K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

生存記録(20240411)

意識が戻らないという話から、おそらく難しいのだろうとは思っていたが、やはり訃報が現実のものとなるとショックは大きい。常々、危険と隣り合わせであり、本人や家族その他、関係者らは覚悟のもとに臨んでいるであろう競技とはいえ、いざ悲劇に直面したら気持ちの整理には苦慮するに違いない。遠いところから眺めているだけの一般的な競馬ファンであっても多かれ少なかれ心を痛めるのだから、身近な人間の悲痛は想像が及ばないレベルだろう。しかし、そんな状況でも変わらずに競馬は施行されるし、馬は走る。人も馬も、これからも命懸けで。
ここしばらく、私は競馬との距離を置いているというか、もちろん重賞をチェックするくらいはしているけれど、一時期ほど熱烈にのめり込んでいるわけではない。だから、今回の報道に対する感情変化は、それほど劇的なものではなかった。驚きはしたし、残念に思う気持ちもある。ただ、必要以上にショックを受けすぎず、落ち込みすぎないようにできたのは、僥倖と言えるかもしれない。これがもし、一昨年くらいの時期に発生していたら……立ち直るまで時間を要したかもしれない。死亡事故は非常に珍しいこととはいえ、落馬自体は頻繁に起こるアクシデントではあるし、ここ最近は立て続けに危ないシーンを目撃している印象がある。少しでも運が悪ければ、その落ちた全員が亡くなっていた可能性だってあるのだ。あらためて、業の深い営みであると思わざるを得ない。それでも、競馬の魅力には絶対的なものがあり、否定しようなどとは毫も思えないのだから、私自身も罪深さを背負いながら今後も楽しんでいくしかないのだろう。
それにしても、週末の皐月賞は予想が難しくなってしまった。ただでさえ混戦ムードの中、有力な候補として考えていたいくつかの馬たちが、今回の件に関連して人気を集めそうだからだ。サイン馬券なんて縁起でもないけれど、当たれば美談にもなり得る。実際、能力面や適性面、血統的な観点からも意外と悪くなさそうで十分に可能性はあると言えるので、どうせ安くなるだろうが3連複1点くらいはお守りとして持っていてもいいかもしれない。
ただ楽しみなだけではない、おそらく向き合う全員が複雑な気持ちを抱えたまま迎えることになる牡馬クラシックの1戦目が、はたしてどのような結末に至るのか、ある意味で例年以上に注目度が高そうではある。こちらも週末までに、しっかり楽しめるよう精神を整えておきたい。