K's Graffiti

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皐月賞2022回顧

やはりクラシックレースは楽しい。
いよいよ始まった3歳牡馬の大舞台、その初戦となる皐月賞だが、今年に入ってから観戦してきた中で、最も満足感が得られる競馬だったように思う。
若駒たちが鎬を削り到達したハイレベルな走りからは見ていて心地好い緊張感が生まれたし、応援している馬が最終直線に入った時の「頑張れ」という想いには、非常に大きな価値を感じた。
馬券の勝ち負けに関係なく、競馬が趣味で良かったと思える瞬間だ。

 

先週の桜花賞とはまた違った意味で、特別に抜きん出た存在がいない予想の難しいレースとなった皐月賞は、1人気が3.9倍、6人気までが1桁オッズというGⅠではなかなか見られない異様な状態だった。
臨戦過程は様々であり、中には対戦経験のある馬もいるけれど上位に限っては勝負付けが済んでいるとは言いがたく、どの馬を本命視すべきか一週間ずっと悩むことになった。
こういう時は、アレもコレも、と可能性を無限に考えるよりは、直感的に強いと思った馬を中心に絞って応援したほうがいいのかもしれない。
考えすぎてしまうと馬券の組み立て難易度が高くなり、レース後に振り返って反省すべき点が多くなる。
まぁそういう意味では、まだまだ予想における成長の余地が多分に残されているわけだから、今後の楽しみは尽きないとも言えるが。

 

勝ったジオグリフの走りっぷりは、とにかく完璧の一言ですべてが表せるだろう。
不安のあったスタートは五分に出て、道中すんなりと中団前目につけて問題なく折り合い、途中からはルメール騎乗のイクイノックスをマークして、最終コーナーから追い出すタイミングはバッチリといった感じで、最後は伸びるところを存分に走れていた。
福永先生は推し騎手だからいつも応援しているし、その勝利は心から喜ばしいことだけれど、今回は本命評価ではなかったから、あらためて軽視できない存在だと思い知ることとなった。
勝った後のニコニコの表情は、ファンとしてはたまらない。今年もGⅠでは安心して買える騎手になりそうだ。

ジオグリフ自体は、もともと強いとは思っていたし、木曜に書いた予想記事では印を打たなかったけれど、前日の時点で自分の中では▲まで評価を上げていた。
4着のダノンベルーガも相当に実力が高いことは今回で示されたけれど、共同通信杯ではジオグリフが唯一の斤量57kgで臨んでいたという点を鑑みると、両者の間に絶対的な差はないのではないかと思い、枠を考えたら逆転もありそうだと判断するまでは良かった。
しかし、私は素質に夢を見出してしまったのだ。どうやっても、イクイノックスを上回る期待は抱けなかった。

東スポ杯から直行という異例のローテーションで挑むことになったイクイノックスは、やはり本物であることが判明した。
序盤から積極的に出していって絶好位を確保したのは、流石にルメールの上手さが光るところだったと思うし、ペースが大方の予想に反して遅めになったことも味方したのではないかと思う。
ただ、前に馬を置けず折り合いが少し乱れてしまったところは、馬自身の経験の浅さが出ているように感じた。こればかりは、大外を引いたことによる揉まれないメリットの副作用でもあるから、仕方なかったのだろう。
序盤から中盤にかけて脚を使うことになり、勝ち馬に目標にされ、最後まで前で競馬をして2着になっているのだからポテンシャルの高さは火を見るより明らかだし、今後の成長が非常に楽しみになった。
体質に不安があるから、今回の疲労が取れない、なんてことになったら嫌だけれど、もし順調に調整できるようなら迷いなくダービーでも本命として考えたい一頭になる。

3着のドウデュースは、見ていてハラハラさせられた。というのも、最終的な評価としては△だったのだけれど、馬の強さと安定感を総合すると3連複の軸には最適だったからだ。
大阪杯のエフフォーリアではないけれど、馬券を組み立てる上では外すことができなかった。結果の出ていないハーツ産駒とはいえ、一昨年のサリオスと被る部分を感じたし、それ以外の不安要素も少なく、仕上げは上々に思えた。イクイノックスと比較しても、ドウデュースが飛ぶ確率は低いのではないかと感じたのだ。
だから序盤を抑えて後方に位置取り、そのまま向こう正面を走っているのを見た時には、その馬はディープではないんだから……と思わずにはいられなかった。
最後は大外をぶん回して上がり最速の3着ということで、結果的にはダービーに繋がる競馬になったとは思うが、馬が強くなかったら掲示板も難しかっただろう。
ダービーでは軽視するつもりだったのに、なんだかワンアンドオンリーワグネリアンのような感じで普通に好走する可能性が生まれてしまったので、より予想が面白く難しくなったと思う。

ダノンベルーガは、初めて揉まれる競馬を余儀なくされた上に荒れた内側をずっと通っていて、距離ロスが少ないとはいえ中山巧者アスクビクターモアを交わして4着というのは悪くない結果だろう。今日の馬場で1枠1番なら、十分よくやったと言える。
この馬の持っている素質を活かすにはダービーという舞台が合っているように思うし、この負けは評価を下げる理由にならない。依然として注目していきたい一頭だ。

そして、想定されていた逃げ馬が躓いたことにより、逃げる形となったアスクビクターモアだが、正直に言うと私は大して評価していなかった。
弥生賞のレベルに疑問を持っていたのもあるし、ペースの上がりやすい皐月賞では用なしで、人気を吸ってくれるだけの馬なのだろうと考えていたからだ。
しかし、先手を取って大きく垂れずに5着というのは、馬券から完全に切っていた私にとっては驚きの結果だった。
ミドルペースでも頑張れることがわかったのは、それなりの収穫だろう。GⅠでは難しいかもしれないけれど、GⅡなら十分に勝ち負けくらいの力はありそうに思える。

13着に大敗したキラーアビリティについては、武史に悪い風が吹いているというか、なんというか……追い切りが不調で陣営も自信がなさそうだったし、思いきって消し評価にすべきだったと反省している。
臨戦過程やレース経験、各種データから判断すると外せない有力馬になるから取捨に迷った。走るのはデータではなく馬なのだから、もう少し直前まで、馬と馬場の状態を考慮することを覚えたい。何をしても結果論になるところが、競馬の難しさなのだけれど。
ゲートから序盤にかけて何もかも上手くいかず、折り合いを欠いた上に伸びない内をずっと走らされていたのだから、この負けは当然とも言える。

 

皐月賞2022_3連複

というわけで、有馬記念以来、久々にリアル馬券で勝つことができた。
今年に入ってからのGⅠは荒れ模様だったこともあり、少ない点数でしか勝負できない私は負けてばかりだったけれど、これでようやく弾みがつけられそうだ。

現状、重賞エア馬券チャレンジ・GⅠリアル馬券チャレンジともに回収率は60%台と微妙なところを推移しているから、そろそろ大きな一発を当てたい。
これは金稼ぎではなく、年間回収率という指標を使ったゲームなのだ。ゲームをしているからには真剣に本気で取り組みたいし、勝ちたいと思うのは当然だろう。

再来週からは怒涛のGⅠシーズンが始まる。
まずは春の天皇賞だが、現時点での本命は迷わずディープボンドで考えている。まぁ長距離なので大きく荒れることはなさそうだし、ケンでもいいレースではある。
とりあえず投資分の回収を目標にしたい。