K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

希望、つながる

数週間前の日記に書いたと思うのだが、とある人物との約束をすっぽかされてしまっていて、一向に連絡が来ないから諦めてしまおう、という話だった。
都合が変わるのであれば教えてくれと、これまでに何度もお願いしてきたというのに、毎回毎回そのまま音沙汰なく放置されてしまうので、これ以上は我慢しても仕方ないだろう。なかった約束だと考えるようにしたほうが、精神衛生にも悪影響が出づらいはずだ。
そんな風に思って、もうこちらから状況を尋ねることをしなくなったのだった。

 

それから数週間という短くない日々が経過していき、しかしながら連絡はなく、ほとんど日常において意識することはなくなっていた。
けれど心の片隅には常に、このままなかったことにしてもいいのだろうか、と心配する自分がいて、最終的にどのような結末を迎えるにしても、なんらかの説明を受けなければ一生後悔することになるだろうと思わずにはいられなかった。

半ば諦めていたというか、もう現実的に考えて難しいだろうという事実を状況が示しているにもかかわらず、完全には諦めきれない。
せっかく誘ってもらって、面白くなりそうな未来に期待を抱いたのだ。簡単に捨てきれるものではない。
だから、最後のチャンスだと思って、促してみることにした。怒りというよりは呆れを滲ませた文章で、多少は罪悪感を喚起させるかもしれない。今後の付き合いが絶たれるリスクだって、ゼロではない。
それでも、このまま何もせずに待っているより悔いの残りそうなことはない。
私自身の目標に集中して向かっていくためにも、これだけは白黒させなければならなかったのだ。

そして、悩みに悩んだ末に送信したLINEのメッセージには、既読が付かなかった。
おそらく多忙であることだろう。すぐに反応が返ってくるとは思っていない。しかし、丸二日が経っても見てもらえないというのは、どういうことなのか。
事態は想像していたよりも深刻なのかもしれない。一応は最悪のケースとして想定していた、事業が上手くいく見込みが立たないから逃亡するという結末に、ちょっと近づいたような感覚……仮にブロックされていたら、こちらからは連絡を取る手立てがなく、詰みに等しい。
いやいや、流石に話が飛躍しすぎだろう。本当に忙しくて、複数のメッセージの中に埋もれてしまい気づいていないだけ、という可能性が最も高いのではないか。

疑念は膨らむばかりで、考えれば考えただけ不安が大きくなる一方なので、もう私は考えることをやめた。
何度か呼びかけのスタンプを送信してみて、それでも反応がなければ、きっぱりと諦めよう。その事実をもって、駄目になったのだと判断することで、心の負担を減らせたらそれでいい。

 

結論から言えば、最悪の想定は免れた。
反応を確かめるためのスタンプを送ったところ、比較的すぐに返事が送られてきたのだ。
埋もれて気づかなかったという予想は当たっていたようで、平謝りされた。
謝られるのは何度目だという話だし、その言葉に重みを感じることは一切なかったけれど、ひとまずはホッとしたという気持ちが大きい。

連絡がなかった理由は、単純にキャパオーバーで余裕がなく失念してしまっていたというニュアンスで、言ってしまえば過去にあった同様の事象とほとんど変わりがない。
それを理解しているから、前回のやり取りの際に釘を刺したつもりだったのだけれど、まるで意味がなかったようだ。あの人の、そういう悪い部分は何年も前から改善されていないし、今後に期待しても仕方ないのだろう。
まぁ最も予想しやすく、そして首の皮一枚つながるような結果となったので、私の賭けは勝ったも同然と言える。

こういうご時世なので、関わっている多くの事業が延期を余儀なくされ、関連する他のスケジュールにも当初の予定から大幅に変更が入ってしまい、手が回らないどころの話ではなくなっていたらしい。
仕切り直すにしても一定の時間は要するため、現時点では確かなことは何も言えないのだという。

詳しい事情は知らないから具体的には何も言えなかったけれど、とりあえず私は待っていればいいらしい。
次がいつになるか不透明ではあるものの、もう不安になる必要はない。来月か再来月か、それほど遠くないうちに見通しが立ったら連絡をくれるようなので、それまでは忘れてしまっても問題なさそうだ。
これで来年になっても動きがなければ、今度こそ諦めがつくというもので、せいぜい「まだ」部外者の私は己の行く末を状況の変化に委ねるしかないということなのだろう。
完全に理解した。もう心配はいらない。