K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

軽い気持ちでは遊べない

失礼ながら、「まだ艦これをやっている人間がいるのか」と思ってしまった。
私だって、かつては熱中して遊んでいた提督だ。登場するキャラクターに対する好意的な気持ちは、まだ心のどこかに残っているし、私の帰還を信じて鎮守府で待っている艦娘たちのことを考えると、少し心が痛む。
しかし、それでも、今からゲームに復帰しろと言われたら無理だと応じる以外にないし、もしログインしなくなった時に遡ったとしても、現在まで続けている未来はなかったと思う。

 

ゲーム運営が継続している限り、当然のことながら定期的なイベントは開催されるし、その都度、新規キャラクターの実装はある。
当たり前の話なのだ。私がどのような人生を送ろうが普通に社会が動くのと同じように、ゲームを遊ばなくなったとしてもサービスが終わるわけではない。
今でも楽しんでいる提督が存在していること自体は、何も不思議な話ではなかった。リリース当初から私が辞めたタイミングまで続いていた基本的な流れが、若干の形を変えることはあるにせよ今でも続いている。

もう遊ぶ気はないにせよ、完全に興味が失せたというわけではないのかもしれない。
新しい艦娘が実装されたら、TLに流れてくることがある。別に毎回、積極的に調べるわけではないけれど、たまたま目に入ったその娘がかわいければ、普通にいいなぁと思う。
複数のイラストレーターが分担している関係で、絵が刺さる・刺さらないという話は提督現役時代からあった。
好きな絵柄の新キャラを見ると、忘れてしまっていた特別な感情を思い出したような気分になるのだ。
運営方針というか、イベントの難易度調整というか……諸々の不満が蓄積した結果、いつの間にかログインすることがなくなっていたゲームではあるけれど、やはりキャラクター自体は素晴らしいのだ。
似たようなことは、私がプレイしていない他のゲームにおいても言えることだと思う。

 

毎年、様々なゲームがリリースされる。
コンシューマーにおいてはSwitchやPS4あるいはPS5、PCという市場展開があり、いわゆるソーシャルゲームとしてはスマートフォンおよびタブレットやPC版で気軽に遊ぶことができる。
前者は従来の「ゲーム」であり、買って遊んで満足したら終わり、というパターンが多い。最近ではDLCコンテンツや追加パッチによる更新が珍しくないため、昔よりは一つのゲームを長く楽しめるようになったと気がするけれど、私は最新のゲームハードを所持していないから詳しいことはわからない。
それよりも、ここ数年は後者のほうが話題を集めている気がする。数が膨大なためピンキリではあるだろうが、全体の売上としても前者より勢いがあるのではないか。
場所を問わず、誰もが持っているデバイスで簡単に遊べるからこそ広く普及したのだろうが、コンテンツの寿命という点で考えると、前者と比べてどうだろうか。

一部の人気ゲームは、数年が経過しても勢いを保っていることが多い。一方で、スタートに失敗してユーザーの獲得が上手くいかなかったゲームは、一年か二年か、あるいはそれよりも前にサービス終了を余儀なくされるものだ。
コンシューマーゲームは出してしまえば基本的に終わりだが、ソーシャルゲームは常に開発を続けなければならない。改良しても収益に直結しないと判断されれば、打ち切られるのも無理はないだろう。
年間にいくつのゲームがサービス終了となっているのか知らないが、その手のコンテンツに関心を持ちながらTwitterを眺めていると、しばしば終了のお知らせが視界に入ってくる。

どれだけ流行ったゲームでも、人の興味は時の経過とともに別の事柄に移りゆくものだし、インターネット上で展開されるゲームである以上は、ユーザー自身も繰り返されるアップデートによる環境変化の影響を受けざるを得ず、一層のめり込める人もいれば徐々に以前の楽しみを失っていきモチベーションが低下する人もいるだろう。
健全に、少しずつユーザー層の入れ替わりが起これば好ましいけれど、しかしながら多くのゲームにおいて長年の蓄積ほどに大きな資産は存在しないため、基本的にはゲームを支えるのは長期ユーザーであって、次第に減少する彼らの機嫌を損ねないことが長く運営するための要点なのではないかと思う。
もちろんゲーム開発の内情なんて知らないから実際のところは不明だが、これは肌感覚だ。

現在進行系で楽しんでいるゲームが、数年後にどうなっているのか、多くの時間とエネルギーを注いできたからこそ心配になることがある。
艦これは自分の中で、ある種の諦めがついた。他に熱中できるコンテンツが出来たことで、大して後悔もなく自然に移住することができたのだ。
複雑な葛藤もなく、一つのコンテンツとの縁を切ることができるのか。理想としてはゲームが盛り上がりを維持して、より良い形に更新され続けることだが、未来のことはわからない。
あるいは他に、よりハマれるゲームが登場してきたら心変わりがあるかもしれない。わからない。しかし現状の気持ちとしては、そうならないことを願っている。

コンシューマーゲームならともかく、本腰を入れてソーシャルゲームを遊ぶということには、大きな覚悟が必要だと学んだ。娯楽としての悦びを享受する代償として、時間と体力と、場合によっては金が失われる。
新しいゲームを始めることが悪いとは思わないけれど、本気でプレイするかどうかの判断だけは慎重に行わなければならない。