K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

電力会社

いまさら感の強い話なのだが、今の家に入居した時に契約した内容について、いくつか妙な点があったことを思い出している。
その一つひとつについて紐解いていくには、あまりにも時機を逸してしまっているため、すべてをつまびらかにしようとは思わない。ただ、現在の生活において明らかに不利益を被っていると思われるものについては、余計なストレス軽減のためにも対応していかなければならないだろう。

 

普通の賃貸契約がどのようなプロセスで進められるのか、まだ一度しか経験していない私にとっては判断しようもないのだが、一昨年の秋に不動産屋で契約を交わした後の出来事については、この場に書き残しておいてもいいだろう。
簡単に言ってしまえば、電気・ガス・水道の三大ライフラインに関する案内の話だった。それは突然の電話で、知らない番号かつ知らない社名を名乗っていたから何度か無視していたのだけれど、残された伝言をよく聞いてみると、どうやら生きるために必要な種々のシステムについて、その契約を代行してくれる仲介企業だったのだ。
そんなもの、頼んだ覚えはない……とはいえ、自ら手間をかけるのも面倒だし方法もわからないから、言われた通りにするしか選択肢は残されていないように思えた。

水道は入居日から使えるようになる。ガスは立ち合いが必要だから直前に業者へ連絡が必要となる。ここまでなら事務的な説明を聞いただけで済む話だったのだが、電気については予想外の提案を受けてしまい、咄嗟に賢明な結論を下すことができなかったのだった。
曰く、お得に使えるようになるのだとか。安くなるならなんでも構わないとは応じたものの、思慮が浅かった。これだから電話は嫌いなんだ。一方的に情報を押し付けられて、こちらが意図しているコミュニケーションが難しくなる。いつの間にか、通常の東京電力ではなく、聞いたこともない新興電力会社との契約をさせられていた。

これは後から知ったことなのだが、「安くなる」という話は半分が本当で、半分が嘘だった。従来の電気料金は基本料金+従量(+調達調整費+再エネ賦課金)といった形で決定されるが、私が契約してしまった会社は調整費が市場価格によって大幅に変動するというものだった。安い時はその分だけ安くなるが、高い時の請求は割高になる。
冷静に考えてみると、安くなるのは限りがあるけれど、高くなるのは青天井だ。一度でも爆発的に高騰することがあれば、使用者は例外なく大損することになる。長い目で見ると、積極的に契約する価値なんてまったくない。
そして昨年の今頃だったように思うが、電力価格は激しく高騰した。

今、払わされている調整費は仕方ないものと諦めるしかないけれど、これから先は話が別だ。また、どのタイミングで高騰するか予測できないし、やはり季節柄、直近の請求で安くなっているという実感は得られないどころか、明らかに高すぎる。
というわけで、支出の安定化を図るために電力会社の変更を検討することにした。

 

契約内容を見ていると、違約金が設定されていることに気づいた。本当にがめつい企業だ。軽く調べてみたらネット上の口コミは散々だし、許せない。なんでこんな企業が平然と存在していられるのだ。倒産してしまえばいいのに。
愚痴はこのあたりにして……通常、電力会社の切り替えは、同じところに住み続ける場合は会社側で勝手にやってくれるらしい。私が直接、現在の会社とやり取りする必要はなさそうだが、おそらく何も対処しなければ違約金が自動的に引き落とされてしまうことだろう。

ふと、記憶の奥底を探る。確か、違約金はかからないようにするという説明を受けなかっただろうか。
二年前の電話内容を引っ張り出してくる。もちろん記憶ではなく、音声データだ。あらゆる通話を勝手に録音してくれるアプリを入れておいて、本当に良かった。
当時の会話によると、やはり間違ってはいなかった。要約すると、仲介企業の紹介という形で契約するため、中途解約の場合でも向こう側が負担してくれるという話だった。

まだ電気事業者を選定している段階だが、心情的にはほとんど確定事項なので、違約金を返してもらう手続きを行う必要がある。
心配なのは、はたして約束が生きているかどうか、ということだ。とぼけられたら、たまらない。
問い合わせのフォームに、しっかりとした言葉で……いわゆるビジネス文書という概念を念頭に置いて、時間をかけて丁寧な文章を書いた。久々の「人に読んでもらう」文章だ。気楽に文字を打ち込んでいる日記とは違う。
疲れはしたけれど、何度も読み返して確認し、結果的に悪くないクオリティの問い合わせ文が出来上がった。

今日は世間で言うところの、三連休の中日だ。返信まで、数日は待たなければならないだろう。
望み通りの回答が届くことを期待したい。