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有馬記念2022予想

有馬記念。待ちに待った年末のグランプリであり、下半期最大の楽しみである一方で、どれだけ考えても結論が出ず、予想の難しいレースになっている。
参加することに意味があるから馬券は買うけれど、真に回収率の向上を狙うのであればケンのほうがいい……そんな感覚を抱く出走メンバーだ。

 

枠順が決まった日の夜に予想記事を書くというのが恒例なのだけれど、今回ばかりは直前までしっかり考えたいという気持ちから、直前になってしまった。
まぁ考えたところで的中率が上がるかというとそんなことはなく、最初の直感のほうが合っていることも珍しくないのが競馬というものだが。

1⃣枠①番 アカイイト
1⃣枠②番 イズジョーノキセキ
2⃣枠③番 ボルドグフーシュ
2⃣枠④番 アリストテレス
3⃣枠⑤番 ジェラルディーナ
3⃣枠⑥番 ヴェラアズール
4⃣枠⑦番 エフフォーリア
4⃣枠⑧番 ウインマイティー
5⃣枠⑨番 イクイノックス
5⃣枠⑩番 ジャスティンパレス
6⃣枠⑪番 ラストドラフト
6⃣枠⑫番 ポタジェ
7⃣枠⑬番 タイトルホルダー
7⃣枠⑭番 ボッケリーニ
8⃣枠⑮番 ブレークアップ
8⃣枠⑯番 ディープボンド

ざっと見渡してみて、枠による大きな影響を受けそうな有力馬は大外枠のディープボンドくらいのもので、他の上位人気馬たちは悪くないところに入った印象がある。
タイトルホルダーがやや外なのが気になりはするものの、昨年は大外から5着と善戦していて、あれから馬は確実に成長していることを思えば依然として最有力に変わりはない。今年はパンサラッサのように前に行く馬がいないから、マイペースに運べるのも大きいだろう。
イクイノックスは真ん中という絶好枠を引いたので、流石に評価を上げざるを得ない。極端な内か外に入ればスムーズにレースをできない可能性から事故負けのパターンを想定できたけれど、不利を受けづらい中枠なら課題は折り合いと、タイトルホルダーを捉えられるかどうか、という点しかい。
過去データも併せて検討したところ、タイトルホルダーとイクイノックスの2頭は絶対に消せない存在どころか、問答無用で2頭軸にしてもいいくらい強力であるという認識になったので、基本的な方針としては最後の1頭を探す作業になる。


春と秋の中距離以上古馬GⅠの勝ち馬が一堂に会するということで、メンバーの層は近年で最も厚いと言っても過言ではないかもしれない。
それぞれメンバーレベル云々と文句が付けられないことはないため、上位馬たちの能力が高いところで拮抗しているとは限らないけれど、それでも今年の競馬を見てきた人にとっては非常に楽しみな一戦に他ならない。
だからこそ、予想が難しいのだ。全部を買うわけにはいかないから、臨戦過程やコース適性、脚質などを加味した上で、どうしても差を見出さなければならない。
そんな私の印は、以下のようになった。

◎タイトルホルダー
◯イクイノックス
▲ボルドグフーシュ
ジャスティンパレス
△ヴェラアズール
△ジェラルディーナ

タイトルホルダーとイクイノックスの評価の間には、ほとんど差なんてない。
ただ、コース形状と想定ペース、実績から見込めるポテンシャルを総合的に考えると、タイトルホルダーのほうが安定して好成績を残せそうだと思ったのだ。
基本的に逃げ馬は勝ちづらいとされているけれど、タイトルホルダーは過去に逃げて勝ったダイワスカーレットキタサンブラックと同型だと考えているから、むしろ勝利のイメージを描きやすい。
春天で圧勝したり、宝塚記念でレコードを出したり、有馬記念に求められるスタミナとスピードのバランスが高いレベルで揃っているところから、よほど展開に嫌われない限りは馬券を外すことはないと判断した。
前走の凱旋門賞は馬場が終わっていたのでノーカン、疲労は懸念点ではあるものの、過去の実績馬はロンシャンの敗戦に関係なく成績を残しているため、大きなマイナス要素とは考えていない。

イクイノックスもまた、現競馬界で最強クラスの一頭であることは誰もが認めるところだろう。
キタサンブラック産駒らしからぬ強烈な末脚は、キタサンブラック自身と同じく突然変異的な怪物感を示唆していて、その能力の高さには底知れない魅力がある。
府中でこそポテンシャルが最大限に活きるという見解はあるし、私もジャパンカップのほうが向いているとは思うが、この馬は左手前が武器だから実は右回りのほうが直線のスピードに乗りやすい気がしている。
あの秋天から馬は成長しているようで、さらに上積みが見込めるらしいし、鞍上ルメール有馬記念の実績が素晴らしく安心して見ていられる。斤量55kgの恩恵を受けられる3歳というところも評価のポイントだ。

タイトルホルダーが勝つ展開とイクイノックスが勝つ展開では、おそらくレース質が異なるように思うため、どちらに向いたレースになるかで馬券に絡んでくる他の馬が入れ替わるのではないかと思っている。
宝塚記念のように消耗戦になれば、中団より前で脚を溜められる馬に有利に働くし、スローからの瞬発力勝負になれば末脚自慢が上位に入りやすくなる。
そういう意味では、ちょうど中間的な立ち位置で両対応できそうな菊花賞組は評価しなければなない。

ボルドグフーシュは上がり最速を当たり前のように使う馬で、以前は後方から直線一気にかける一辺倒の競馬しかできなかったけれど、前走の菊花賞は4コーナーの時点で前方に位置取る競馬を見せてくれたから、今回も似たようなポジションが確保できればチャンスがあると思っている。
スタートに不安はあるものの、ラスト有馬となる福永先生は世界一スタートが上手い名手だから、期待したい。まぁ有馬記念実績に乏しいところは明確なマイナス要素ではあるが。
もし出遅れてもこの馬のスタミナなら途中で捲っていくゴールドシップのような競馬もできると思うし、菊花賞ハナ差の2着は実質的に菊花賞馬という見方もできる。
強い馬が勝つと言われる菊花賞で好走した3歳馬が、過去の有馬記念では何度も好成績を残している。3番手以下の候補としては、この馬を推すしかない。

ジャスティンパレスも菊花賞で強い走りを見せていて、しかも4コーナーでは馬群がゴチャついて若干の不利があったから、もしスムーズに抜け出せていれば勝てていた可能性だってあるだろう。
非根幹距離の神戸新聞杯を圧勝しているのも有馬記念適性という意味では好印象で、あの菊花賞を3着だからスタミナも問題ない。
あとは枠なりのポジションでどうかというところだが、突き詰めていってもボルドグフーシュとの優劣が付けられなかったので、同評価としている。

ジャパンカップを勝ったヴェラアズールへの見方は、こちらも上がり最速を連発している末脚への魅力はありつつも、馬のタイプが父エイシンフラッシュと似通っているところから、有馬記念には合わないのではないかと思っている。
要するに、スローからの上がり勝負に特化した馬であり、タイトルホルダーがいるレースとは食い合わせが悪いのではないかという話だ。
ジャパンカップはムーアがめちゃくちゃ上手かったということも勝因の一つだし、松山騎手が悪いとは言わないけれど、前走よりもパフォーマンスが上がるとは考えにくい。
ただ、ハマった場合の破壊力は凄まじいものがありそうなので、押さえておきたいとは思った。

重馬場のエリ女を勝ったジェラルディーナは、馬の本格化と適正面から本命にしている人も少なくないだろう。
実は昨年の西宮Sから注目していた馬なので、GⅠを勝って有馬記念で上位評価されるようになったことは心から嬉しく思っているのだが、気になるのはこの馬のローテーションだ。
今年7戦目となる本レースは、あのエリ女を上がり最速で勝った後の次走でもあるから、流石にそろそろ出来落ちするのではないかという不安がある。
勝ったオールカマーエリ女も、枠の恩恵を受けてトラックバイアスを最大限に活かした競馬だったから、もちろん弱いとは言わないけれど、このメンバーで能力が通用するのかどうかは、まだわからない。
まぁしかし、覚醒したロベルト系というのは昨年のエフフォーリアもそうだったけれど、手がつけられない強さを誇ることがあるため、軽視することはできないと思ってこの評価となった。

それ以外の馬についても、位置取りと展開がハマれば3着に食い込んでくる可能性はあると思っている。
けれど有馬記念というのは人気馬で決まりやすく、また自分が強いと感じた馬に夢を託すレースだと思っているから、穴馬を狙いすぎて手を広げる気にはならない。

最後に、エフフォーリアに関してだけは、どれだけ前向きな意見が出ていたとしても、1円も買う気にはならない。というのも、こんな状態で買うのはこの馬に失礼だと思ったからだ。
エフフォーリアは昨年の秋、誰が見ても最強クラスのパフォーマンスを見せていた。私の大好きなコントレイルを秋天で下し、現役最強と名高いクロノジェネシスにも有馬で勝ち、翌年は走るGⅠを総ナメするかもしれない、なんていう期待を持った人も少なくないだろう。
一年前の時点で調整過程に狂いが生じていたようなのだが、有馬記念は本質的な能力だけで勝ちきった。ただ、それを最後にエフフォーリアの素晴らしい走りは影を潜めてしまっている。
夏の時点では秋のプラン白紙、それから有馬記念を目標にするという報道が出た。もし、万全な状態で挑める体制が整っていたのであれば、有馬記念からとは言わず、天皇賞ジャパンカップを目標に調整してきたはずだ。それが、なぜ有馬記念なのだろう。昨年、勝ってはいるけれど、本質的には府中のほうが向いていそうで、特にジャパンカップなんかは試してみたくなるはずなのに。
結局、まだ復活には遠いということではないのか。なんとか面目を保つために、秋全休は避けなければならない。だからギリギリまで調整ができる有馬記念を選ぶしかなかった……そんな風に思ってしまうのだ。
実際、馬体の写真は別馬を疑いたくなるほどだし、陣営のコメントもネガティブで、昨年の出来に及んでいるとは考えづらい。こんな状態のエフフォーリアは、私には買えない。
応援はしている。万が一にも勝てたら喜ぶだろう。ただ、状況がそれを期待することを許してくれないのだ。

 

馬券に関しては、今回の有馬で回収率の回復を狙うのは難しいと思ったので、的中率を重視していくことにする。
タイトルホルダーとイクイノックスを軸に、印に流すいつもの3連複……なのだが、両者のタイプが異なる以上は片方が飛ぶ可能性も考慮して、やや変則的な形にした。

■3連複 フォーメーション(16点)
⑨⑬-③⑤⑥⑩-③⑤⑥⑨⑩⑬