K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

雨の中の散歩

大して書くことがない日々が続いているので、また散歩の話になる。
流石に外出機会減少による運動不足が気になってきたので、今朝はいつもより早めの4時過ぎに散歩を開始することにした。
ドアを開けた瞬間に雨音に気づき、また降っているのかと一瞬、諦めかけたけれど、ここで引くわけにはいかないと思い直して傘を片手に飛び出した。

 

早い理由は昨晩、まったく眠っていないからで、3時半頃に気分転換と眠気覚ましを兼ねてシャワーを浴び、気持ちがすっきりしたからそのまま身体が落ち着く前に運動に移ろうという考えがあったのだ。
普通は汗をかいた運動後にシャワーを浴びるべきという風に考えるのだろうが、私の場合は多少の汗なんて気にしないし、どちらかと言えば気分のほうが重視すべきファクターなので、今朝の順番は主観的には正しいものだった。

雨の中を歩くことは過去にも何度かあったのだけれど、いずれも小雨だったので濡れることは特に気にならない程度のものだった。
しかし今日はそういうわけにもいかず、雨を凌げる道具を使わなければ頭から下着の中まで濡れてしまうことは必至という環境だったから、初めて経験するパターンではあった。
何が普段と違うかと言うと、両手が塞がってしまっている点だ。いつもは片手にスマホを持ち、もう片方はフリーにしているのだが、今日は傘で埋まってしまう。
腕力のない私が数百グラムはある傘を持ちながら激しいウォーキングを続けるのは、想像していた以上に体力の消耗が大きかったらしく、思っていたよりも早い段階で息が上がり始めた。次第に手も痛くなってきて、傘とスマホを持ち替えたくなってくる。
まだ朝早く周囲に誰もいない時間帯で、なおかつマスクをしているから顔を見られることもないけれど、さぞかし不器用な動作をしていたことだろうと思う。スタミナとパワーが足りていないのだから、満足いく形で身体を動かすことなんてできないのだ。

散歩も半ばを過ぎ、乱れた呼吸や脚の筋肉の疲労感が心地好く麻痺してきた頃、ようやくペースを保ったまま手に持つ傘へと意識を割くことができるようになった。
ちょうど、木が茂る道を進んでいるところで、葉から零れた水滴が傘に当たって弾ける音が不断に繰り返される。
このような、比較的自然が豊かな道に特徴的なのは、土のにおいと飛び交う虫の存在だ。前者は雨水と混じって独特の自然感を醸し出していたから悪くないのだけれど、後者は純粋に気持ち悪い。
小さな蝿や蝶、蜘蛛などが至るところに棲息していて、時には顔に飛んできたり、服に引っ付いたりする。払えば問題ないのだが、以前にはマスクの内側に入り込んできたこともあったから、意識しないわけにはいかない。

ふと、手に妙な感覚があった。
何かが引っかかるような。なんだろう。
単純にそう思っただけで、別に気にしていなかったのでしばらく無視することになったわけだが、傘とスマホを持ち替えるタイミングでそれがなんだったのか、いよいよ明らかになる。
答えは、蜘蛛の巣だった。
どうやら歩いている最中に、木に張られていた蜘蛛の巣を傘で引っ掛けてしまったようで、それが持っている手に絡んだらしかったのだ。
驚きはしたけれど、一見すると蜘蛛が身体にくっついている様子はなく、どこかで落としてきたのかもしれないが、いずれにせよ事実としては、粘着性の高い蜘蛛の糸が私の手に巻き付いているということだけが目の前にあった。
傘を持ち替えてしまったので、回転を加えたように余計に複雑に絡んでいて、軽く手を振っただけではまったく取れる気がしない。仕方なくポケットにスマホをしまい、手と傘の間で綿あめになっている白い糸をブチブチと千切るように外していった。
蜘蛛の出す糸がこれほどまでに粘着性が高いとは思っていなかったので、自然界というものに対して、また新しく勉強になった気がする。
どこかの蜘蛛には、家を壊してしまって申し訳ない気持ちもあるが、まぁそれほど高身長ではない私が引っかかるのだから、私が通過せずともすぐに失われていたに違いない。

夏は暑くなるから早朝に散歩することにしているのだけれど、唯一のデメリットは夜中に張られた蜘蛛の巣に引っかかる可能性があることなのだなぁと、ふと思った。

 

ちなみにスマホは時間を確認するためと、音楽を聴くために持っていて、ジャージのポケットに入れっぱなしにしておかないのは大きさと重さの関係から安定しないという理由のため。
ハイペースで歩くなら、ポケットはできるだけ空のほうがいいし、もし散歩の勢いで落としてしまったら故障しかねない。

今、使っているXperia XZ1は現存する数少ない16:9の画面比で、最近のモデルはどうにも肌に合わない気がするから、壊れるまで使い倒したい気持ちでいる。
スペック的にはゲームをやるならそろそろ厳しさを感じるものの、まだまだ普段使いには十分な性能なので……願わくば16:9のトレンドに戻ってほしいところだけれど、世界的な流れを見ると無理なのだろうなぁ。