K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

ウマに寄せる

この一週間で話題沸騰中のウマ娘だけれど、リリース日に始めてから今日まで、私も休む暇がほとんどないくらいにハマり、隙あらばプレイしている。これまでに数々の「ソシャゲ」と呼ばれるものを見てきて、その中のいくつかを遊んできた人間にとっても、このゲームは何かが違う。そう思うのに十分な魅力が詰まっていることは、多くのプレイヤーが既に気づいていることだろう。
iPadのAppアクティビティによると、過去十日間でおよそ62時間。これは想定の遥か上の数字であるし、自分史上で考えても、わりととんでもないことだ。

 

まだ攻略法が確立されていないからこそ、Twitterや5chで見つけた情報を駆使してそれぞれが工夫しながら楽しむ。これは他のゲームにおいてもリリース当初には言えることで、しばらくしたら自然と勢いが落ち着いていくものだ。
しかし、圧倒的な話題性や売り上げトップという状況を作り出しているのは紛れもなくゲーム内容(キャラクター・シナリオ・システム・3Dなど)の質が高いからであり、三年待っただけのことはある、いやそれにしても想像以上だ……というのが、私が観察したところによる大衆の感想だ。

異常に出来がいい、と言ってしまうのは簡単だが、本当に凄い。Cygamesの最先端が詰まっていて、この令和の時代における頂点がここに誕生したという感じすらある。
他のソシャゲは客を取られてたまらないだろうし、今後リリース予定のゲームもハードルが上がりすぎてしまって大変かもしれない。
年初から放送中のアニメ2期の出来も非常に優れていて、その上で素晴らしいゲームが最高のタイミングで出てきたという事実には、もう文句の付けようがない。まだ三月が始まったばかりという段階ではあるけれど、ウマ娘は間違いなく2021年の代表的コンテンツになるのだろうという、確信のような想いすらある。

 

ただ、単純に技術的な面で優れているとか、システムが画期的であるとか、そういう意味では他にも魅力的なゲームはたくさんあるはずだ。これだけ一気に人気に火が付いた理由としては、それ以外に人の心を強烈に動かす何かがある……そう私は思うのだ。

登場するキャラクターは、すべて実在の競走馬から名前をもらった美少女だ。解釈は人それぞれでいいと個人的には考えるが、まぁ魂を受け継いだ存在とでも思っておけば無難だろうか。
ウマの名前を冠した少女がターフを駆ける。初めて聞いた人間は冗談だと思うかもしれないし、私も数年前に耳にした時は本気なのか……という風に、あまり前向きな受け止め方ができていなかったような気がする。仔細は覚えていないが。
私がコンテンツに初めて触れたのは、ついにアプリがリリースと聞いて急いで1期からアニメを見始めた今年の一月だった。単なる興味本位だ。そもそも三年前にはウマ娘にも競馬にも一切の関心がなかったのだから、自分でも少し不思議な感じがする。

アニメ、あるいはゲームに登場する少女たちは、一見するとただの走る少女でしかない。しかし、彼女たちは実に緻密に、愛をもって描かれている。
競馬というのは得てして劇的なものであることは、ちょっとWikiを見ればすぐに知ることができるので具体的な話は割愛するけれど、ウマ娘では実際に起こった喜劇や悲劇を人型の存在に落とし込み、ライバル関係やレースに対する熱い想いが情緒豊かに語られる。レースでは感情を露わにした少女たちの劇的な戦いが表現されるため、ただ見ているだけなのに思わず感情が湧き上がる。それは競馬観戦はもちろんのこと、他のスポーツを観戦している時と何ら遜色のないものだ。
十人十色、いや十ウマ十色といったように様々なエピソードが事実として存在しているわけだが、その史実を知る人間としては、彼女たちが見せる一挙手一投足に思わず本物のウマの姿を重ねざるを得ない。現実では叶わなかった偉業を追求したり、こんなところまで踏襲しているのかと散りばめられた小ネタに驚かされたり、ウマという存在を通じて生まれる愛をかつてないほどに感じることができる。それがウマ娘というコンテンツなのではないかと私は思った。

ゲームとしては、私はトレーナーという立場でプレイすることになる。まだ走ったことのないウマ娘と日々のトレーニングを重ねて、来るべきレースに備える。自分で育てたかわいい娘が懸命に走る姿を見て、はたして感情が刺激されない人がいるだろうか。
目標のレースに勝ったら我が事のように嬉しくなるし、負けてしまったら育成を失敗したことに申し訳ない気持ちになる。似たようなゲームは他にも遊んだことがあるけれど、こんな感情になるのは初めてのことだった。

昔からの競馬ファンで、ウマというものに絶対的なイメージを持っている人には受け入れづらい部分があるのは確かだろう。イメージというのは大切なものだ。コンテンツの作り手とユーザーだけで完結しない、非常にデリケートな存在。だからこそ、ここまで内容が突き詰められているとも言えるかもしれないが、いくつかの掲示板を覗いたところ、すべての人が理解を示すのはなかなか難しそうだという風にも感じた。
願わくば、このコンテンツがこのままより大きな存在感を持つようになっていって、愛の輪が広がっていったらいいなぁとは思うけれど、それは幻想だろうか。
まぁギャンブルとしての競馬に対する否定的な考え方は、昔も今も変わらず一部にあると思うから、そもそも題材が万人受けするかどうか微妙なところではあるのだが。
しかしウマ娘にギャンブル要素は出てこないし、何より焦点はウマとウマ、ウマとトレーナーが紡ぐ物語なので、大丈夫なんじゃないかなぁと私は今のところ楽観視している。いったん評価が落ち着いてきそうな半年後くらいにどうなっているか、楽しみだ。

 

昨年から競馬にハマり、ライスシャワーサイレンススズカの動画を見て涙を流し、ウマ娘というコンテンツにハマって2期では毎回のように泣いている、そんな私のウマに対する想いの断片を、ちょっとした勢いのまま書いてみた。
個人的なスタートダッシュの勢いはそろそろ息切れ感が出てきたので、今後は時間の許す限りやるというよりは、毎日の心の癒し枠としてゆるりと続けていきたいところ。