K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

排水口

一人の生活を始めてから、初めての夏……ということで、これまでに意識していなかった生活上の問題を、日々認識することになっている。
夏という季節は気温が上がり、人だけでなく様々な生き物が活発になるため、たとえば至るところから虫が湧いたり、いつの間にか食べ物が腐っていたりする。
最近の悩みは、もっぱら排水口から漂う異臭だ。

 

排水口がにおう原因は、おそらく排水口内部の水かネットに溜まっている生ゴミが腐敗して雑菌が繁殖したことによるものだと思うのだけれど、対処自体はそれほど難しくない。
熱湯で殺菌した後、ネットを取り替えれば、ひとまず強烈な異臭は取り除くことができる。
ただ、きれいになったと思っても数日で復活するから、週に何度か手入れをしなければならない点が面倒で、ものぐさな私にとっては非常に厄介な課題に感じる。

調べてみると、熱による対処は有効ではあるものの、過剰な熱は別の問題を引き起こすらしい。
排水口に使われている塩ビ管の耐熱温度がそれほど高くないため、沸騰するくらいの熱湯だと破損してしまう可能性があるとかなんとか。
破損したらどうなるのか、という悲惨な結果については見つけられなかったので、実際のところはどの程度まで大丈夫なのか不明だが……まぁどちらかと言えば、下の水よりもネットに溜まっている生ゴミのほうが原因としては大きそうなので、異臭を感じたらとっととネットを交換してしまったほうがいいのかもしれない。


においを放つネットの捨て方については、先月に大失敗した経験がある。
卵を割る際に、うっかり中身を排水口に落としてしまったのだ。排水口のネットで受け止められた生卵は水の流れを妨げるため、どうにか処理しなければならない。しかし、ゴミの日は数日後。とりあえず置いておく場所に困ったので、他の生ゴミを入れているポリ袋にそのまま放り込んで、片づけた気になってしまった。
これがもう痛恨のミスで、常温で放置された生卵は絶好の餌となったようで、大量の雑菌が発生したらしい。次の日にはキッチンに腐卵臭が蔓延し、とても数日後を待てる空間ではなくなっていた。

人が死んだ後には、凄まじい臭気が充満するという話を聞いたことある。壁を貫通するほどの、饐えた腐敗臭。たんぱく質の腐ったにおいという意味では似たようなもので、処理には非常に苦労した。
結局、何重にも袋で覆って、ゴミの日になるまで我慢したわけだけれど、ただのポリ袋・ビニール袋はにおいを完全に遮断できるわけではないため、微妙に漏れてくるのだ。腐敗状態も日に日に悪化していくので、連日、吐き気との戦いが続いた。

それ以降、失敗から学んだ私は、生ゴミは冷凍庫に保管することにしている。
暖かくなって菌が繁殖しやすいから異臭に悩まされるわけで、菌の活動を停止させてしまえば腐ることもないという解決法だ。
今回の排水口問題も、においを感じるたびにネットを冷凍庫にぶち込んでしまえばいい気がしているのだが、まぁそのネット交換が面倒くさいという根本的な問題を抱えているので、他人事のように言うと、救いようがない。
そのうちまた、とんでもない事態を引き起こしそうで戦々恐々という思いだ。

人は痛い目を見ないと改善しないという、どこかで聞いた説はきっと正しい。