K's Graffiti

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「おでかけシスター」感想

劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』を観てきた。
本作は2018年のテレビアニメ「青ブタ」から、2019年に公開された劇場版を経て、久々の新作エピソードとなるわけだけれど……先週ちゃんと復習しておいてよかったと思った。これだけの期間が空いてしまうと、物語の細々とした情報を忘れてしまっているから、思い出そうとするためにエネルギーを使うあまり、集中して観ることができない可能性がある。そういう意味では、作品を存分に楽しむための準備は万全だったと言っていいだろう。

 

簡単に感想を述べると、悪くなかった。
ちゃんと注文したものは出てきたというか、もともと期待を膨らませすぎないようにしていたから、まぁこんなものかと、十分に満足できる出来ではあったように思う。
妙に歯切れが悪い表現になって申し訳ない気持ちはあるけれど、何しろ映画として評価するなら前作「ゆめみる少女」の完成度が高すぎたので、そこに並べるほどではないと感じてしまうのは仕方ないところがあるだろう。
実際、上映時間は75分なのでテレビシリーズ3話分に相当するし、他のヒロインたちに焦点を当てていた第4話以降と同程度と捉えるなら、むしろ劇場版ならではの尺の取り方や演出に注力されていた分だけ、楽しみは大きかったように思う。
「ゆめみる少女」はテレビシリーズで展開された布石を一気に回収して、明確な一区切りとしてトゥルーエンドを迎えるような意味合いが強かった。それを考えれば、本作「おでかけシスター」はこれまでの流れがあって今後も物語が続いていく中での、次に進むためのステップという位置付けになる。
もっとも、原作未読のため作品に対して深みのある視点は持ち合わせていないため、以上の感想はアニメ化された範囲での話になるが。

鑑賞後に強く残った感覚としては、やはり麻衣さんは最高だという確信と、「かえで」と「花楓」に関して抱いていた心残りの解消だった。
前者についてはアニメ第1話から継続している魅力だから言うまでもないけれど、後者に関しては今後も「青ブタ」を楽しんでいく上で、視聴者としてのスタンスが定まったような感じだ。
テレビシリーズを終盤まで見てきて愛着の湧いていた「かえで」が失われた悲しみと、本来の妹である「花楓」が戻ってきた喜びを、主人公である咲太が語るシーンがある。個人的に、ここは本作で最も感情移入しやすい箇所で、劇場ではなく自宅で観ていたら泣いてしまいそうなくらい強めの共感を覚えた。

作中で発生する怪奇現象である思春期症候群というやつは大変に厄介なものではあるけれど、その多くは存在したかもしれない可能性に触れるものであり、決して心から排除したくなる代物ではないのだ。愛おしくすらある。
けれど真実の姿ではないから、いずれは現実と向き合わなければならない。「翔子さん」にしろ「かえで」にしろ……思春期症候群が治るということは、つまり自立して大人になるということは、幻想にとらわれない未来を歩んでいくしかないことを意味する。
しかし、確かにそこにあったという温もりを感じられる、あるいは残してくれているため、「青ブタ」はとても優しい世界でもあるだろう。切なくも、前向きにさせてくれる。
まぁ視聴者としては、いつまでも幻想に浸っていたい気持ちもあるわけだが、いずれ気持ちの整理をつけて次の話に進まなければならない。

 

特典ミニ色紙_麻衣さん

来場者特典で貰ったミニ色紙は、バニー麻衣さんだった。素晴らしい。
第3週目の特典もミニ色紙3種で既に公開されているが、今のところ出ている全6種類の中では最も当たり感があるため、今日はツイているかもしれない。

なお、冬には次回作が劇場公開予定とのことで、メインとなるのはアニメ最初のエピソード以来の麻衣さんだ。
咲太と麻衣さんのイチャイチャが好きなだけあって、どうしても期待感は高まってしまうところがあるけれど、メタ的に考えても麻衣さん絡みの話はかなり重要だろうから、ここからどう動いていくのか楽しみに待ちたい。

それにしても、原作ストックの都合なのか、話のまとまり方からしてテレビシリーズよりも映画のほうが作りやすく収益に繋がりやすいからなのか、今後アニメ化が続いていくにしても2期の可能性は低そうに思える。
映画のメリットは質が向上するところだけれど、どうしても物語の間隔が空いてしまって、作品への熱というか関心のレベルを維持するのが難しくなる。
毎度、新作が出るたびにシリーズを見返すのも一苦労なので、半年とは言わないから一年に一本くらいのペースで公開していってほしい気持ちがある。
原作が未完のため未来のことはわからないが、アニメが作り続けられるなら完結まで付き合っていきたい。