K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

グランドライブ

いやぁ、凄い事態になった。
捉え方は十人十色だと思うけれど、特にやり込んでいる人にとっては一様にショッキングな出来事であるのは確かだろう。
これを問題にするのは全体のプレイ人口からすれば一部の少数派であるはずなのに、Twitterのトレンドに上がるまでに話題は広がった。
もし数年後にゲームの歴史を語ることになったら、避けては通れない事件と言っても過言ではない。

 

先に書いておくと、私はかなり冷静に、冷淡に事実を認識して受け止めることにした。
ありのまま、流れてきた情報を有志の検証結果と照らし合わせて、誤りでないことを確認する。そして、これまでと同様に仕様として「そうなのか」と理解する。頭に刻み込む。
ウマ娘が1.5周年で公開したアップデートおよび新シナリオに関する議論が、各所で止まらない。
昨日までのゲーム性にうんざりしていた人、新要素を何よりも楽しみにしていた人、ゲームへのアプローチに個人差はあれど、今回の節目で少なくとも好ましい変化が起こることを誰もが期待していたに違いない。
さて、それでは実際に出てきたものが、どんな代物だったのかというと……まず良い意味で驚いたのは、ライブシーンが格段に進化しているという点だ。臨場感あるダイナミックなカメラワークに、派手な演出、見ているだけで感動が溢れてくる。なんて素晴らしいゲームなのだろう。部分的に切り取れば最高峰という以外に表現できないくらいで、ここだけは文句の付け所がなかったと思う。

それでは、多くのユーザーに関心の高い「育成」についてはどうだろう。
私は、実のところ心のどこかで安堵している。なぜなら急激なインフレと課金圧に屈することなく、これまでのようにマイペースなスタイルで続けられる状況になったからだ。
しかしながら大多数の人間にとっては、そうではない。URAからアオハル杯、クライマックスという風に育成環境が移行してきて、段階的に強い育成が可能になってきたという流れがあった。当然、今回のグランドライブでも、より強いウマを作ることができるようになると考えられていた。
いわば目玉となっていた「上限突破」という要素がある。これは、シナリオごとに異なるものの、一定の数値だけ既存の1200を超えてステータスを上昇させられるという新仕様だった。
シナリオ因子の中身であったり、育成時間や手間であったり、それぞれ異なる特徴は持っていながらも、基本的には最新の育成シナリオを遊んでいれば、最も強くできるというのが周知の事実だったのだが、今回は上限突破要素も含めて、いったいどれだけ環境がインフレするのだろうと、恐れつつもわくわくする気持ちが過剰に先行していたところはある。
正午に公開されてから夜にかけて、ひたすら育成を繰り返した人は少なくないだろう。新実装のサポートカードに大金を投じて、完凸させた人もたくさんいる。
そのお祭りめいた熱は、残念ながら夕方以降に判明した事実によって急速に失望へと反転することになる。

細かい説明をここに書くつもりはないけれど、端的に言うと従来の上限を超えた分は内部的にほとんど意味がなく、見た目はキラキラと輝いて強そうに見えるウマが、実態としてはクライマックス育成でカンストした個体と大差ないということだった。
新シナリオの特徴として挙げられるのは、トレーニングによってステータスを上げやすいことなのだが、せっかく上限を突発しても誤差ということになれば、トレーニングで得られる数字の大半は無駄に等しい。結果的に、レースに出まくるクライマックス個体とくらべて、単純にスキルポイントの分だけ弱くなってしまうという、予想の斜め下のような現実が待っていた。
要するに、今後は新しいシナリオで半年間を過ごしていくんだというビジョンが打ち砕かれ、少なくとも一年間はクライマックスに引きこもる必要があるということが明らかになったのだ。
もちろん、これは対人コンテンツを上位で戦う一部の物好きな人間に限る話であって、マジョリティたるライトユーザーには関係のない話だ。

愚痴ばかりでは仕方ないから、グランドライブの良い点を挙げていきたい。
まず、クライマックスと比べて育成時間は短くて済む。事前に予想はしていたが、だいたい合っていた。アオハルと大差ないくらい、おおよそ30分と少しあれば足りるイメージになる。
そして短時間にもかかわらず、クライマックス産よりも見た目では派手なウマが簡単に作れるのが大きな特徴で、よほど事故が起こらない限りSSランクを下回ることはない。まぁ評価値についてはサポートカードの資産に依存するから、万人に当てはまるわけではないけれど、私の場合はクライマックスでも運が悪いとS+になってしまうことがあるため、明らかに評価平均点は上がると見ていい。
お手軽に、そこそこ強いウマを用意できる。育成時間をガッツリ確保できない層にとっては、助かるシナリオだと感じた。評価点を簡単に盛ることができるから、大きな数字を更新することに喜びを見出している人も同様に楽しめるに違いない。

あとは、クライマックスでは「大逃げ」が取得できないスズカや、マイル適性の関係でクライマックスに合わないカフェらを筆頭に、救済措置が取られたと考えることもできる。
突き詰めた完成度はクライマックスには劣るものの、コスパは悪くない。そういう印象を抱いた。

 

名ばかりの上限突破に不満を感じて、運営に要望を送っている人が結構な数いるのではないかと思っている。
それに応えて仕様変更に踏みきるかどうかは知らないけれど、私の個人的な考えでは、「どちらでもいい」という一言に尽きる。
文字通りに上限を超えたところまでパフォーマンスが上がるようになるのであれば、それ以降はグランドライブで遊べばいいし、変わらないままならチャンミ本育成はクライマックスで行うだけだ。

ここだけの話、実はクライマックス実装時に、私は「クライマックス育成」こそが育成の究極系、頂点であり続けるのではないかという、未来の可能性について触れていた。
遠い将来の、小さなインフレを積み重ねた末の環境は知らない。ただ、多くのレースに出て大量のスキルを獲得しつつ、ステータスは1200まで上げきることが可能という育成シナリオは、現状のシステムから導き出される理論上の限界なのだ。ちょっとしたことで上回れるとは思えなかった。
そして実際にそうなってみると、やはりインフレが抑制されていることに好感を覚えつつも、育成のマンネリ化という無視できない側面を露骨に突きつけられているようで、非常に難しいディレンマを感じる羽目になっている。
何が正解なのだろう。これは運営も頭を悩ませ続けるポイントだと思う。私にはわからない。
2周年を目指すゲームの今後の動向については、これまで以上に注視する必要があるだろう。

今日は昼からずっと育成三昧だったせいか、頭が疲れてしまった。思考が上手くまとまらない。
きっとこの日記も、見直してみたら変な表現が誤字がいくつも見つかることだろう。
推敲している余裕はないため、ひとまず半日だけ遊んだ所感を勢いのままに吐き出した。