K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

置き配

Amazonで注文をすると、いつからか「置き配」が選択できるようになっている。
こういう世の中の状況に即座に対応するあたりは流石という感じで、非常に助かっている。日本の他の配達業者も置き配システム自体はあるようなのだが、あまり普及していない印象があり、この一年間Amazon以外はほとんど手渡しでの受け取りだった。
ただAmazonにしても、サービスの徹底という意味では、まだまだ不十分であるように思う。

 

昨日、ちょっとした生活用品をポチったのだけれど、私は発送通知後すぐに玄関前への置き配を設定した。
近頃の不規則な睡眠時間帯の影響で、日中にインターホン鳴らされても出られないと思ったのだ。というか、単純に荷物を受け取るために待っている(行動が制限される)のが面倒くさいし、人と接触しなければならないのも嫌だった。
扉の前に置いておいてくれればいいのだ。配達通知が届き次第、すぐに回収するのだから。

いつものように届けられるのを期待していたのだが、なんと裏切られることになる。
配達員はインターホンを鳴らし、私は当然のように無視する。これまでにも何度か、置き配の指示をしているにもかかわらず鳴らす人間はいたから、今回もそれなのだろうと思っていた。
しかし、しばらく経って届いた通知内容は、「申し訳ありませんが、商品をお届けできませんでした。 再配送の予定です」というものだった。

履歴に残っている「お客様からの配送指示を反映しました」とは、なんだったのか。
これは配達員の独自の判断によるものなのか、そういうマニュアルがあるのか……セキュリティ的な観点から持って帰ってしまったのか知らないけれど、これだと昼間、会社に出勤しているような人は、平日には受け取れないではないか。
たとえば商品のサイズに対して箱が大きすぎて、置いておくと通行の邪魔になるとか、そういう仕方ない理由だったら納得できないわけではないが、ちゃんと指示が届いていない、あるいは配達員の怠慢、みたいな理由だったら困った話だ。

そして再配送の予定、というのは具体的にいつ頃なのだろう。
「再配達を依頼する」というオプションもあるから、確実性を求めるなら自分で指定しろということなのだろうけれど、このまま放置していたら、はたして今日の夜に持ってくるのかどうか。

直接、受け取りたくないもう一つの理由としては、身だしなみという点がある。
部屋着で、髪はボサボサ、時間帯によってはひどい顔色だろうし、配達員だから大して気にしないかもしれないとはいえ、人前に出るのが躊躇われる見た目であることは間違いない。
しかし、そのためだけにシャワーを浴びて外見を整えるのもモチベーションとしては弱く、置き配してくれる以外に幸せな道はない。


……まだ明るいうちにここまで書いておいて、それでは外が暗くなってからどのような展開になるのか待ってみた。
つまり、その日のうちに再配達してくれるのかどうか、そして今度こそ置き配してくれるのかどうか。

すると19時よりも少し前くらいの時間に、見慣れた「ご注文の商品を配達中です」という通知が再び届いた。思っていたより早くて驚いたけれど、これでまた不在だったらどうするつもりなのか甚だ疑問ではある。
まぁ置き配については期待できそうにないので、流石に二度も無視するのは迷惑だし、今度は鳴らされたらちゃんと出てやるかという気持ちで、とりあえず着替えるだけ着替えて顔を洗うことにする。
一瞬、顔を合わせる程度なら問題はないだろう。

そうして待つこと2時間以上……え、まだ来ないんだが、本当に今夜配達されるのか?
これを書いている現在は21時50分、まだ届けられる気配はない。
22時を過ぎての配達は非常識だと思うのだが、そういう感覚を持っているのは私だけなのだろうか。

隣人の騒音の件もそうだが、どうにも世の中には想像以上に常識というものを弁えていない人間がたくさんいるようで、本当に驚くばかりだ。これまでに私が出会ってきた知人たちが運良く最低限の水準をクリアしていたというだけで、実際には人間の大半は根っからのクズばかりなのかもしれない。
一般的な道筋から外れる頭のおかしさと、常識もわからず自分勝手に振る舞うことは、まるで異なるのだということをあらためて実感する。