんてなくて、もっと簡素なアプリはいくらでも存在するだろう。ただ、現在進行形で使っている人が多いアプリゆえ、自分の結果を他者と比較しやすいというメリットがある。
正直、眠る前や目覚めた直後にゲームを楽しむ気にはならない。半覚醒状態というのは正確に情報を処理するにはコンディションが悪すぎるし、ゲームを遊びたいなら別に時間を取るべきだろう。
まぁ眠りの状態を確かめるのが主目的なのだから、無理に楽しむ必要はないのかもしれないが、今のところほとんどスキップしてしまっているせいで、睡眠分析以外のゲーム性は一切が不明なままだ。
楽しめる要素を開発してくれている人には申し訳ないけれど、遊ぶために始めたわけではないのだから、こればかりは仕方ない。

眠る前と起きた後にボタンを押して、睡眠時間が判定される。その間の音声によって睡眠状態を把握しているようなのだが、この音声認識の精度は、どれほどのものなのだろう。
物音が立ったタイミングで短時間の録音機能が作動するため、起きてから自身の眠りをチェックすることができる。ただ、今のところ確認できた音声は、すべて寝返りか何かの衣擦れ音だけで、たとえば寝言や寝息なんかはまったく観測できていない。
静かに眠る人間だという自覚はあったけれど、あらためて客観的な事実を目の前にすると、本当に私は静寂を好む性格なのだろうと実感する。きっと、寝言にせよ鼾にせよ声を発することがあれば、その音で自らを起こしてしまうのだろうから。

寝返りのタイミングや回数、その他の音声情報などから眠りの深さを判定して、全体の睡眠時間によってスコアが決定される。そういう仕組みである以上は、私が高得点を出せるはずもないことは、最初からわかっていた。
一週間ほど試してみたところ、現在までにスコアが50を超えた日はなかった。
Twitter(X)で検索すると、スコア100を出すには8時間半の睡眠が要求されるらしく、まず私には不可能だった。それなりに疲れていて強めの眠気に襲われている日でも、世の中の平均的な人間の睡眠時間には及ばないのだから、仮に今後の人生で死ぬまで計測を続けたとしても、はたして一度すら達成できるかどうか、自信はない。
こういうのは短期的にはブレるから、収束するまで一定期間のデータ収集が求められる。とは言っても、このままではスコア平均は30から40程度が関の山……となると、明らかに不健康そのものだし、絶対的な睡眠時間が不足しているという問題が浮上する。
ひょっとして、私は慢性的な睡眠不足に陥っているのだろうか。
十分に眠れていると胸を張って言えるわけではないが、実のところ、一日あたりの総睡眠時間自体は、最近は7時間前後を確保できている。
私の眠りの習慣が、あまりにもポケモンスリープのシステムと相性が悪すぎるだけなのだ。具体的には、前半と後半で4時間弱ずつくらいの感覚で生きている。
単純に、連続睡眠時間が短すぎるのだ。たっぷり眠ってやろうと意気込んでいても、途中で目を覚ましてしまうのだから、どうしようもない。
おおよそ睡眠開始から4時間と経たないくらいで覚醒し、その時点でポケモンスリープには「起床」を記録することになる。スコアは30台で、当然のことながら眠りは不十分のため頭も身体も重い。全身が怠くて身体を起こすことができす、それから1時間ほどベッドの上でスマホを弄って過ごすのだ。しばらくすると再び眠気が湧いてきて、二度寝に突入する。次に目を覚ますのは、さらに3時間か4時間が経過した頃で……不規則すぎるけれど、合計してみると、なんだかんだで帳尻を合わせている形になる。
そして、間隔の空いた二度寝に対してはポケモンスリープを起動させないため、アプリの記録上は極端なショートスリーパーということになってしまっているわけだ。

 

そうそう、何度が見かけたポケモンスリープの欠点として、バッテリーへの負担が大きいという話がある。
実際、アプリ内でも睡眠中の充電を推奨する表示があるため、普通に使っていたら電力の消耗が激しいのだろう。
画面を点灯させたまま、画面を下向きにして置くように促される。そうすれば勝手に画面は暗転するとのことだが、要するにこれは、スリープモードが使えず常にアプリがアクティブに稼働することを意味する。
ゴリゴリ電池が削れていくのも当然というものだ。

なお、私のスマホはかなり古いため、バッテリーに残された寿命は長くない。極端に負担をかける行為は控えたいというのが本音だ。
そういうわけだから、容赦なく画面を消してスリープのまま使っているのだけれど、現状は不思議と問題なく動いている。Androidだから、バックグラウンドの扱いが多数派のiOSとは異なるのかもしれない。
睡眠の前後で顕著にバッテリーを消耗したという実感はなく、これなら飽きるまでは利用していけそうな気がしている。
今後の目標は、とりあえずスコア50いや60、あるいは健全に70から80あたりを記録できるよう、眠りの質と長さを追い求めていきたいところだが……睡眠が操作できるなら既にやっているため、きっと体調と運任せにしかならないだろう。