K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

映画の予約

今年は映画を観にいく頻度がすっかり減ってしまった。
延期になった作品が多いし、上映作品が例年に比べて少ないというのもあるけれど、あまり外に出たくないという気持ちが強いのだ。「映画を観る」だけならAmazonプライムなどにいくらでも候補はある。
ただ、やっぱりHFとかヴァイオレット・エヴァーガーデンのような、絶対に観たい新作は必ずチェックするし、人気作なので競争が激しい中で席の予約をすることになるのは必至だ。

 

昨年までは月に一度は観にいくくらいのペースだったから、私は都内の大きな劇場のいくつかについて、会員になっている。
会員のメリットとしては、非会員よりも早く予約できること、安くチケットを購入できること、などが挙げられる。今年はあまり享受できていないが、定期的に通うなら会員にならないほうが損だ。

各劇場によって予約方法などは異なる。しかし、共通している点もある。それは、予約が可能になった瞬間から数分間は、アクセスが殺到して思い通りの席が確保できないかもしれないという競争状態に陥るということだ。
ほんの一瞬遅れただけで、クリックした席がすでに埋まっている。あたふたしているうちに、その隣や前後も取られてしまい、最終的には妥協せざるを得なくなる。自分にとって好ましい鑑賞環境が次々と奪われていく様を眺めるのは、相当なストレスだ。
だから私は、予約に臨む際には準備を怠らない。それでも絶対はないけれど、高確率で望み通りの座席を確保するためには必要なことなのだ。

具体的に何をするかというと、まず予約開始日の前日に遡る。翌日の同時刻に行うべき予約の流れをシミュレーションすることが肝要だ。
数分前にはページを開いておき、時間になったらF5で更新。すぐさま希望の席をクリックしてページ下部のボタンを押下。うまくいけば予約画面へ遷移し、駄目ならそのようなメッセージが表示される。
ボタンを押す瞬間が最も緊張する。もし失敗していれば、それだけで数秒のロスになって、次点として考えていた比較的望ましい席まで他の人間に取られてしまう確率が上がるからだ。その分、成功した時の安堵感は相当なものだけれど、これはきっとやったことのある人にしかわからないだろう。

公開からの日数や曜日によって席の埋まり方が異なるため、シミュレーションはあくまで参考にしかならない。重要なのは、一連の流れを淀みなく実行できるかというところにある。
前日の状況によっては競争率の高そうな席は初めから外しておくこともあるけれど、当日にどのような判断をするかは、作品の人気と直感次第なところもある。
私は何度も経験しているため、一人で観る場合にはほとんどミスをすることがない。
ただ、知人と複数人で観る場合には連番で席を確保しなければならないため、難易度が跳ね上がる。成功したら爽快だが、下手をするとハズレ席しか残らないなんてことにもなりかねないから、かなり慎重になる必要があって神経を使う。幸い、今のところ大きな失敗はしたことがないけれど、あまりやりたくないイベントであることは否定できない。

 

昨今の情勢から、映画は席を一つ空けた状態でしか予約できなくなっている。地方など例外があるのかは知らないが、私の行動圏内にある劇場はすべて市松模様になっているから、ローカルネタというわけでもないだろう。
正直なところ、とても快適だと思った。左右に人がいないことで圧迫感が減り、スペースにゆとりが持てるような気がする。前に人がいないから頭がスクリーンに被るということがない。同じ料金とは思えないほど没入感が増すし、映画館に足を運ぶ価値が上がったように思えた。
まぁ座席が半減しているだけあって、よい席を確保するのが大変になったから、トレードオフというところではあると思う。

しかし、この連休前後くらいから少しずつ、以前の形態に戻す劇場が出てくるようだ。人がすし詰めのようになった窮屈な座席配置。予約画面。やれやれ、と言いたい。
あの快適具合に慣れた人間が、はたして我慢することができるのか、身をもって確かめてくるとしよう。
食事禁止という点が、せめてもの救いではあるかな。