K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

ドアノブに埃

引きこもりあるあるの話……かどうかは知らないけれど、先週の木曜ぶりに外出しようとしたら、外側のドアノブに埃が溜まっていて驚いた。
普通は毎日のように触れる場所だから、自然と付着する汚れは手指によって取り除かれるはずであり、ドアノブを掴んだ瞬間に埃に特有のザラつきを実感することになるとは想像していなかった。意外と、これまでにない経験だったのだ。

 

今回よりも外出の間隔が空いたことは過去に何度もあったと思うのだが、そもそも外に出る回数が少なく、日常的には滅多にドアノブに触れることがないため、気にならない程度の蓄積はこれまでにもあったのかもしれない。
内側なら空気の流れが少ないため、しばらく出入りがなくとも感触に変化が生まれることは基本的にないけれど、外側は常に雨風の影響を受けることになるわけだから、当然ながら汚い。
花粉や塵など目に見えない類の粒子が大量に付着していることを考えたら、潔癖症の人間は決して私の家に踏み入ることはできないのではないだろうか。
私自身は大して嫌悪感を抱かないため、特別な対処をしようとは思わないのだが、本当は定期的に拭いたほうがいいのだろう。
まぁ目を凝らして見てみると、埃というか汚れというか、何がきれいではない物体が積み重なっていることがわかるような特徴を捉えることができたので、今後あまりにもひどくなるようなら対応することとしたい。

買い出しの際、出入りの激しい隣人の部屋の前を通過するのだが、軽くドアノブに注意を向けてみた。
わざわざ、こんなところを掃除するほど几帳面な性格とは思えないため、予想した通りに汚れは付着していたのだが、やはり私の部屋とは見るからに違っていた。
ちょうどドアを開閉する時に指で触れるであろう箇所だけ、妙に光沢があるのだ。要するに、汚れの付着具合が、そうでない箇所よりも弱い。出入りの際に、しっかりドアノブの汚れを手で拭き取っている証だと言っていいだろう。

外界だからこそ目立つ話だけれど、似たような事象は室内にいても起こっているはずだ。
部屋の中にもいくつかドアはあって、もちろん室内の移動は日に何度もあるからドアノブ自体は汚れていないように見えるけれど、狭い部屋とはいえ普段ほとんど近寄ったり触れたりしない場所はある。
そういう部分に、試しに指を置いて横にスライドさせてみると、何か月かの溜まった埃がしっかり付着するのだ。
その事実をどう判断するか。ひょっとしたら、多くの人間は嘆き、あるいは絶望し、今すぐにでも清潔を目指さなければ気が済まないかもしれない。
これを根本的に回避するためには、頻繁な掃除が不可欠なのだろう。しかし、怠けるのが得意な私にはどうにも難しい話なので、どちらかと言うと埃という存在が当たり前にあることを受け入れるようにしたほうが手っ取り早いと思っている。
これは人によっては本当に信じがたいことかもしれないが、私は埃との共生について特に否定的な感情を持っていない。

 

来週は外に出る予定がいくつか入っていて、私にしては珍しく高頻度でドアノブを触ることになる。
いつの間にか、溜まっている汚れが減少することになるかもしれない。それはそれで別に構わないのだけれど……意図して溜めてきたわけではないのに、失われるのはもったいないと思ってしまうフシがある。

どうでもいい話だ。しかし、少なくとも私が、誰か他人と共同生活を送る適性に乏しいことは理解できる。
いつからかわからないが、限りなく独り身に特化した人間になってしまったようだ。