K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

近所迷惑

先月、隣人についての日記を書いたのだけれど、昨晩それに関連して、やや困った事態に直面した。なに勝手に人のこと書いてんだよ、などと訴えられたわけではない。
あの記事で、別れたのではないかと考えていたカップルが無事に仲直りを果たしたようで、ここ最近しばしば彼氏を連れ込んでいるようなのだ。ドタドタと響く物音に、互いの会話や笑い声。
私は言いたい。いや、ふざけるなよと。

 

大学生というのは、やはりガキだ。自分とその周辺のことしか見えていないような視野の狭さと、成熟していない精神が織りなす素敵な行動には私も覚えがある。ある意味で仕方のないことだと、諦めてしまったほうがいいのかもしれない。
それでも、24時過ぎに来訪して朝方近くまで音を立て続けるというのは常識的ではないだろう。隣人への配慮が欠片も感じられない一連の行動に、私はすっかり寝不足だ。寝不足というか、それを避けるために寝坊をして予定が大幅に狂ったわけだけれど。

会話内容まではわからない。流石に、そんなに壁が薄いのであれば普段の生活音も筒抜けだろうし、そういうわけではないはずなのだ。
ただ、夜中ということもあってか、何か話しているということは確実にわかる。住人である女性の声だけなら、まだ我慢できるのだけれど、聞こえてくるのはほとんどが軽薄そうな男の声。人を殴ってやりたいなんて滅多に思わない私だが、昨夜は明確に敵意を抱いた。この野郎。ちょっとは隣に気を遣えカスがよぉ。

カップルで、夜中に一緒ということはつまり……夜通し聞き耳を立てていれば、もしかしたらセックスをしているシーンに遭遇することもあったかもしれないけれど、隣人への迷惑を考えないガキの性行為に興味なんてないし、何より眠りたかったのだ。
断続的に響いてくる声や物音に入眠を邪魔されつつも目は閉じたままで、半覚醒状態のような時間が長らく続く。結局、完全に意識を失えたのは音が聞こえなくなってからだった。体感では、おそらく日の出が近づいてきている時刻。
昨日はせっかく早めに寝ようと布団に入ったのに、運悪く事故に遭った気分だった。昔からの体質で、眠る際の物音に対しては無駄に神経質なのだ。嫌になる。

不思議なのは、隣人が彼氏を招き入れている時の煩さは十分に味わったのだけれど、そうでない時間、彼女が一人でいる時に関しては人が住んでいるのか疑わしいくらいに、音がほとんど聞こえてこないことだ。
反対側の住人は会社員らしき人物で、昼間は留守にしていて夜に帰宅すると物音が聞こえてくる。平日はほとんど毎日のことだから、あまり疑う余地はないだろう。しかしこの女子大生は、どういう生活をしているのか推測するための材料が少なすぎる。壁一枚の向こう側だというのに、来客時以外の情報が得られないから困ったものだ。
日中は留守にしていることが多いのか、あるいはお互いの家を交互に使っているのか知らないが、決まった日の決まった時間というわけではなく不規則に騒がしくなられるものだから、余計に気持ち悪い。
彼が早朝に訪れてくることが過去に何度かあったのだけれど、それだけならば特に問題視はしていなかった。今回のように深夜帯となると私の生活に与える影響が大きすぎるため、もし続くようなら管理会社に連絡を入れることにしよう。
今回限りとか、百歩譲って月に一度程度だったらまぁ、許容してやらないこともないが。

 

逆に私がどのように思われているのか、考えてはみるもののイメージが浮かばない。
だって、移動する時は常に足音が立たないように慎重を期しているし、基本的に通話する友人がいないから声を発することはないのだ。
あるいは、こうやって何か書いている時にはキーボードの入力音が響いているはずだけれど、隣に届くほどのノイズではないはずだ。カチャカチャと定評のある青軸というわけでもないのだし、音は普通のキーボードなのだから。
絵を描いている時にも、ペンと液晶が触れ合う音がする。しかしこれも、キーボードと大して変わらないだろう。

ひょっとすると、物音がほとんど聞こえてこない不気味さというのは、私が感じている以上に周囲から私に向けられている印象なのかもしれない。
結構なことだ。自分が他人に迷惑を与えていないという事実があれば、今回のように隣人の騒音を被った際に遠慮なく罵ることができる。