K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

埃にまみれて

散らかっている部屋というのは掃除が行き届いていないわけだから、物を動かしていく過程で埃の処理を強いられる。そもそも私の場合は前回の掃除っていつだったっけというレベルなので、端的に言ってしまえば大量の埃との戦いだった。
積もり積もって長い時間が経過した埃には、奇妙な粘性が出るということを初めて知った。拭いても簡単に取れない「それ」は、埃が被った物体の材質を変質させてしまうほどに気味が悪かった。

 

そもそも掃除機が部屋に入らない、ということで、とりあえず比較的きれいな大きいものから机の上や部屋の外に移動させて、スペースを確保する。足元に散らばるのは無数の埃と、抜け落ちた毛が寄り集まって出来た毛玉のようなもの。潔癖症の人間は想像しただけで吐き気を催すかもしれないくらいに、とても汚い。
次に、単純に捨てるべきゴミはそのまま袋に突っ込み、そうでないものはゴミとは分けて邪魔にならない場所に置いておく。その際、至るところに埃の塊が付着しているため、ティッシュを使って無理やり拭き取る。どうしても汚れが落ちない場合は水分を含ませて拭ったけれど、下地が変色していたり出来物のように無数に円形の染みになっていたりするから、集合体恐怖症の人も駄目かもしれない。
掃除機を動かすための空間が確保できたら、あとは床に落ちた有象無象の汚物をひたすらに吸い込むだけ。この瞬間だけは少しだけ心地よさみたいなものがあった。とはいえ空気が悪すぎるので、気分はずっと優れなかったが、ともかく長年かけて溜まったものを一掃するのは感覚的に「正しい」ような気がした。
実は掃除というのは、根源的な嫌悪感と快感を同時に体験できる非常にアンビヴァレントな珍しい行為なのではないか、と思ったり思わなかったり。私の場合が例外すぎるだけのような気もする。

昨日の日記では、効率よく進めて二日分の作業を終えてしまおうなんて書いたけれど、現実的に考えるとすべてを一日で終えようとするのは最初から難しい話で、しかもおそらく、丸二日かけても終わらないように見えてきたため、キリのいいところで今日の作業は切り上げることにした。ちょうど体力の限界というか、埃を吸いすぎたせいか具合が悪くなってきたので、続けるのが困難になったという事情もある。
一段階目としては予定していたところまで整理が終わったので、あとは後日の自分に任せることとする。
今日やったのは、目に見える範囲の掃除と整理整頓。これから必要なのは、抽斗の中や本棚に入っているものなどを、持ち出すか捨てるか、あるいはそのまま置いていくかの選別。意外なところに大事な物が入っていることがあるため、なんでも適当に捨てるわけにはいかない。それは考えるほど面倒で、億劫で、腰が重くなっている主な原因でもある。
まぁ最終的に他人が入ってきても何も問題ないくらいには整った空間を作ることになるため、結構な量を捨てなければならないとは思うが、予測ではあと最低二回は今日と同じくらいの時間と労働力が必要だと考えられる。とても気が重い。

掃除をしてからしばらく部屋を放置していると、舞い上がった埃が落下して、机の上や床にうっすらと降り積もる。きれいにしたはずなのに、どうにも空間自体が汚染されているため、なかなか清浄化されないようだ。
窓を開けていても気休めにしかならないようで、澱んでいた空気と溜まった臭気がかき混ぜられて、妙に埃っぽい臭さで満ちてしまった。はたして、本当に埃の臭いなのかは定かではないけれど、いずれにせよこれは不快感しか喚起しないため、早急に対処したいところではある。こういう臭いって、芳香剤などを置いておけば改善されるものなのだろうか。
以前に住んでいた家を出る際にも、同様に数年分の埃とゴミを取り払うべく、かなり苦心しながら清掃活動に励んだ。確か、その時にも同じような臭気に苦しめられたような覚えがある。
ひょっとして私の体臭のような何かが腐り果て、極限まで凝縮された臭いだったりするのだろうか。書いてしまってアレだが、考えたくもない。

随分と汚らわしい日記になってしまったけれど、これを教訓として今後は週に一度くらいのペースで掃除をするような生活を心がけたい。ちゃんと掃除機をかけようと思ったら散らかしっぱなしにしておくのも憚られるし、結果的に日頃から整理整頓を行う習慣が身につくはずだ。
たとえ年に一度だとしても、こんな苦行はもう勘弁願いたい。