K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

気持ちよすぎてやめられない

一般的に三大欲求と呼ばれるものは、それぞれ満たせば幸福感が得られると思うのだけれど、中でも睡眠に関して言えば生命が抗いようのない魅力が秘められていて、我慢するということが根本的には難しい。
食欲は栄養補給という面があるから微妙ではあるけれど、究極的には点滴に頼ることで断食が可能であるし、性欲に至っては個人差が大きいものの、理性を働かせるか他に熱中できることを作れれば無視することが可能なので、生きていく上での重要性は睡眠に劣る。
どれだけ強靭な人間でも睡眠だけは絶対に必要な行為であり、眠気に抗おうと思っても普通は二、三日で力尽きてしまうのだ。

 

基礎代謝や体力の総量によって、睡眠欲への耐性というものが変わるのかは知らないけれど、私はこの二年ほどの間に、極端に眠気に弱くなった。身体的な変化で言えば、著しく体重を減らしたという問題を抱えているのだが、どうにも身体の中にエネルギーを蓄えられなくなっているのではないかと推測する。
疲れやすい上に回復力も低く、一日に占める睡眠の割合がどんどん増えていく。長い目で見たら、長生きの秘訣と捉えることもできるかもしれないが、あまりにも睡眠時間が長すぎて却ってストレスが増えるばかりのような気がしてならない。

先日から生活リズムが崩壊しているため、早朝から眠り始めることも多い最近の私だけれど、昨日の夜は少し早めを意識して布団に入った。昨日というか、まぁ今日に入って数時間後ではあるのだが、普通に寝て起きれば午前中には活動を始められるだろうという考えだったのだ。

それなのに、目が覚めたのは16時過ぎ。途中で何度か半覚醒状態までいった記憶があるので、起ききれずに二度寝三度寝といったところなのだろうが、それにしても眠りすぎではないか。一日中、働いてきたというような明確な理由もないのに、半日以上を睡眠に費やしてしまうなんて、いったいどうしたのだろう。
一昨日から昨日にかけては、半ば徹夜状態で過ごして早朝に散歩をしたという流れがあるから、その狂った体内時計をリセットするために長く眠った説はあるのだが、そもそも昼から夕方にかけてガッツリ寝たから睡眠不足というわけではなかったのだ。
睡眠欲が強すぎる謎には今後も悩まされそうな気がするので、いっそのこと開き直って受け入れてしまったほうが楽になる気がしないでもないが、ともあれ後悔と同じくらいに欲求が満たされたという素晴らしい感覚もあるから、心境としては複雑の一言に尽きる。

 

こういう生活を続けていると食事の回数や一日に摂取できる栄養が偏ったり不足したりするのは必至で、せっかく脚の筋肉を取り戻しつつあるのにまた体重が減りかねない悩みに直面しそうな局面を迎えている。
おそらく、もう落とせる体脂肪なんてほとんどなく、誰が見ても細すぎる身体の各パーツはみすぼらしさの極みで、自ら鏡を見てドン引きしてしまうほどだ。それでも足腰だけは相対的にしっかりしているから、急に歩けなくなるなんてことなないとは思うけれど、いい加減になんとかしないと、いざ病気に罹った時に生命に致命的なダメージを受けそうで怖い。
今のところ健康体ではあるはずだけれど、体力の余白がないから、追い詰められたら急転直下という可能性が十分にある。まぁ健康診断を受ける機会もないため、本当に健康なのかは知る由もないが。

昔から「標準体型」以上だったことはなく、学生時代にはモデル体型なんて評されたこともしばしばあったのだが、今は行きすぎてしまって痩せすぎだから、モデルとしても見栄えが悪い。
食べすぎたら腹を壊し、筋トレは長続きせず、気を抜くと生活リズムの崩壊とともに食生活も乱れ、待っているのはより一層の痩せ体型。ダイエットに苦労している太り気味の人間よりも効率的に痩せへの道を意識せず歩んでいるから、私にとって体重を増やすというのは非常に厳しい道程なのだ。

太りやすい人がなぜ太るのか。その一つの答えは、食に快楽を見出しているからなのだろう。私は睡眠にこそ抗えないが、食に心が揺らぐことは滅多にない。削ってしまってもストレスにならないから、太れない。
これは幼い頃から成長期を経て身についた、個々が持っている本質の一つのようなものだろうから、きっと痩せたい人と太りたい人の考えが合致することはないのではないかと思う。

もし、仮に性欲が脳内の与党である人間がいたとしたら、その人の生活はどうなっていて、どのような体型をしているのか、少しだけ興味がある。