K's Graffiti

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大阪杯2023回顧

レース前はどうなることかと不安があったのだけれど、終わってみればレベルが低いなんてことは全然なく、GⅠに相応しい内容を見せてくれたように思う大阪杯だった。
自らの武器を活かして逃げきったジャックドール、後方から強烈な末脚を繰り出してハナ差まで迫ったスターズオンアース、先行して粘りきったダノンザキッド、いずれも今後を楽しみにしたい馬だ。

 

展開自体は多くの人が予想した通り、ジャックドールが先手を奪って武豊が作るペースに全馬が引っ張られる形になったが、意外だったのは1000mの通過タイムだ。
1分を切るくらいかと思っていたら、それより1秒速い58.9ということで、スピードの出やすい馬場だったことも影響しているのかもしれないけれど、一歩間違えればジャックドール自身が潰れてしまっても不思議ではない、やや負荷の高いペースに見える。
実際、本来なら後方から脚を伸ばせる位置にいた馬たちの大半が見せ場なく、上がりも使えずに沈んでいて、伸びてきているのは地力上位と思われるスターズオンアースとジェラルディーナだけだった。
道中の耗昨度合いに差はあるだろうけれど、本質的には昨年の宝塚記念と似たような形になったのではないだろうか。厳しいペースで走る逃げに馬群が追従すると、たとえ位置取りが後ろでも追走に脚を使わされて溜めることができず、最後は前方の馬と脚色が同じになってしまう現象だ。
そうした展開だからこそ、より際立って強さが光っていたのがスターズオンアースなのだ。この馬は本当に強い。今回は阪神内回りだから届かなかったけれど、直線の長い府中や京都なら無類の強さを発揮するに違いない。

ジャックドールは、鞍上の卓越したペース配分により得意の持続力勝負に持ち込めたからこそ掴むことのできた栄光だと思うのだが、はたして今後どこかで勝てるレースはあるのだろうか。海外は状態次第で香港あたりなら取れそうではあるものの、国内のGⅠは難しく感じてしまう。
一方でスターズオンアースは、道中のペースに依らず上がり上位で馬券に絡める勝負ができる時点で、凡走するまでは買い続けるべきだろう。初の古馬牡馬混合戦、怪我からの休養明け、それでこの走りなのだから、もう楽しみの一言しかない。ブエナビスタに似ているという声もあるようだし、彼女のようにGⅠ勝利を積み重ねてほしいものだ。
ダノンザキッドに関しては、中山が苦手というだけであって、他の競馬場では毎度いい走りができている。勝ちきるだけの武器がないところや、複数回の再審査という問題児の雰囲気から人気になりづらいけれど、紐に入れて期待するには非常に面白いキャラクターだろう。

馬券の話をすると、今回もリアルマネーを投じた勝負はしなかった。
あまり荒れてほしくないという気持ちが強すぎて、少額では買う意味を感じなかったからなのだけれど……結果的には、珍しく最終予想が的中していたので、買っておけばよかったと思ってしまった。
最終的なレース直前の印は以下のようになっていた。

◎スターズオンアース
◯ジャックドール
▲ヴェルトライゼンデ
▲ヒシイグアス
マテンロウレオ
△キラーアビリティ
△ダノンザキッド

そして想定の買い目は3連複フォーメーションで、◎-◯▲-◯▲△の計12点、エア馬券チャレンジ的には回収率718.4%となった。

内枠はバッサリ切って、チャンスのありそうな真ん中から外枠の馬を入れたわけだけれど、本命対抗の連対、そして紐で期待したダノンザキッドやマテンロウレオの好走は素直にハマった感じがして嬉しかった。
▲の2頭は案外な走りになってしまったが、実力自体に疑いはないため、まだまだ別コース別条件なら買える馬だと思っている。
個人的に注目していたキラーアビリティは……まぁ大して強くないのかもしれないし、ディープ産駒に58kgが鬼門なのかもしれない。

 

有馬記念以来、久しぶりにGⅠらしい国内レースを見ることができて満足度が高かった。
来週からは春のクラシック戦線の幕開けということで、これから日々の楽しみが増える。
現時点では、牡馬はファントムシーフとソールオリエンス、牝馬はリバティアイランドとライトクオンタムの活躍に期待しているところだけれど、特に牡馬は2歳王者がクラシック不在という状況だから、他の路線から未来のスターが出てくることもあるだろう。
圧倒的な存在がいないと予想は難しくなるけれど、それも込みで今年の世代を楽しんでいきたい。