K's Graffiti

文章を書いたり絵を描いたりします。

気絶

今月に入ってからの度重なる隣人の迷惑行動により、すっかり睡眠不足と体調不良の悪循環に苦しめられることになっていた私だけれど、そんな中でも昨日は競馬場に足を運ぶなど、かろうじて調子を整えることはできていた。
しかしながら、帰宅してからは完全なる体力切れを起こし、その夜に日記を書くこともできず強烈な睡魔に襲われることとなった。

 

タイトルの気絶というのは病気か何かで倒れてわけではなく、眠気に抗えず意識を失うようにして就寝したという、私にしては珍しい出来事を表している。

実は、この展開は密かに狙っていたと言えないわけではない。
というのも、隣人が深夜に音を発するイベントにはランダム性があり、その日その時になるまで安眠できる環境が待っているか予測できないのだ。私自身、眠りたいタイミングで自然に眠れる体質かというとそうでもなく、自律神経の乱れや、もともとの神経質さが原因となり、静かな実家にいた時から不眠に悩むことが少なくなかった。

そんな問題を最も簡単に解決する手段が、いくつかある。
たとえば睡眠薬に頼るとか、運動しまくって疲労を限界まで蓄積させるとか、あるいはブラック労働で身を削るとか……方法は人によって様々だろう。
私の場合は薬なんて持っていないし、運動する日は限られている上に、汗水垂らすようなスタイルとは縁遠い生活を目指しているから、やや異なる。結論から言うと、純粋な睡眠欲に頼ることしかできないのだ。
そういうわけで、お手軽なのは睡眠不足ゲージが溜まった状態かつ中途半端に昼寝をせず、意識を維持できないほどの眠気が引き出せるまで頑張って起きていることだった。

いくら隣が不愉快な声を出し続けようが、認識できなければ問題にならない。
眠いかどうか微妙なところだけれど、そういう頃合いだからとりあえず布団に入る……それでは些細な雑音が気になって上手く眠ることができない可能性が高い。しかし、もはや眠る以外の行動を実行できないくらいに余力を失えば、自動的に身体は睡眠へと移行できるものだ。
果たして目論見は成功し、無事に睡眠不足と体調不良は一気に解消した。

 

驚いたのは、その長さだった。
どんな夢を見たか、あるいは見たことすら覚えていないあたり、睡眠の質はわりと高いほうで、熟睡できていた時間は短くなかったであろうから、いくら体力ゼロに近い状態でも長々と眠りを欲する必要はなかったように思う。
たった数時間の睡眠でも質さえ確保できれば一日の活動には足るくらい回復できるものだから、実際のところ半日とかそれ以上の眠りなんて蛇足でしかないはずなのだ。

眠る前に時間を確認したのは覚えている。1時15分だった。遅くとも1時半までには意識を失っていただろう。
朝方に一度だけ、一瞬だけ目を覚ましたような記憶がある。もはや聞き慣れた隣人の声を耳にした覚えもある。おおよそ、眠り始めてからの経過時間がいつもの起床タイミングくらいだったのだろう。正確な時刻はわからない。
その際、トイレに行ったような、行ってないような……これは勘違いかもしれない。いずれにせよ、身体はより深い眠りを欲して、満足することなくスムーズに二度寝へ向かった。
そして、次に時計を見たのは13時50分だった。

ちょうど中間くらいに眠りが途切れたとはいえ、合計時間は12時間を余裕で超えている。
肉体的にも精神的にも疲弊していたとはいえ、これだけ長時間にわたって熟睡できたという感覚が残っているのは本当に珍しいことで、眠っていた以外には特に何かあったわけではないし、むしろ午前中の貴重な活動時間を失ったにもかかわらず、不思議と気分が良い。
毎日、これだけ質の高い休息が取れるなら生活のクオリティも随分と上がりそうなものだけれど……しっかり眠れたというだけで長々と日記を書きたくなってしまいたくなるくらい、私は睡眠という行動と非常に相性が悪いものだから、そう考えると難易度の高い人生を送っているような気がする。

流石に、限界まで起きているという体力全盛期の大学生みたいな頭の悪い行動を連日のように行うのは身体に悪いだろうし、寿命を縮めかねないので、これはどうしても疲れを取りたい時の切り札として取っておくことにする。
こんな方法に頼らずとも、普通に寝られる生活が手に入ればいいのだが。私よりも隣人次第というのが、なんとも嫌なところだ。